【お隣さんの合鍵】

りえこ @eighter_rieko83

【お隣さんの合鍵】 1 正確には４年前、確実には３ヶ月前…失恋したわけで。 ４年前と確実に違うのは、ちゃんと思いを伝えられたこと。 やから、スッキリはしたんやけど…新しい恋を始めるにはどーしたらえぇんやっけ？ 恋の始め方とか…忘れてもぉたなぁ…。

りえこ @eighter_rieko83

2 俺かて全然モテへんわけちゃうで？ お誘いはそこそこあるし…今日もさっき、会議室の後片付けしとったら、総務部のＸＸちゃんに飲みに誘われた。 金曜日 明日休みやし、どうせ予定もないし…なかなかの美人やし…お誘いに乗ってみた。 《丸山さん…なんで彼女いないの？》

りえこ @eighter_rieko83

3 「せやなぁ…モテへんから？」 《それはないよぉ(笑)》 「そーなぁん？ほんなら…あ、実は同性愛者やとか？」 《ふふっ…じゃあ…確認してもいい…？》 「確認？どぉやって？」 《…丸山さんの家…行ってもいい…？》 ほぇ～そうきたかぁ…。 もちろん悪い気はせぇへん…。

りえこ @eighter_rieko83

4 《…だめ…？》 「いや…それはえぇけど…どぉやって確かめるん？」 なぁんて…ちょっと意地悪言うてみたりして。 《それは…連れてってくれたら教える…。》 大胆な誘い方しとるくせに、そこは顔赤くするんや…かぁわいー…。 「部屋、汚いけどいい？」

りえこ @eighter_rieko83

5 頷く彼女を連れて、店を出た。 こんなご褒美あるんやったら、部屋の片付けちゃんとやっといたら良かった…。 でも、彼女には逆にそれが刺さったみたい。 《ホントに彼女いないんだ…良かった…。》 小さな声でそぉ言うてたから、意外と本気で彼女の座狙ってくれてんのかなって…。

りえこ @eighter_rieko83

6 適当に散らばったもん拾い上げて、隣の部屋にポイっと投げ入れて扉を閉めた。 「ここ座ってて？何か飲みもん…、」 言われたソファーに座った彼女が、キッチンへ行こうとする俺の手を下からキュッと握った。 振り返って彼女を見ると上目遣いでジッと俺を見つめてる。

りえこ @eighter_rieko83

7 「えとぉ……、」 黙って見つめるその目に負けて、ゆっくりと隣に座る…と、俺の腰に腕を巻き付けて抱きついてくる。 《ずっと…好きだったんです…だから、忘れられない人がいるのも知ってます…。それでもいいので…付き合ってもらえませんか？あの…その……今日…だけでも…。》

りえこ @eighter_rieko83

8 それは…エッチだけでもいいから…ってことぉ？？ 捨て身やなぁ…付き合っても…えぇんちゃう…？ 彼女の手が俺の手を取り、自分の胸に押し当てた。 そして、伏せてた赤い顔を上げると、再び上目遣いで見つめてくる。 こんなん、なんもせんなんて男ちゃうやろ…！

りえこ @eighter_rieko83

9 カッとスイッチが入ってキスをした。 その勢のままソファーに押し倒す。 すでに触れていた胸は、柔らかくて大きくて…堪らず反対の手も加えて両手で両方包んだ。 あー久しぶりすぎて…俺の俺がもう窮屈感…。 《んっ…待って…。》

りえこ @eighter_rieko83

10 小さな声で《シワができちゃうから…》と言って俺の下から出て立ち上がると、自分で自分のシャツの釦を外し始めた。 ソファーに座って目の前で見えるそのうれしい光景をボーッと見つめてしまう。 《恥ずかしいから…電気…少し暗くして欲しいな…。》 「えっ？あっ、そぉやんな！」

りえこ @eighter_rieko83

11 慌てて照明を少し落とす。 そして振り返ると、彼女は下着だけで恥ずかしそうに俯いてる。 着痩せするタイプ…ってやつやな…触った時大きい思たけど…ほんま…なんか、ありがとうございます…！ 側へ戻って、おずおずと抱きしめながらキスをした。 《わたしだけ…恥ずかしいから…。》

りえこ @eighter_rieko83

12 「へっ？！あっ、ごめっ、」 《脱がしてあげる…。》 彼女の手が俺の服をスルスルと脱がしてく。 うわー、積極的…こんなん初めてやぁ…なんか…興奮するわ…。 パンツいっちょになった俺を座らすと、ソファーの下に座り俺の俺をサワサワと触ってくる。 《…苦しそう…。》

りえこ @eighter_rieko83

13 下着の上から存分に触られて、すっかり元気になったのを確認して、彼女はそう言った。 そして、パンツに手をかけて引っ張るから、脱がせやすいように腰を浮かした。 《あんまり…見ないでね…？》 顔を赤くしながらも躊躇なく直接撫でると、それを口に含む。

りえこ @eighter_rieko83

14 「ふわぁっ…！」 あかん、めっちゃ刺激強い…。 あんま見るなとか、それは無理やで…。 視覚も聴覚も感覚も…全てが気持ち良過ぎる…。 「もっと奥まで…できる？」 《んっ…んん…、》 言われた通り更に奥まで咥え込む。 あぁ…あかん…もう…。

りえこ @eighter_rieko83

15 「なぁ…ここ、座って？俺も触りたい…。」 口から解放し、その口元を拭いながら頷いた。 跨るべく立ち上がった彼女。 自分の下着に手をかけた瞬間、俺の背後に気を取られた…。 《きゃっ…！！》 そして、身体を隠しながら小さくなった。 え？ 何？？ ゆっくりと振り返り確認する。

りえこ @eighter_rieko83

16 『隆ちゃん…その女、誰？』 えぇぇぇぇぇっ？！ 「おっ、おまっ、なんでここおんのっ？！」 『何女連れ込んでんのっ？！ねぇ、あんた誰なのよ！』 《そ、そっちこそ…！…え…？》 『カノジョに決まってんじゃん！これ、何だか分かるでしょ？』

りえこ @eighter_rieko83

17 持っていた鍵を手元で揺らす。 えっ？！ もしかして合鍵？！ 「おまえ、なんでそんなもん、」 《帰ります！！…嘘つき！》 後ろに気を取られとったら、いつの間にか服を着た彼女が半泣きで玄関へ向かった。 「ちょっ！！待って！！」 そんな声が届くはずもなく。

りえこ @eighter_rieko83

18 てか、俺素っ裸！！ 「あっ！！」 慌ててまるまったパンツを履いて追っかけた…けど、すでにおらん…。 『りゅーちゃん…。』 呆然とする俺の背中に抱きついてきた彼女を、反射的に払い除けようとするが、いきなり急所を包まれて動きを止めてしまった。

りえこ @eighter_rieko83

19 「おっ、おまえ…どこ触ってんねん…っ。」 萎んでたのに、また力を持ってくる情けない俺の…。 『したいんだったら…あたしがしてあげるから…。』 「なっ！！えっ、えぇわけないやろ！おまえは単なる幼馴染みやろ！つか、なんでおまえ合鍵なんか持ってんねん！」

りえこ @eighter_rieko83

20 一気に喋ってそこから気をそらす…けど、あかん…いや、コイツとはもっとあかん…！ 「やっ、やめろってぇ…！」 手を引き剥がして少し間をとって向かい合う。 『だって…あたし以外の女と…絶対やだ…！』 涙目で睨まれる。 『あたしが隆ちゃん好きなの知っててこんなっ…！』

りえこ @eighter_rieko83

21 「しっ、知っとるけどっ…おまえはただの幼馴染みで、今はお隣さんで…っ、…それだけやて…。」 堪えきれずに睨んだまま零れた涙。 「ごめんて…でも…何回も言うてるやろ…おまえの気持ちには応えられへんねんて…。」 『………りゅーちゃんのバカっ！！』

りえこ @eighter_rieko83

22 目の前の俺を押し退けて玄関へ走り、そのまま出ていった。 そう…何回も言うてる…。 妹にしか思われへん。 せやのに、隣にまで引っ越して来て…ありがたいけど、ホンマに応えられへん。 ごめんて…。

りえこ @eighter_rieko83

23 月曜日の昼、社食に響く信ちゃんの笑い声。 なんなら涙流して笑ろとる…そんな笑わんでもええやん…。 〈はぁー…あー…おもろいわぁ…っ。〉 「笑いすぎやろ…。」 〈いやすまん…くくっ…あはっ…。〉 こんな恥ずかし過ぎる話、俺だってするつもりやなかったわ。

りえこ @eighter_rieko83

24 せやけど彼女のいちばん仲良い女の子が、この会社でも１、２位を争うおしゃべりな子やったってゆーのは、全くの計算外やった。 会社に出るなりの冷たーい女性陣の視線…原因に気付くのにそう時間はかからんかった。 そして、信ちゃんがそのおかしな視線に気付くのもすぐの事やった。

りえこ @eighter_rieko83

26 「やるなぁー、やないて…。」 〈ビンタすごかったもんなぁ！〉 そう…アイツは初対面の信ちゃんにビンタなんかしよった…。 「その節は…すんませんでした…。」 〈いやいや、あれはえぇねん、そもそも俺がアカンねんから。〉 あれも俺が好きやからってゆー理由やったな…。