映画『復活の日』はどうして熱くなれなかったのか

3
uroak_miku @Uroak_Miku

youtu.be/__awhEinGR4 原作小説は青春物語の匂いがあった。全人類が滅び、南極が新人類のシェルターとなって、そこに旧人類の負の遺産・核ミサイルが飛んでくるというので決死隊をワシントンに送り込む…南極人たちってヤマトの諸君なのですよ。

2017-11-16 19:17:41
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

twitter.com/KaoruKumi/stat… 映画版は青春物語としては組み立てられていなかった。冒頭でいきなり草刈の女(多岐川裕美)が回想シーンで顔面どアップで別れ話を切り出すようなお話では青春映画にならないわけです。妻や子と死に別れた昭和基地隊員とかね。

2017-11-16 19:27:09
uroak_miku @Uroak_Miku

ゴジラ一作目とシン・ゴジラでは子どもが「ゴジラかわいそう」と呟いたという。真の悪は私たち人類であり、ゴジラはその理不尽さに怒り猛ったにすぎない。それを子どもたちはしっかり感じ取っていた。『復活の日』が青春の物語であることを角川春樹は理解していなかった。twitter.com/KaoruKumi/stat…

2017-11-16 19:29:37
uroak_miku @Uroak_Miku

映画 銀河鉄道999 劇場予告 (The Galaxy Express 999 Trailer) youtu.be/4EDiWC0STlI 基本設定がむちゃくちゃなのに骨太な青春物語。脚本がとてもいいんですよこれ。

2017-11-16 19:33:26
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

5)主人公・鉄郎くんが銀河超特急999に乘るまでの手順がとても慎重に組み立てられています。原作は大雑把。「機械の体を無料でくれる星に行きたい」で終わり。999の乗車券はめちゃ高いし、それなら機械の体を買った方が安く済むんじゃないの?と子どもでも不思議に思うわけです原作設定は。

2017-11-16 19:37:06
uroak_miku @Uroak_Miku

6)そこで映画版では、機械の体がほしいという設定は外された。①母を殺した男を見つけ出して処刑したい、②自由の天地に飛び立ちたい、の二つに変更された。そのためには999の乗車券がいる、それでかっぱらいを試みたが成功しなかった。そこで謎の女性と出くわした。

2017-11-16 19:40:35
uroak_miku @Uroak_Miku

7)彼女は乗車券をくれてやると切り出した。自分には旅の用心棒がいるから、と。巧いですね、鉄郎の旅の動機と、彼女メーテルが鉄郎を雇った理由がしっかり説明されています。(そして雇った理由に裏があることは鉄郎もなんとなく気づいている)

2017-11-16 19:43:04
uroak_miku @Uroak_Miku

8)脚本面からの『999』映画版論はこれまであったかな?で、母の仇を討った直後に、鉄郎のロールモデルたる宇宙海賊さんが現れて「これでお前の復讐も終わったわけだな」と問いかける。これが巧い。旅する動機を失くした鉄郎に、先輩格の彼が改めて旅の動機を尋ねるわけです。

2017-11-16 19:45:29
uroak_miku @Uroak_Miku

9)鉄郎が宣言する。機械による永遠の生命なんてものがそもそもおかしい、その根源である星が999の終着駅だというのなら、そこまで自分は行ってみたい、そしてその星を消滅させたい…宇宙の旅を続ける理由がギアチェンジする。

2017-11-16 19:48:27
uroak_miku @Uroak_Miku

10)この後ですね。食堂車でメーテルに恋心を打ち明けるの。旅が終わった後の話をするわけです。目的の星を亡ぼして、その後は… 滅ぼした後のことを考える余裕が生まれたからこそ、彼女に踏み込んだ話をする。巧すぎる。脚本家の腕が光る。

2017-11-16 19:50:49
uroak_miku @Uroak_Miku

11)こういう段取りあってこそ、終着駅の正体に鉄郎は、そして彼にシンクロした私たち観客・視聴者は驚愕する。メーテルに怒りをぶつける鉄郎にさらにシンクロし、彼とともに女王のもとに連れていかれ、ああもうだめなのかと思う…そこに宇宙海賊コンビが救出に、そしてメーテル父が登場する。巧い。

2017-11-16 19:54:53
uroak_miku @Uroak_Miku

12)青年の命をいけにえに存続する機械惑星という設定からしてめちゃくちゃなんだけど、鉄郎の旅の動機、目的が明確なのと、それが途中でギアチェンジする過程がしっかり描かれているおかげで、青春物語としては骨太。世界観のご都合感と重なってかえって神話物語に昇華された。

2017-11-16 19:57:32
uroak_miku @Uroak_Miku

13)鉄郎の絶体絶命は二回。一回目は手術で機械のネジにされるところ。二回目はメーテル母に絞殺されるところ。ともに誰かの命と引き換えに救われる。一回目はメーテル父の命、二回目は食堂車の給仕女性。この二回目が切ない。

2017-11-16 20:00:33

ああ、もっとあるか。冥王星で凍死未遂、女海賊とのタイマン、時間城での対決。で、どれも最終的には女性に救われる。

uroak_miku @Uroak_Miku

14)鉄郎を救ったこの二人、彼の旅に影から寄り添っているんですよね。鉄郎の夢や苦悩をそっと見守り、共感している。そのうえ給仕女性は彼に恋心まで抱いている。それゆえあの絶命シーンは切なく、美しい。ひとの犠牲の上に自分が生きていることを鉄郎に痛感させる。

2017-11-16 20:03:08
uroak_miku @Uroak_Miku

15)ひとを好きになる経験とともに、ひとから好きになってもらう経験も果たすわけですよあの絶命シーンで。巧すぎる。

2017-11-16 20:05:04
uroak_miku @Uroak_Miku

16)こういう積み重ねの上に、あの絶叫別れシーンがあります。あのシーンだけで私は涙を流さない。ていねいに積み重ねられたドラマの上にこそ輝く涙。

2017-11-16 20:06:22
uroak_miku @Uroak_Miku

17)涙の海のあと、あの歌が鳴り響く。そこにはもう涙はない。

2017-11-16 20:07:06
uroak_miku @Uroak_Miku

18)巧い、巧すぎる。『復活の日』の映画版は『999』になれたはずなのになれなかった。青春物語として小松先生の原作を読み取れなかったのが敗因とみますがいかがでしょう角川春樹さま。

2017-11-16 20:08:32