隣人の生活を観察した上で、騒音の出所を誤認させてご近所トラブル殺人事件を誘発し、それを解決して探偵事務所に就職しようと試みる大学生 #レオパレス文学
2018-05-31 19:56:51そのアパートは壁が薄く、屋根裏に至っては全戸共通だった。おかげで死体発見現場と実際の殺害現場の相違、殺害時の物音までが絞り込めず、簡単に壁が破れるような単純な建物で起きた事件は、迷宮入りの様相を示し始めた。 #レオパレス文学
2018-05-31 19:48:01#レオパレス文学 きっと、私は君の事を何でも知っている。 好きな音楽はダンスポップである事。得意料理はパスタである事。不動産の営業マンである事。昨日信頼する人に裏切られた事。 「会いたい」 ふいに君は呟いた。 私は、天井裏に登った。 君が、そこに居た。 私達は、そこでキスをした。
2018-05-31 19:36:06寝て起きて会社に行く毎日。 眠りにつく30分前にこの小さな自分だけの部屋で猫の動画を眺めることだけがわたしの楽しみだ。 にゃあ ひとこと、発してみた。 にゃあ にゃあ にゃあ 左右上下の部屋からヒトの声の猫語が聞こえる。わたしの再生する猫動画にみんなが癒されてる。 #レオパレス文学
2018-05-31 14:43:25「ただいま 」トントトン 「いってきます 」トントトン 「泣いていい? 」トントトン 「あした引っ越すの」 トトトトトン!!!!! 会話はしない 心が通じてる #レオパレス文学
2018-05-31 13:56:08#レオパレス文学 「あたし子どもが欲しい」 いつかはこんな日が来るのではないかと思っていた。 たが俺たちは結婚などしていない。1つ屋根の下で暮らしている男女という関係なだけだ。 なんだったら同じ部屋ですらない。 薄い壁を隔てた隣人である。 0.02mmにも満たない壁を破る日が来たという事か。
2018-05-31 13:52:05#レオパレス文学 鰹の風味が部屋に舞い込んだ。包丁が鳴らすモデラートが続いた。俺は目を覚ました。あいつがいた10年前の夏を錯覚した。 「…おはよう」 俺はあの日のように声をかけた。 「おはよう」 あの日のように返ってきた。 壁の隔たりなど少しも感じなかった。 ただ「あの日」がそこにあった。
2018-05-31 13:28:36