BS35前日談

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にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

妖精女王の名を冠する街、テイタニア。 空が澄み渡るある日、領主の館から空を眺める少女は思う。 そう、あの日も確か、こんな青空が、街の上には輝いていた。 これは、メイジになれなかった少女と、ロードになれなかった少年のちょっとしたお話。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:05:22
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 「お前、すげーな。それって魔法ってやつか?」 「ううん、これは手品だよ。いつか、本当の魔法が使えるようになりたいけどね。」 少女は館を抜け出して、街に出た。 少年は目の前の不思議に、目を輝かせた。 そんな2人の出会い。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:05:59
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 「俺、夢があるんだ。みんなは、お前には無理だって笑うけど。」 「私は笑わないよ。私にも夢があるから。」 街の広場で、2人は夢を語った。 お互いに、笑われるんじゃないかと思っていたから、少し、遠慮がちに。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:07:29
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 「騎士になりたいんだ。混沌から人を守れる。」 「君なら、いつかきっとなれるよ。」 テイタニアの街の冒険者から名をなして、領主の従騎士となった者も過去にはいる。 それは難しいけど、少女は彼ならいつかできる気がした。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:08:07
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 「お前の夢は、やっぱり…?」 「うん、魔法使いになること。」 少女が語った夢は、少年のそれより難しいかもしれない。 少女には天性の才能は無かった。でも、少女の不思議な手品を見た少年は、そうは思えなかった。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:09:05
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 「お前がいつか魔法使いになったら、俺の契約魔法師になってくれよ。」 「いいよ、約束…だね。」 お互いに、君は夢を成せても、自分は成せないのだろうな。と、思いながらの歪な約束。 青空の下で、指を絡ませた。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:09:57
にーてん@サークル「抹茶の日」 @jodoushi26

@jodoushi26 あの日のような青空の下。 同じ空の下で、彼は何をしているのだろう。 テイタニアの街にいるのなら領主の顔ぐらいは知ってしまったかもしれない。 彼はどう思っただろう? 私はもう、あの日の約束は果たせない。 #うちの子過去話

2016-05-11 10:10:59