- hiyokonokokoro
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「もしかして、うちは田舎に住んでるのん?」 『のんのんびより』は、その村に住む1人の少女の素朴な疑問から始まる。田んぼがあって、牛がいて、タヌキがいて、本屋やコンビニはなく、バスも1日に何本かしか走ってない。玄関の鍵を閉めなくても泥棒なんて来やしない。まさに田舎の村である。
2017-11-17 10:06:53小学1年生になるまで、宮内れんげは、そんな田舎の村で普通に、当たり前に暮らしてきた。ここを田舎だと思ったことがなかったれんげだったが、急に田舎だと思い始めたのは、牛横断注意の標識が目に入ったからではなく、姉のひかげが高校に通うために東京に引っ越したことが関係しているのだと思う。
2017-11-17 10:08:32れんげはこの村が嫌いなわけではない。むしろ大好きである。風景は綺麗だし、水車小屋は絵になるし、道端に『伝説の剣』が落ちてるし、この村のいいところをたくさん知っている。けれど、この村には無いものが都会にはあることも知っていて、憧れていて、モヤモヤしている。
2017-11-17 10:09:49『のんのんびより』1話では、東京から一条蛍という小学5年生の女の子が転校してくる。この村のことをよく知らない蛍は、視聴者に最も近い存在だ。視聴者は蛍の体験を通して、この村の生活がどんなものかを知ることになる。そういった意味で、蛍はこの作品の主人公とも言えるキャラクターだ。
2017-11-17 10:20:33たとえば2話で蛍は、小鞠に村の駄菓子屋へと連れて行ってもらう。この回は小鞠が蛍を観光客だと勘違いしていることもあって、さらに蛍が視聴者に近い存在になっている。
2017-11-17 10:29:042話の蛍。服装が大人っぽくメガネをかけているので別人に見える。小鞠が勘違いするのも無理はないかもしれない。観光客として描いたことで、蛍の物語上の位置付けがはっきりわかる。 pic.twitter.com/ow6dBdGxoU
2017-11-18 05:00:20住み慣れた東京を離れ、こんなど田舎の村に引っ越してくるというのは、蛍にとってものすごい事件である。人生がかなり変わる出来事だったと思う
2017-11-18 04:31:05蛍はこの村で様々なことを体験する。田植えをしたり、神社でラジオ体操をしたり、トマトの入った味噌汁を食べたり、沢で冷やしたスイカを食べたり、線香花火をしたり、都会では体験できなかったことをたくさん体験する。そうして、だんだんとこの村の良さを知り、村の生活に馴染み、溶け込んでいく
2017-11-17 10:33:44蛍が何かに感動する場面はとても良い。11話、雪原に飛び出して星空に手を広げるシーンも良いし、かまくらで豚汁を食べるシーンもとても良い。初めてかまくらで豚汁を食べた蛍の喜びが視聴者に伝わるようにうまくカット作りされている
2017-11-17 12:10:4811話。校舎の外に飛び出し、雪原を嬉しそうに走り、満天の星空に手を伸ばす蛍。都会では見られない光景に感動する蛍の気持ちがよく伝わってくる。冬の冷たく澄んだ空気感がうまく表現されている。 pic.twitter.com/XCLrQOGl2h
2017-11-18 20:02:44最終話、山菜採りの最中にれんげは落ち込んで言う。 「やっぱりここは田舎なんな。都会には山も砂も山菜もないのに、ここにはいっぱいあるのん」
2017-11-17 10:50:13「田舎なのん?」と疑問形だったのが、「田舎なんな」に変わったのは、れんげがこの1年を通していろいろなものを見て、物事を知って、成長したからだ。
2017-11-18 06:04:154話。れんげは同い年の女の子ほのかと出会う。この村で同い年の女の子と遊んだことのなかったれんげなので、本当に嬉しかったのだと思う。そして、父親の仕事の都合で、ほのかが突然いなくなってしまい、悲しくてこらえきれず涙をこぼす。 pic.twitter.com/rE0rGgJZmV
2017-11-18 05:45:30「やっぱりここって田舎なのん?」 この言葉には、れんげの寂しさがぎゅっと詰まっていると思う。遊ぶのはみんな自分より年上の子達、会いたい人がいても会えないし、父母ですら忙しくてかまってくれない。それが当たり前だと思っていたけれど、田舎だからだとわかり始めたのかもしれない。
2017-11-18 05:54:40越谷兄(中3)、小鞠(中2)、夏海(中1)なので1年ごとに高校進学で1人ずつ減っていく。れんげはひか姉と会えなくなって、これからまた、少しずつ誰かがこの田舎から出ていくことを何となく察しているのかもしれない。
2017-11-18 06:17:32「やっぱりここは田舎なんな」 と言ったれんげに対して、蛍は言う。 「都会と違うとこがいっぱいあって、山も砂も山菜もあって、私はここが大好きだよ」 このシーンは、『のんのんびより』1期のシナリオにおける終着点だと思う。
2017-11-18 06:20:30「私はここが大好きだよ」 それは蛍がこの村で1年を過ごして、都会にはない自然や風景や文化に触れて、学校のみんなや村の人達と過ごして、本当にそう思ったから出た台詞だ。12話までずっと描かれていたことだから、蛍の台詞には説得力がある。
2017-11-17 10:52:34れんげもそれを聞いて嬉しくなる。都会を知っている蛍が「ここが大好きだよ」と言ってくれたことで、れんげの中のモヤモヤした寂しさは少しなくなったのだと思う。
2017-11-18 06:23:31その後、れんげが夏海に作ってもらった “れんげ” の花冠を被って山を走るシーンがとても良い。伸び伸びとしていて、微笑ましい。高揚感がある pic.twitter.com/BcMz3gSheN
2017-11-18 17:57:36『のんのんびより』日常系というジャンルで特に大きなストーリーのない作品だが、そこに住んでみたいと思わせる空気感がある。何より風景が美しく、癒される作品だ。
2017-11-17 11:05:03