アライブファクター＠HPF2017の覚え書き

風花＠アイマス全ライト収集終了します @kzhn4a

歌い出し直後、静香の様子に驚いた。Floodingを歌った時でさえ自らの歌声を制御するためにかけていた抑制が、ない。現在の全てを以て対する相手であり、余裕なんか絶無であることを第一声から表現してきた。

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対する千早は、その声を受け流す。薄く笑っているかのようにも見えた。「最上さん、あなたのチカラはこんなものじゃないでしょう？」と。その、打ち合いにもなっていない手合わせは、ワンコーラスが終わるまで続いた。その間ずっと、千早は計るように、動かなかった。

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状況が動いたのは、２番の歌い出しだ。今度は、千早が先に仕掛ける。それまでと違い、いきなりぶちかます。「本気を出しなさい。あなたが本気と『思い込んでいる』限界ではなく、本当に魂から絞り出した極限のチカラを見せて」と。

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轟雷のような千早の一撃に、静香は――怯まなかった。むしろ、今度は静香の側が笑っていた。「ありがとう、千早さん。『私』に気付かせてくれて。これは、限界なんかじゃない！」 瞬間、Floodingで見せたのとは桁違いの奔流が、千早のチカラに抗い始める。

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両者、一歩も退かず。壮絶な殴り合いは、最終パートへともつれ込んだ。間奏では、客席を煽る千早の姿があった。「もっと、もっとチカラを！ 私たちを遙かな高みに連れて行って！！」 静香は、そのチカラをひたすらかみ砕き、呑み込んでいた。一瞬たりとも無駄にはしないと。

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再び、均衡が崩れたのは本当に最後の瞬間だった。――千早が、押された。ほんの僅かだったが、千早の声が100%を割り込んだ一瞬を、静香は見逃さなかった。……結果は、おそらく。歌い終えた静香に対し、至上の笑みを湛えて手を差し延べた千早の表情が物語っている。

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――あの瞬間、静香は千早を超えた。

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それは千早に何らかの計算違いがあったのかもしれない。技術的なミスだったのかも知れない。ただ一つ言えるのは、パフォーマンスが完璧を超えた至高の状態を保てていたのであれば、一瞬たりとも静香のチカラが千早を超えることはなかっただろう、ということだ。

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しかし結果は、千早は完璧たり得なかった。絶壁が破れた。限界をかなぐり捨てて打ち合い続けた静香の魂が、その一瞬の綻びに喰らいついた。その自信が、静香にさらなるチカラをもたらした。そう、自信だ。不安を感じる暇も余裕もない状況で、静香はそれを自信に換えたんだ。

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千早は、静香を認識した。魂のレベルで、そのチカラを認めた。つまりそれは、千早がさらに成長する可能性を得たということだ。歌うこと、歌い続けること、歌を以て「その一点」を目指し続けること。それが千早の『アライブファクター』なのだから。

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正直、悔しかった。２番の途中から止まらなくなった涙は、決して２人――４人のせめぎ合いのチカラによるものだけではなく。何故、なんでここに紗代子がいないんだろうと。同時に、紗代子がまだあそこに立てるだけの「物語」を得られていないことも十二分に理解して。わたしは泣いた。悔しさのあまり。

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早くあの領域に立てるようにならないと、２人だけで永久機関のように進んで行ってしまう。だからせめて、あの領域に立ってくれと。Only One Secondを手に入れて、ようやく紗代子の物語が始まったけれども。LTF02直後から言っているように、それじゃ１年遅いんだ！

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6thでOnly One Secondじゃ、遅いんだよ。その次の領域に達してなければ、あの２人に追いつけなくなってしまう。狙ってるのか？ 公式はそれをお膳立てしようとしてるのか？ このままでは6thは砂を噛む物語になってしまう。「それを乗り越えてこい」と、そう言いたいのか？