『住人』

2016年 冬のオカルト大会にて
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師匠@似非 @unishisyo

「住人 1 」@bobbyindahouse 理由があって以前、ルームシェアをしていた時の話。 一家族が入るようなマンションで、広めな間取りだった。近隣もやはり家族が多い。 入居した時から問題だったのが騒音。

2016-08-13 16:10:09
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo真上の階の住人がかなりのDQNと呼んでおかしくないもので、テレビや音楽の音量がハンパない。音楽が何を聞いてるかわかるくらいの爆音。 音楽だけじゃなくて昼夜問わずどたばたして、子供もいて、突然どんっと飛んだり跳ねたりしてる。

2016-08-13 16:11:09
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 真面目に訴えようかと思ったこともある、周りの住人に言ったらきっと同意してくれるだろうと二人で然るべき時が来たらの計画もしていた。 最近音楽聞こえなくね? しばらく経った時に同居人にそう言われて気付いた。

2016-08-13 16:11:31
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo あれ、いなくなってんじゃん!引っ越してる! 管理人さんがチラシお断わり対策として、住人がいない部屋はガムテープで塞がれる仕組みになっていた。 少しだけ何か違和感を感じたけど、何年か悩まされた原因がなくなってることが嬉しくて違和感のことはさっさと忘れてしまった

2016-08-13 16:13:21
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 「やっぱりいなくなってるよ、上!引っ越してるよ!ガムテープでさ、ポスト塞がれてた! 」 夕飯時に同居人に嬉々として話した。自分は、やっぱあれは訴えられるだろ〜、とか笑っていた。 でも何故か、同居人は笑わない。

2016-08-13 16:13:44
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 「あのさ、」 「?」 「言おうか迷ったんだけどさ、」 違和感がまた蘇る。 何だ? ひとつどこかがとてつもなく間違ってる気がする。 「音楽は、聞こえないよ。静かになった。」 違和感が、大きくなる。 「まだどたばたは、してる、よね?」

2016-08-13 16:16:18
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo "音楽は聞こえない。" "どたばた騒ぐ音はまだ続いていたけど、まだましになった。" そうだ、引っ越したはずの部屋なのに騒ぐ音は止んではいない。

2016-08-13 16:17:44
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo それが違和感の正体だった。 気のせいにしようとも、二人で聞いている覆せない事実に怖くなった。何よりオカルト否定派の同居人が先に気付き、笑っていないこと、それが怖い。 オカルト肯定派むしろオカルトに遭いたい派の自分でも、こんなに日常的なものは初めてだ。

2016-08-13 16:18:16
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 思わず二人で押し黙る。 "音楽は聞こえない。" "どたばた騒ぐ音はまだ続いていたけど、まだましになった。" そうだ、引っ越したはずの部屋なのに騒ぐ音は止んではいない。

2016-08-13 16:18:50
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 違う話題をしようとした瞬間、 どん。 決定的な重くてどこか湿った音が響いた。

2016-08-13 16:19:09
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo その話を知り合いの奥さんに話してみた。 只者ではない奥さん。正確には、旦那さんが只者ではない、奥さん。以下Sさんとします。 「うちの旦那、霊とか見えるんさ〜」と軽く話し、どんな方なのかと興味津々に聞いたら

2016-08-13 16:19:28
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 『家が霊道(聞いたら自殺の名所手前でした)』『日常的に塩を撒く』『悪い霊は獣臭い』『祓えないから近付かない』、などなど、「わあ、オカルト板で見たやつや!」という逸話がほいほいいただけた。嘘か真かは置いといて、自分は怖い話もっとください!と、Sさんに懐いていた

2016-08-13 16:19:51
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 眉をひそめながら、怖がるというよりめんどくさい表情でSさんは聞いてくれた。そして旦那さんに、是非相談したい、とお願いした。 理由は旦那さんがどれほどのものか知りたかったからだ。

2016-08-13 16:20:29
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 揶揄い半分な気持ちがあったと思う、また旦那さんの新しい心霊体験が聞けたらいいなという興味もあった。 Sさんは一応聞いてみる、とめんどくさそうな表情で返事をして、数日後に話した結果を教えてくれた。

2016-08-13 16:20:52
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 「それはね、子供がいるんだって」 「え」 「だから、子供」 「え、ちょっと待ってください…!」 旦那が言うには、前に住んでた家族の子供がその部屋が大好きで、引っ越しした今も、その部屋で遊びたい・ここにいたいっていう思いが強く残ってるんだって。

2016-08-13 16:21:21
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 残留思念?そういうやつ?と、Sさんはトントンと机を指で叩きながら言う。 「…えっと、子供だから無意識で、ってことですか?」 溜め息をついて、またあのめんどくさそうな表情で、Sさんは話した。

2016-08-13 16:21:49
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 「前にいた、子供なんだって騒いでるのは。 大丈夫、怖くないよ。 だってまだ生きてるし、その子。」 「生きてるって…どういうことですか?」

2016-08-13 16:22:15
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 一瞬、監禁された子供が助けを求めてどんどんと音を立ててたんじゃ、というサスペンスがよぎった。 でもSさんは"怖くない"と言ってるし。 「子供はまだ生きてるよ、普通に生活してる、どこかでね。 」

2016-08-13 16:22:35
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo Sさんはすごく日常のことを話すようにいたって普通に続ける。こちらは予想外の結果に驚いているのに。 「上に、ですか?うちの上の部屋にですか?!今も?!」 「うん、そう」 「今も?!いや、引っ越したをですよ?!」 「だーかーらー」

2016-08-13 16:23:25
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 「たぶん。ほら、子供だから純粋で無意識に楽しいなーって気持ちだけを残して、まだそこで遊んでるんだよ。」 初めて聞いたそんな事。いろんな心霊番組とか怖い話ではそんなオチを見たことがなかったそして、旦那さんは何故又聞きしただけでそんなことまでわかってしまったのか

2016-08-13 16:24:18
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 後々から考えたら、霊視というやつみたいなんだと気がついたんだけど、旦那さんは何者なのか。 「…Sさん、旦那さんのことを師匠って呼んでもいいか聞いといてください」 「えっ、やだやめてよ」 Sさんはめんどくさそうな表情で慌ててそう言った。

2016-08-13 16:24:47
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 一応、この結果のことを同居人にも話した。 同居人は眉をひそめながら聞いてからほっとした様子で、旦那さんはすごいな、と苦笑いをした。 それから同居人はまた上を見上げてから、あ、と呟く。

2016-08-13 16:25:16
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 初めから上に子供なんていないんじゃない?」 「あっ、だから上のDQNは引っ越した、とか…?」 「さすがにあのどたばたする部屋だったら、音楽も爆音にしたくもなるんじゃない?」 「ああ…、それは、そうだね…」 そしてまた、どん、と上から音が響いた。

2016-08-13 16:25:46
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo 前よりは怖くなくなった。子供が大人になることを待つだけなのだから。 以上です! いろいろミスりましたすいません… 余談ですが一度オカルト板投稿したものでした。更に余談ですが、残念ながら、現在旦那さんは他界されています…師匠と呼びたかった…

2016-08-13 16:26:58