不思議図書館の黒猫

放課後の図書館は僕の居場所だ。 図書委員が淹れてくれる紅茶は最高だし、静かな空間で読む本も最高だ。 僕のお気に入りの場所。 ただ一つ難を言えば、図書委員がこっそり飼っている黒猫。 続きを読む
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ハラヨシ @harayosy

#twnovel 彼女と紅茶と黒猫と図書館と放課後と、そして、少し不思議な出来事と。僕の周りの世界は、そういったものでできている。

2010-12-04 23:42:42
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の憩いの場。カウンター近くのテーブルで本を読むのがお気に入り。図書委員の彼女とは、ちょっとした仲良しで、時にはカウンターの中で紅茶を飲んだりする。「みゃう」彼女がこっそり飼ってる黒猫。やれやれ、また何かしでかすんじゃないよね?不思議はもう勘弁。

2010-12-05 09:52:20
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 「…駄目だ。出られない」放課後の図書館。鍵がかかってないのに外に出る事が出来ない。「みゃう」黒猫がカウンターで暢気に寝転がってる。くそ、またお前か。お前なのか。睨んでると、図書委員がカウンター奥からやってきた。「…紅茶。飲む?」「…飲む」彼女は不思議に慣れてる。

2010-12-05 10:00:00
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 「みゃう」放課後の図書館。「みゃう」いつもの如く、ここにいるのは僕と図書委員の彼女と黒猫だけ。「みゃう」「みゃう?」「…みゃう」聞こえるのは、黒猫の声ばかり…ではなく。「みゃう」黒猫に文句を言う僕の口から出るのも「みゃう」彼女の声も「みゃう」黒猫も当然「みゃう」

2010-12-07 22:17:07
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館が僕の居場所。主と化している図書委員に軽く挨拶しながら入っていくと、いつものように紅茶が出てきた。「…飲めるのか」黒猫がカウンターで冷ました紅茶を飲んでいる。「にゃお」悪いかといわんばかりの声だ。「…ふん」僕は紅茶を一口。「…」味がしない。お前か。

2011-02-04 23:21:10
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。「…本物はどれだ」「にゃう」無数にちらばる箱、箱、箱。図書委員の彼女からもらったチョコ。食べようとしたら例の黒猫が邪魔しやがった。「にゃう」「後で覚えてろよ!」図書委員に懐く黒猫。くそう。僕は、無限の中からたった一つを探し始めた。

2011-02-13 23:25:28
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。だが、しかし、今日は違った。「嫌な予感はしてた」「…2月22日だから」図書委員が言う。「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」「にゃう」黒猫多すぎ。

2011-02-22 01:07:58
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。「…たまには仲良くして」仕事の邪魔になったのか図書委員が僕に黒猫を押し付けて早30分。「…」「…」一人と一匹の間には微妙な緊張感が漂っていた。滅多に怒らない図書委員の一喝が相当堪えた。…らしい。僕は別に、その…後で謝ろう。「にゃう」

2011-02-23 22:06:01
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所で、今日はエイプリルフール。というわけで。「…どうしたの、帽子なんかかぶって」「あの…実は僕猫耳だったんだ」帽子を取る。パーティグッズの猫耳。…だったんだけど。「それ、本物みたい」「え!?」触る。「…うわわ」本物だ。「みゃう」お前か。

2011-04-01 22:57:26
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。久しぶりのゆっくりとした時間。黒猫は最初見かけただけで何処かに行ってる。近くのカウンターに図書委員がいる。二人きりの空間。悪くない。でも、こう隣同士で席くっつけたら、もっと…「ねえ」「え?」「心の声。聞こえてる」「…」く、黒猫ー!?

2011-05-15 11:29:22
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。静かな空間には、黒猫のような存在はいらないし、図書委員が淹れてくれる紅茶は、僕の為だけにあるのであって、猫舌の黒猫にあげるようなものでもないし、お気に入りの本は読むためにあるのであって、黒猫が寝るベッドではないしとにかく黒猫うざい。

2012-10-20 00:22:52
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。冬の図書館は、窓から入る隙間風でちょっと寒い。暖房が少しでもきくテーブルで、僕と図書委員はゆっくり紅茶を飲む。至福の時。「みゃう」ついでになんかいる。「みゃう」うるさいのがいる。「みゃう」黒いのは邪魔だ。「みゃう」彼女の膝からどけ。

2011-12-21 23:18:55
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。学校の敷地の奥にあるそこは、行くのが少し面倒くさいという微妙な距離のせいか、利用者が少ない。だから誰も知らない。物静かな佇まいの図書委員が実はちゃっかり者で、誰も来ないことをいいことにカウンタースペースを私物化してることに。 

2012-10-20 00:29:27
ハラヨシ @harayosy

#twnovel 放課後の図書館は僕の居場所だ。不要なオプションであるところの黒猫だが、1つだけ良い所がある。窓際のテーブル。おもむろに座り込み、丸まった黒猫を枕代わりに突っ伏す。「おおう…」モフモフである。嫌そうに逃げ出そうとする黒猫。「仲良いね」図書委員の声。気のせいです。

2014-02-25 18:33:15