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作家の結城浩さんが語る「常に書け。現在の自分の最前線を書け」

ものを書く人へ贈るエールです。響きました。
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結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

最近は『数学ガール6』執筆と『プログラマの数学 第2版』ゲラ校正の毎日です。『プログラマの数学』が刊行されたのは2005年のこと。なんと12年前のことなのです。じゅうにねん……

2017-11-16 14:43:50
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

さて、ゲラ校正では付録だけではなくすべてのテキストに目を通します。そして12年という歳月を振り返ることになります。といっても『プログラマの数学』は題材が数学ですから、驚くほど新しいまま。古びない内容だと自負しています。違いを感じるのは文章ですね。いまの文章に比べて、クリスプな感じ。

2017-11-16 14:48:35
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

読者を信頼して「いい感じ」のところでポンと話題を飛ばす間合いがおもしろい。12年前。当時の結城は40代でしょうか。なるほど、こういう文章を書いていたんだなあと改めて思いました。そして、とてもおもしろい。ゲラを読むときには内容を読みすぎてはいけないんですが、つい読んじゃいます!

2017-11-16 14:51:19
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

そして思います。文章は、そのつど書かなきゃ駄目ということを。経験を積んでから、十分学んでから、時間ができてから書くのではない。断じて違う。そのつど書く。自分の不十分さをたっぷり自覚した状態で書く。そうでなければ、いつまでたっても書けやしない。

2017-11-16 14:53:13
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

あなたに強制するわけではなくて、結城の独り言です。十分準備ができて、世の中に出しても恥ずかしくない状態になってから書き始めては、遅い。遅いというか、そういう心持ちでは、いつまでたっても決して書き始められないのです。

2017-11-16 14:54:35
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

常に書け。現在の自分の最前線を書け。いまを逃せば、いまの自分は書けない。だから、いま、書くしかないのです。理解も不十分、経験も少ない、世の中もわからない、こんなこと書いたら恥ずかしい、批判がたくさん来るかも。という状態で書くしかない。いまを逃せば、チャンスはない。

2017-11-16 14:57:14
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

2005年の『プログラマの数学』を読み返しながら「現在の自分なら、この本以上の『プログラマの数学』は書けるだろうか?」と自問します。私は「書ける。でも、まったく違う本になるだろう」と答えることになる。このときの切り口、まとめかた、話の進行。これは2005年の私にしか書けなかった。

2017-11-16 14:59:37
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

だから、つくづく「ああ、あのとき書いてよかった!」と思う。あのときの私でなければ書けなかった本がここにある。そして感謝なことに多くの読者の応援を継続的に受けている。もの書きは、書き続けてナンボである。常に書け。現在の自分、不十分な自分を自覚しつつ、でも書け。

2017-11-16 15:01:21
結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

「いまは忙しいから、暇ができたら書こう」という人がいるかもしれない。でもそんなときは来ない。もの書きは、毎日、走りながら書いている。

2017-11-16 15:03:26