★まりえさんのこと★

消えゆく本屋さん(@L23524772)の思い出です。 いおりさん製作のモーメント、リンク先を追記いたしました。 https://twitter.com/sollospeaker/status/904141869260587014
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消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

★まりえさんの事★ まりえさん(仮名)の話は最後迄書くか迷ってました。 それでも今日、会う事ができたので記します。 まりえさんは何年も前から常連さんの女性でした。たまに現れては、「○○の雑誌はいつ出るの?」 ○○が大好きで、ちょっとした予告が出ると情報がまだ出ないうちに来るので

2017-09-02 23:45:09
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

出版社に問い合わせて教えました。 それを彼女はメモします。 金額もメモします。 彼女はすぐに忘れてしまうので、欲しいものはメモをしないといけないとの事でした。 取り置きも電話を持ってないので、名前だけです。 忙しい時にはよく声をかけられて戸惑った事も正直あります。

2017-09-02 23:47:27
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

そのうち敬語から、タメ口になり笑顔も出てきて。 いつの間にか、戸惑いはなくなりスタッフの中でもまりえさんのお取り置きで通じる様になりました。 まりえさんは、お店の近くの施設に住んでいます。 何年かして、土日にお仕事休みがあり、働いて貯めたお金をやりくりして本を買っている等などを

2017-09-02 23:50:01
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

話してくれるようになりました。 朝のスタッフとは打ち解けて話しますが、夜のバイト君ではうまく対応できず、朝のスタッフがいる時に来るようになりました。 屈託のない笑顔が少女のようで。 段々雑誌だけではなく、漫画もお取り置きするようになり、ジャンルの幅が広がってきて嬉しくなりました。

2017-09-02 23:53:22
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

小説もたまに買います。 そして、いつも金額や発売日を調べる時に 「いつもごめんね、ごめんね」と困り顔をするので私は「全然大丈夫👍」 と話すとホッとした顔をしてました。 スタッフの中でも、私の何がよかったのかお気に入りになってました。 いつの間にか、彼女を妹の様に思い、

2017-09-02 23:57:06
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

初めに来たときの戸惑いはなくなってました。 その年月はゆっくりかけてできた、お客様との信頼関係だと思います。 そうして仲良くなってからの閉店。 私は、直ぐに彼女を思い浮かべました。まりえさんや、 まりえさんと同じ場所に住む施設の人達の唯一の娯楽場だったからです。

2017-09-03 00:01:30
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

もし、彼女が閉店を知ったらショックを受けるんじゃないだろうか。 このまま知らずに、何も言わずに閉店した方がいいのかもしれない。 そう思い、閉店が決まった後私はまりえさんと接する事ができませんでした。自分が休みでいなかったり、カウンターにいた時は違うスタッフだったり。

2017-09-03 00:03:41
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

そして、今日とりおいていた雑誌を買いにきました。その時も私ではなく、違うスタッフが接客してました。 私は、その時は自分の担当の売り場に居て、返品作業をしていました。 沢山の本を抱えて、倉庫に向かおうとした時、コミックコーナーから出てきたまりえさんと鉢合わせしました。 「やぁ」

2017-09-03 00:06:52
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

まりえさんが手をふり挨拶をしました。 「こんにちは」 私も手を振ります。 まりえさんがそのまま、 「またね」 と、言って柱に消えた時、私は弾き出されたように 「まりえさん!」と呼びました。 まりえさんは直ぐにひょっこり出てきました。 「また、お店来てくれる?」

2017-09-03 00:10:35
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

そう言った瞬間、胸から苦しいものがせりあがり、行き場を失ったそれは目から涙に変わり出たようでした。 泣いたらだめだ、そう思って咄嗟に顔を伏せました。 それでも彼女は私が泣いた事がわかったのかもしれません。 そして、何故泣いたかも。 「ごめんね」と呟きました。

2017-09-03 00:14:57
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

私はとにかく誤りました。 私が閉店するわけじゃないし、私の店でもない。 でも、まりえさん達の楽しみの場所を奪ってしまった。止めることができなかった。。。 まりえさんがスススっと正面に寄ってきました。 「大丈夫」 そう言ってにっこり笑って、私の頭を撫でました。 そして、私の手を取り

2017-09-03 00:17:41
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

指を絡めて胸の高さ迄上げてくれました。その時初めてまりえさんの手を握りましたが、ひんやりとしてでも何故か暖かい何かが流れて来るようで。 その感覚にまた涙がこぼれました。 「泣かないの」 「うん」 どっちが大人かわかりません。 お客様はいませんでした。 「泣かないの、大丈夫だから」

2017-09-03 00:20:12
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

私を真っ直ぐ見て言いました。 久しぶりにまりえさんの顔をしっかり見ました。 やましくて、申し訳なくて、見れなかったのです。 まりえさんの笑顔は、愛想笑いでも誤魔化しでもない、大人だけど、大人じゃない裏のない笑顔。 天使のようでした。 pic.twitter.com/8QM9sxABwF

2017-09-03 00:23:26
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消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

「ねぇ、またこのお店閉店したら作ってよ!私来るからさ」 「うん」 嘘をつきました。 「もし、また本屋さんだったら戻ってくるからね」 「うん、待ってる!」 そうして私はカウンターに戻りました。 帰り際 「あのさ、私、ホントにここに来てよかったって思ってる」

2017-09-03 00:26:45
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

彼女の言葉は嘘はなく、純粋な言葉。 「ありがとう」 「本当によかったって思ってるよ!明日も来るね」 そう言って帰りました。 恐らく佐伯のおじいさんと同じで、彼女とはもう会えないでしょう。 連絡手段もありません。 それでもまりえさんの事も忘れない。 そう思いました。 その午後の事

2017-09-03 00:29:49
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

お昼休憩も終わり少し落ち着いてした時、1人の男性が、コミック2店と文芸書の桜風堂物語を持ってきました。 「桜風堂物語」とは、書店員さんと書店のお話で、とても優しくて温かいお話。初めて売ります。 と言うのも、今迄はカウンターでこれを買う人と当たることがなかったのです。今迄ずっと!

2017-09-03 00:33:56
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

いつの間にか売れていて、いつも売れたんだなぁと思うだけでした。 初めて買うお客様を目の前で見る事ができました。 遠目から持って来た時目を疑いました。 本当に桜風堂でした。 声をかけたかったのですが、不審に思われるよりはとにかく買ってもらいたい! その時持って来た本が見本用で

2017-09-03 00:36:46
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

シュリンクもかかっていない本に気づきました。 「綺麗な本をお持ちしましょうか?」 少し考えて、お客様はそうして欲しいと言ったので、売り場からお持ちしてカバーをかけて渡して、接客が終了しました。 頭の中で桜風堂の残数を計算すると、シュリンクがかかっている綺麗なのは残り1冊。

2017-09-03 00:39:02
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

その時、何故今、桜風堂なんだろう。 頭の中で何か意味があるんじゃないかと必死に考えました。 その時、なんとまりえさんが店に戻って来たのです。 試し読みのコミックを隅で読んでいました。 その時、桜風堂/本屋さんの話し/綺麗な本は残り1冊のみ。 凄い速さでそれはまとまりました。

2017-09-03 00:42:14
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

私は、試し読みをしているまりえさんに声をかけました。 そして、見本になっていた桜風堂を見せて 「まりえサン、この位の文字の小説読んだ事ある?」 と聞きました。 彼女は私の勢いにビックリしてきましたが、しばらくジッと見て 「読めるよ」 と答えました。

2017-09-03 00:45:36
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

そして私は怖がらせないようにゆっくりと 「あのね、私。この本で綺麗なのは最後の1冊だから、プレゼントしたいの。してもいいかな?」 と伝えました。 「もし難しかったらゆっくりでいいし、読めなくても大切に持っていてくれたら嬉しいな」 彼女は間髪入れずに微笑みました 「いいの?!」

2017-09-03 00:48:20
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

その時は、スタッフは私1人でした。 もう一人は倉庫で返品作業してたので。私は急いで財布をスタッフルームから取り、打ってお金を精算しました。 そして、下手くそなプレゼント包装して、ピンクのリボンを付けて。。。 ソッと渡しました。

2017-09-03 00:51:49
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

読めなくても、読めてもどちらでも構わなかった。 最後の1冊は、まりえサンに私が渡したかった。 本屋さんのお話の本。 いつか読んで思い出して欲しい。 それがだめでもこの素敵な表紙が彼女を元気づけるかもしれない。 何よりも彼女ならこの1冊を本当に大切に持っていてくれる事が解るから。

2017-09-03 00:55:00
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

仕事中にしてはいけない事はわかってきたけれど、もしこれが最後だったら。最後だから許して欲しい。 色々心の中で言い訳をして、プレゼントしました。 店を彼女が出た後、晴々とした気持ちになりました。 これをしたかったんだ。 男の人が桜風堂を直前に買わなかったらこんな事はなかった。

2017-09-03 00:59:00
消えた本屋さん=燈茜 @L23524772

私は、彼女が知らない世界の本を渡してしまったのかもしれない。 それでも、読んだ時には、書店員の事を思い出してくれるかもしれない。 ここで働いていた私を含めた皆が彼女の中で生きたら。。。 勿論私は誰にでも渡す訳ではありません。 それでも、彼女に渡したい1冊でした。

2017-09-03 01:01:34
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