- suzumeninja
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「おーい!那須!」家の外から那須を呼ぶ声がした。「ん……うわ!しまった!」友達と遊びに行く約束をしっかり忘れてしまっていたのだ。「ごめんごめん!すぐ行く!」那須はパソコンの電源を落とし、友達の呼ぶ声に答えて大急ぎで家を出ていく。 16
2018-03-31 15:50:53それからしばらくして、那須と友達たちは、公園のベンチに集まってゲームをしていた。みんな協力してモンスターをやっつけるゲームだ。「あー!くそ!このモンスター強い!」「俺がサポート行くまで耐えてろ!」 18
2018-03-31 15:54:51仲間のピンチに那須が駆けつける!「回復魔法だ!みんながんばれ!」那須のキャラクターが魔法を使うと、全滅しそうだった仲間たちが復活!「助かったぜ!」そのままモンスターに一斉攻撃をしかけ、見事撃破!「やったぜ!」「いえーい!」勝利のハイタッチ! 19
2018-03-31 15:56:57「それにしても、那須のキャラ、見た目の割に強いよな」「見た目の割にってなんだよ!れっきとしたヒーラーだぞ!」友達のキャラクターは、鎧や大剣を備えたいかにも強そうな見た目であるが、那須のキャラクターは、一言で言ってしまえば白衣の天使だ。 20
2018-03-31 15:59:42「まあ、那須のおかげで俺達は無鉄砲に突っ込めるんだけどな」「そうだぞ!少しは俺に感謝しろよよな!」「うん、いつもありがとう」「ヘヘッ」那須は笑って答える。みんなに頼りにされることは、那須にとってまんざらでもなかった。「……ねえ、あの噂、どう思う?」 21
2018-03-31 16:06:08友達の一人、堀巣(ほりす)が神妙な顔で話を切り出した。「あの噂って、ソロモン失踪のことか?」「うん」数年前のこと、天才的なハッカーが現れ、コンピュータ技術に革新をもたらした。まるで魔術師のようなチュワンから、ソロモンの異名で呼ばれていたほどだ。そのソロモンが、姿を消した。 22
2018-03-31 16:12:53「うーん、俺はただの噂だと思うけどなあ」「本当だったら今頃ニュースになってるだろうし」「俺もそう思う」那須たちは全員、特に信じてはいなかった。「……僕は、本当なんじゃないかって思ってるんだ」堀巣は、より真剣な顔つきで話を続けた。 23
2018-03-31 16:15:45「ソロモンは、自分の技術を72個のアプリに分けて、悪用されないように一人で使っていたらしいんだけど、もし、それを狙って誰かがソロモンを襲ったとしたら、それ自体を隠蔽できるんじゃないかな……」「いやいやいやいや!考えすぎだろ!」友達が笑い飛ばす。 24
2018-03-31 16:18:59「だいたい、ソロモンが天才だったら、だれがそれ以上の天才じゃないと勝てないだろ」「そうそう、そんなやつがいたら今頃超有名人だよ!」「それは、そうなんだけど……」堀巣の表情が暗くなる。 25
2018-03-31 16:20:38「まあ、いいじゃねーかよ!もししたら本当かも知れないんだし、この話はまた今度にしよーぜ」暗くなりそうな雰囲気に、那須が割って入る。「それより、続きだよ続き。次のモンスター倒しに行こーぜ!」「お、そうだな」「よっしゃ!」那須の声に場の空気は変わり、再びゲームに熱中することに。 26
2018-03-31 16:23:07時刻は午後6時、そろそろ帰らなければならない時間だ。別れの挨拶を終えて、それぞれが家路につく。「那須くん」「ん?」那須が帰ろうとした時、堀巣がそれを呼び止めた。 28
2018-03-31 16:25:09