科学文明の滅亡と、魔法文明による人類の復興

単なる夢日記、自分向け
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にゅい @lanuit2012

起床。面白い夢をみた。人様にとっては何の意味もなく、だらだら長いだけの夢だろうけど、きっとこれは後々自分の役に立つ気がするから、備忘録として書きこのしておこう。睡眠時間は4~5時間、量は足りてないけど、今のところコンディションはわるくない。

2018-03-26 08:37:45
にゅい @lanuit2012

夢の中で、人類の化学文明はほぼ滅んでいた。何かしらのカタストロフが起きたんだけど、それはついぞ夢の中では明らかにならなかった。ただ、生き残った人間がわずかと、人間に群がって食べてしまう死者とが溢れかえっていた。厳密には死んでいなかったけど、話し合いの余地などなかったから同じこと。

2018-03-26 08:41:04
にゅい @lanuit2012

生き残ったわずかな人間は、外界から隔てられた安全な場所に立てこもった。夢の中の私は十数歳で、数十人と一緒に廃工場か何かに住んでいた。正門も正面玄関も鎖で封鎖されていて、ダクトは数少ない出入り口だった。死者はダクトまで入ってこなかったから、少なくとも、それまでは。

2018-03-26 08:43:34
にゅい @lanuit2012

ある日私は、男の子と2人でスカベンジに出かけた。「食べられるもの、使えるものは何でも拾ってくる」という大事な仕事。収獲はそこそこで、私たち2人は大きな荷物を先に押し込んで、頭で押すようにしてダクトに潜り進んだ。私たちのシェルターまであと少し、という時、男の子がすごい悲鳴をあげた。

2018-03-26 08:48:26
にゅい @lanuit2012

死者がダクトに入り込んでいたのだ。彼らにそんな知恵はないはずなのになぜ?と思う暇は、その時は無かった。私は彼を救うことをすぐに諦め(聴こえていた悲鳴はもう途絶えていた)、自分の荷物だけを頭で押しながら、必死にダクトの出口、ボイラー室を目指した。

2018-03-26 08:52:22
にゅい @lanuit2012

シェルターに着くと私はすぐに大人たちに知らせた。彼らはなけなしの武装をして、数人はダクトから、数人は別の出口から出ていって、少年と荷物(これだってこんな状況下では大事だ、ヒューマニズムだけでは生存できない)を「回収」に行った……なにしろ少年が生きている確率はほぼ無かったのだから。

2018-03-26 08:55:47
にゅい @lanuit2012

予想通り、少年は無残な姿で見つかった。私は少年の母親に、彼の最期を伝えなくてはならなかった。母親は私に何も言わなかったけれど、その目が明らかに言っていた。「なぜ貴女ではなくて、私の息子だったの?」と。無理もない、私には身寄りがいなかったから、死んでも悲しむ人はいない。

2018-03-26 08:59:04
にゅい @lanuit2012

数日経って、シェルター内で騒動が起こった。母親が少年の亡骸を自室に隠していたのだ。それがどんな重大事か、もうその頃の私たちは知っていた。シェルターの外をうろつく大量の死者たちは、医学的に死んでいるのではなく、「穢れ」てしまった人間なのだ、と。少年は火葬されなければならなかった。

2018-03-26 09:23:41
にゅい @lanuit2012

少年の亡骸の発見があと少し遅れていたら「穢れ」はシェルターじゅうに広がって、私たちは全滅していただろう。シェルターまるごとが、人間を襲う死者の群れと化していただろう。私たちは少年の死を受け入れられず、抵抗する母親を一室に閉じ込めて、丁寧に少年を火葬して、お葬式をした。

2018-03-26 09:26:55
にゅい @lanuit2012

科学文明が滅びて、代わりに不思議な法則が世界を支配し始めたことに、もう生存者のほぼ全員が気づき、慣れ、そしてそれを利用し始めていた。「魔法」だ。どういう法則性で、どうやって使うのかは誰も説明できなかったけど、私たちのような少年少女がスカベンジに行けるのも、魔法のおかげだった。

2018-03-26 09:29:28
にゅい @lanuit2012

ファイアボールみたいな魔法が存在するわけではなくて(あったらもっと大々的に死者との戦いが行なわれていただろう)、もっと地味に、身を隠しやすくする、風向きをちょっと変える、物を見つけやすくする、とか一見「偶然」にしか見えないものばかりだった。でも、それに何度も救われたのも事実。

2018-03-26 09:33:19
にゅい @lanuit2012

だから、「何故か」ということは皆目見当もつかないけれど、とにかく「魔法」がカタストロフ後の世界に不意に姿を現わしたことを、もうほとんど人が(一部の頑迷な人を除いて)疑っておらず、むしろ積極的にその使い方や法則などを何とか解明しようと躍起になっていた。人類復興の鍵として。

2018-03-26 09:36:04
にゅい @lanuit2012

数年後。「死者」と呼ばれていた人の穢れは祓われ、人類は復興した。魔法という力のもとに。勿論、その過程において「ゾンビ」として殺された人々もいた。それでも、人類はほぼ、元の生活を取り戻した。ただ、世界、もっと私の視点寄りでいえば、街は中世か、それよりもっと現代寄りの眺めだった。

2018-03-26 09:41:44
にゅい @lanuit2012

私は高校生になっていて、ヴェネツィアのような街の中に学校はあった。教室のベランダの真下は運河で、学校の隣はカフェテラスだった。私はベランダでコーヒーのいい香りを吸い込みながら、かつてのシェルター暮らしとの、天と地ほどの差を、しみじみ感じていた。平和っていいものだ、と思っていた。

2018-03-26 09:45:20
にゅい @lanuit2012

クラスメイトが、次の授業は水泳だよ、と言っていた。それはそうだ、こんな街に住んでいて泳げないというのは重大な問題。水泳は体育の一環でなく、それのみで単体の授業として成立していた。魔法といえど、魔導文明のようなものではなく、一部の人が行使し、一部の人は普通に暮らしていた。

2018-03-26 09:47:19
にゅい @lanuit2012

ただ私は、ベランダから街と運河とカフェテラスを眺めながら、どうも街が騒がしいな、と思っていた。そこに、箒にまたがった初老の女性の先生がやってきた。私は箒を使わずに空を飛べる数少ない人間で、それゆえか、この先生ととても親しかった。けれど、彼女が運んできた知らせは一大事だった。

2018-03-26 09:49:14
にゅい @lanuit2012

それは、街の市場が「穢れ」に冒されてしまった、という知らせだった。穢れを祓うのは専門の魔法使いの仕事だったし、何故かこの世界では大人のほうが魔法の力が強かったから、私の仕事は校内を飛び回って避難を呼びかけることだった。初老の女性の先生はそのまま市場に行くと行って飛び去って行った。

2018-03-26 09:51:54
にゅい @lanuit2012

中途半端ながら夢はここで終わって、目が覚めた。なぜか私はこの夢に限らず、しばしば夢の中で飛ぶことが出来て、そしてそのことにあまり疑問を持っていない。普段の自縄自縛的な物の考え方からいけば、もっとも「飛べない」側の人間であるのに、不思議といえば不思議なことだ。

2018-03-26 09:55:52