労働組合法上の労働者性についてby野川忍先生( @theophil21 )

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theophil21 @theophil21

(1)今日最高裁で出された画期的判決。新国立劇場事件において最高裁は高裁の判断を覆し、実質的に劇場の支配下にあった歌手や演奏家が、労働組合を結成して劇場を相手に団体交渉を要求できるという意味での「労働者」にあたると判断した。高裁判決はいかにもずさんだったので朗報である。

2011-04-12 17:28:56
theophil21 @theophil21

(2)労働組合法上の労働者にあたるか否かについては、他に業務委託従事者の労働者性が争われたINAX事件があり、これについても高裁は労働法に疎いと言わざるを得ない判断を示していたが、最高裁では今日の新国立劇場事件と同様の逆転判決により労組法上の労働者と認める判断を示すことが確実。

2011-04-12 17:33:29
theophil21 @theophil21

(3)プロ野球の選手もプロサッカーの選手も労働組合を作れるように、労基法上の労働者に該当しなくても、働く者に対して支配的立場にある相手方がいる場合は、その働く者は労働組合を作って相手に団交を要求したりストライキを打つことができる。形式的に自営業者であっても同様である。

2011-04-12 17:40:42
theophil21 @theophil21

(4)現在の労組法の体系においては、そのように解するのが当然の帰結であるのに、ちょうど司法試験の谷間の時代にあたって労働法を十分に勉強する機会がなかったのか、高裁の裁判官は非常にずさんな判断で労組法上の労働者の範囲を無理に限定していた。最高裁によってこれが是正されたと言える。

2011-04-12 17:44:18
theophil21 @theophil21

ごめんなさい、INAXも出ましたか。こちらは自判だったのですね。いずれにしてもホッとしました。労働法理論の質の向上のためにもめでたいことです。@ssk_ryo

2011-04-12 18:03:31
theophil21 @theophil21

最高裁による「差し戻し」と「自判」について。「差し戻し」は、高裁の結論がおかしいことは確かだが事実関係等について高裁で調べなおす必要があると判断されて高裁に戻すやり方で、自判は、そのような事実関係の確認の必要がなく、最高裁としての考え方を示せばすむと判断された場合の手法です。

2011-04-12 18:12:43
theophil21 @theophil21

もちろん「常に」とは限りませんが、仕事が出版社側の一方的な都合で決められて、漫画家の側に裁量の余地がほとんどなく、報酬に賃金としての性格があるなどの要件が満たされれば、十分に労組法上の労働者とみなされる余地があると思いますよ@tikani_nemuru_M

2011-04-12 23:15:06
theophil21 @theophil21

(1)劇場専属の歌劇団員らが労働組合を結成して団交を請求しうる意味での「労働者」であると認めた新国立劇場事件に続き、最高裁は、住宅設備機器メーカーの製品に関する修理業務を請け負うカスタマーエンジニア(CE)も、形式的に自営業者であっても労働者と認められると判断(INAX事件)。

2011-04-13 08:39:25
theophil21 @theophil21

(2)要するに最高裁は、自営業者であるとか個人の請負・委託業者であるといった形式面にとらわれず、実質的に相手の支配下にあり、受け取っている報酬が労働の対価として「賃金」と認められる場合には労組法上の労働者であるという一般的判断を示したこととなり、その影響は絶大である。

2011-04-13 08:43:45
theophil21 @theophil21

(3)労基法上の労働者と労組法上の労働者の違い。前者は、使用者に対して劣位に立たされることを踏まえて国家による保護を与えることがなじむような人々であり、後者は、労働組合を結成して自分たちに対し支配的立場にある相手方と交渉することで報酬や働く環境を向上させることになじむ人々である。

2011-04-13 08:54:45
theophil21 @theophil21

(4)具体的には、実際に雇われて指揮命令を受けていないと労基法上の労働者とは認められにくいが、離職した人や個人営業の人でも労組法上の労働者とは認められやすいという違いが出てくる。最高裁の二つの判決は、働く人々の幅広い層に、「組合を作って交渉する」権利を認めたのである。

2011-04-13 08:57:40