「鋼の」「とある」「の孫」「っ」をつけてみる

@STARGAZER623

色々な言葉に「鋼の」「とある」「の孫」「っ」を付けてみる。

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「鋼の」を付けると文字通り強い印象になるが、相手によって印象が異なる。

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鋼の森田成一だと、殺陣の稽古をする姿が思い浮かぶが、鋼の田中理恵だとよっぱらいや痴漢に説教をするイメージ。鋼の池澤春菜だと胸の大きく開いたパーティドレスが浮かぶ。補正のコルセットとパットがキッチリでまさにカッチカチやぞ！というわけだ。

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しまった。（敬称略）

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「とある」が付くとありふれた風景にイベントフラグが発生する。松屋のキムチ牛丼は何の変哲もない昼食だが「とある松屋のキムチ牛丼」だと話が変わる。

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ある昼下がり、俺は松屋に入ってキムチ牛丼の食券を購入した。しばらくしてやってきたキムチ牛丼は俺の向かいの席にすわる少女が先に注文していたものだった（少女の定型文的な描写略）

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ぼんやり眺めていると、彼女は七味とソースをとりだし、キムチ牛丼の上に満遍なく振り始めた。一寸驚嘆した俺は…しかしほどなく出された自分のキムチ牛丼に同じように七味とカルビソースをまぶしていた。

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「七味とカルビソースが交錯する時、新しい味覚が始まる」というわけだ。ついでになんかもうどっかで見たようなラブコメも。

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「の孫」は自己紹介の手間を省略し、簡潔に相手に説明する事が出来る。「金田一耕助の孫」といえばもう名探偵間違いなしだし、「アルセーヌ・ルパンの孫」なら大泥棒以外の何物でもない。

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もっとも、どんなことにも例外はあり「元内閣総理大臣の孫」となると世襲政治家の姿が浮かぶ…とみせかけて指空きグローブを連想する人も多いので注意が必要だ。

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最後は「っ」である。これはマヨネーズのようにあらゆる状況をまろやかにする効果が期待できる。どんな逆境も「っ」だけで少しの希望が見える。 「四月から無職」だと氏にたくなるが、「四月から無職っ」だと、五月には仕事が見つかるような、そんな期待ができる。

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こういう時だからこそ、いつでもどこでも「っ」を付けくわえて、ピンチを乗り切る力に変えたい。

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一つ補足しなければいけない。何でもかんでも全部乗せすればいいというものではない。試しに「とある鋼の浅野真澄の孫っ」をイメージして欲しい。どうだろう？流行りものを全部乗っけようとして１０週打ち切りされる作品が容易に想像できたはずだ。

ほしをみるひと @Stargazer623

全部乗せは意外に難易度が高い。それを可能にするには天地明察するほどのテクスト構築能力が必要であろう。（了）