ツイッター小説『シスター＆シニック！』（第４集）

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ほら、邪魔」妹が僕のベッドの上で、あろうことかポテトチップスを食べながら、寝転がって文庫本を読んでいた。「んー、今いいとこだから。私の上に乗っかってて」「誰が乗るか」「あったかくて、きもちいーよぉ」「妹の上に乗りたくねぇよ」「じゃあ、私が上に」「お断りだ」

Shimada Yuichi @chimada

「ば、ばか。『お兄ちゃんの耳に欲情してた』なんて、言わせないでよ、恥ずかしい」「うるせぇよ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel いつも僕は妹との距離を測りかねていた。ある日のこと。「ねぇ、お兄ちゃん。ファスナー締めて」「うん」シャー、っと音のない音を聞きながら、僕は妹の服の背中についたファスナーを上げた。またある日のこと。「ねぇ、お兄ちゃん。ホック締めて」「ブラのホックは受け付けてない」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。私と『生活』して」「ん？どういう意味だ」「先に答えて。私と『生活』、してくれるよね？」「するもなにも、既にしているから」「答えはイエスかノーで」「だったらイエス」「やったー！言質とったー！じゃあお兄ちゃん、これから私と生殖活動しよっ！」「！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「おーにーいーちゃーん！」「うわバカよせやめろ！」「電撃だっちゃー！」「本当にやめてくれ！ドライヤーを放せ！俺を感電死させる気か！」「だったら、お風呂、一緒に入ろ、お兄ちゃん？」「わかった！わかったから！」

Shimada Yuichi @chimada

「お兄ちゃん見て見て！お兄ちゃんの好きなスクール水着を着てきたの！」「なぁ俺は、あくまで『恥じらいながら、それでも一生懸命俺のためにスクール水着を着てくれた年上の女性の照れた笑顔』が好きなんだ。それがなんだお前は。年下の上に、恥じらいもなく、おまけにその水着は男性用だ」「てへぇ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。怖いビデオ見ちゃった」「ふぅん。どんな映画を観たんだ。今更お前が怖がる映画があるとは思わなかった」「あるところに、愛しあう兄と妹がいました。けれど、彼女たちは悲劇的な結末への道を転げ落ちてっ」「それがどうした」「わからないの！？」「わからねぇよ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。おままごとしよう」「断る。この歳になってやる遊びではない」「ねぇ。人生なんて所詮おままごと。お兄ちゃんも私も、何か一役演じなければならないんだ」「そんなこと言っても駄目だ」「仕方ない。ひとりおままごとするか」「わかった、俺もやるから」「嬉しい」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん」「どうした」「人工呼吸させてよ」「今、それをする必要があるか」「私、お兄ちゃんに人工呼吸できないと、辛くて、今すぐにでも心臓が止まりそうなの」「もしそうなったら、心臓マッサージをしてやるよ」「なら、今からちょっと心臓を止めてみるね」「やめてくれ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 新月には特別なことが起こるみたいだ。「ねーねー！今ちょっとそこの空き地で猫の集会を見たの！すごいのすごいの！何匹も猫がいてね！って、聞いてるお兄ちゃん？」「どこの空き地だ」「三丁目」「あそこ、もう家が建ったはずだ」「あれぇ？」「嘘だよ、バァカ」「お兄ちゃん！？」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん」と、妹は僕をベッドに押し倒した。しかし彼女はそのとき急に充電が切れたかのように眠りに落ちてしまった。何があったのだろう。けれど僕は何も聞くまいと決心する。だから、少しの間だけ、僕は妹に押し倒されながら、何もせずに部屋の天上を眺めていた。

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「『お兄ちゃんは妹に恋をする』ってマンガ、知ってるかな、お兄ちゃん」「なにそれ同人誌か」「違うよ！知らないの？紅木古都実先生の描く超ベストセラーマンガだよ！それよりなにより私が大好きなの！」「内容は」「え」「内容は」「えっと、あの」「いいよ。読んでみる」「うん」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん」「どうした」「AV借りたいから、会員証を貸して？」「断る」「どうして」「自分のはどうした」「いま、ちょっと見当たらなくて」「AVを何に使うんだ」「こう、お兄ちゃんと親睦を深めるために」「だったら、チャップリンを借りてこい」「うん、わかった」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん」「どうした」「初恋は実らないって、本当？」「どうだろう。考えたことがなかった」「なるほど。それでも私、お兄ちゃんのことを想い続けるから」「重い」「どのくらい」「肩こりがするくらい」「揉んであげようか」「頼む」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん」「どうした」「お兄ちゃんの好きなコンドームのブランド教えて」僕は考えてみた。でも、「違うよな。なんでお前にそんなことを教えなくちゃいけないんだ」「こう、女の子だって、エッチなことに興味を持ってるんだよ」「もっと違う角度で興味を持ってください」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。左手の薬指見せて」「何の為に」「お兄ちゃんの赤い糸がどこに繋がっているか見定めるの」「何だ、お前、恋神の目でも手に入れたか」「そんな目があったらいいね。お兄ちゃんの恋愛の寿命が見えるもんね。早く私に振り向いたらいいのに」「怖えよ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん！」「なんだよ、大きな声を出して」「今日は節電よ！パソコンでエッチな写真なんて見てないで電源を落として部屋の電気を消して、そして私と暗い部屋で一緒に体を暖めあうの！」「話の帰結がおかしいじゃねーか！」「ああ。こっちを見てくれたね、お兄ちゃん」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「『イン・ハー・シューズ』。『ロスト・イン・トランスレーション』。『ノートルダムの鐘』」「何やってんだ」「お兄ちゃん。『サウンド・オブ・ミュージック』ごっこ。好きなものの名前を言うの」「ふぅん。なら、『メトロポリス』」「『お兄ちゃん』」「『M』」「お兄ちゃん」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ツイッターで世界が救えるわけないでしょ」と、妹はアニメ・キャラの口真似をした。「似てない」「そうかなぁ」「それはともかく。じゃあお前は、何が世界を救うと思う」「世界なんてどうでもいい。私はお兄ちゃんさえ無事ならそれでいい」真剣な妹を見て僕は何も言えなくなった。

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん大好き！」「いきなりどうした」「ううん、いいの。私のこの恋はたぶん報われることはないだろう。しかしながらそれでも私は神に感謝したい。なぜなら、誰かの幸せを祈るということは最上の幸福へと至る道だからだお兄ちゃん大好き！」「俺の気持ちはどうなる」