夏時刻法を廃止する法律

荻上チキ @torakare

昭27.3.28衆本会議、島田末信「労働委員会におきましては（…）質疑省略の動議を可決し、引続き倉石忠雄君より、中曽根康弘君外七十四名提出の夏時刻法を廃止する法律案及び船越弘君外十一名提出の夏時刻法を廃止する法律案の両案を併合し、（…）これを多数をもつて可決いたしました」

荻上チキ @torakare

昭27.3.28衆本会議、柄澤登志子「日本の労働者並びに農民、学生あるいは家庭の主婦に対しましては、まことにその生活の上におきまして不便をきわめ、労働者あるいは学生を持ちますところの家庭の主婦は、朝三時から起きまして、弁当のしたく、出勤のしたく等をしなければならなかつたのであります」

荻上チキ @torakare

昭27.3.28衆本会議、柄澤登志子「さらに労働者に至りましては、早朝から深更まで、夜九時、十時までの労働強化がしいられましてそのために非常な苦しみを得たのでございます」

荻上チキ @torakare

（続）「日本国民が日本の時間に帰る、日本の生活様式を守る、アメリカ式様式を押しつけられることに対しての反対、これをまつ先に取上げて闘つている日本共産党を除外して、自分たちがこの要求を取上げたという見せかけをするために（…）党利党略によつて委員会を強行したのでございます」

荻上チキ @torakare

昭27.03.28衆労働委、森山欽司「夏時刻法は、日本の実情に適さず、特に労働者あるいは農民あるいは家庭の主婦等には過労の原因となるので、廃止する必要があると思います。（…）ただ日本の実情に適さざる点を、共産党特有の反米運動の一翼として利用しようとする立場とは、私どもは違うのであります」

荻上チキ @torakare

昭27.03.28衆労働委、船越弘「労働者や、あるいはまた家庭の婦人や、あるいは農民たちが、このたびのこの夏時刻法によりまして労働が強化される、こういうのでわれわれはこれを廃止しようというのでありまして、アメリカ式のものを強行されているから廃止するということでは絶対にないのでございます」

荻上チキ @torakare

（続）「特にわが国におきましても、関西地方においては時差が相当ございますので、この夏時刻法によるところの労働強化は、関西においては特にひどいのであります。」

荻上チキ @torakare

同日、島田委員長「起立多数であります。よつて動議のごとく決しました。ただいまの議決によつて、井之口政雄君外二十二名提出の夏時刻法を廃止する法律案は議決を要しないものとなりました。さきに議決されました両案の報告書については、委員長に一任願うに御異議ありませんか。（異議なし）」

荻上チキ @torakare

昭27.4.1参労働委、中村正雄委員長「只今より会議を開きます。公報を以て御通知いたしておきました夏時刻法を廃止する法律案、これを議題に供します。先ず提案者の説明をお願いいたします。衆議院議員の島田末信君」

荻上チキ @torakare

同日、島田衆議院委員「夏時刻法は御承知の通り昭和二十三年四月に制定されましたが、この法律によつて国民生活において日光を十分に利用する習性を養い、以て一、国民保健の増進に寄与する、二、電力石炭等の重要資源を節約することを狙いとしたのであります。」

荻上チキ @torakare

同「ところが夏時刻の始期を四月の第一土曜日の午後十三時にすることは国民の実生活に適合せん点を多々生じましたので、昭和二十五年三月法律の改正が行われ、始期は一カ月遅れて五月の第一土曜日の午後十二時からとせられたのであります。」

荻上チキ @torakare

同「夏時刻はその後の実施経験に鑑みましても労働者、農民及び家庭の主婦等の過労の原因となり、却つて能率を低下させる慮れもありますので、これを廃止する必要があると認められ、（…）議員より廃止法案が提出せられ、法案の内容自体については殆んど論議もなく衆議院において決議を見た次第」

荻上チキ @torakare

委員長「只今提案理由の説明を承わりましたが、夏時刻法の廃止に関する法律案につきましては一応衆議院の提出案となつておりますが、本院労働委員会におきましても早くからこれが廃止をしたいということを考えて準備いたしておりましたことは御了承の通りであります。」

荻上チキ @torakare

委員長「従つてたまたま衆議院提出によつて本法案が提出願つたわけでありますが、大体この内容につきましては各委員も十分御検討のことと存じますので、そういう経過に鑑みまして、又法案自体も非常に簡単なものでありますので、この際、質疑討論を省略いたしまして、直ちに採決いたしたいと思います」

荻上チキ @torakare

委員長「御異議ございませんか」（異議なし）「では質疑討論を省略いたしまして直ちに採決いたします。夏時刻法の廃止に関する法律案、本法律案につきまして賛成の諸君の挙手を願います」（賛成者挙手）「全会一致で本法案は可決しました」＜＜うぉぉ、超スピード可決！

荻上チキ @torakare

昭27.4.4参本会議、中村正雄「施行以来四ヵ年の実績を顧みますると、制定当時の目的を達成するよりも、むしろ労働者、農民及び家庭の主婦等の過労の原因となり、却つて能率を低下させる虞れがある等、国民生活の実情に副わない不便な点の多いことが明らかになつて参りましたので、この法律を廃止」

荻上チキ @torakare

同、三木治朗副議長「別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます」（賛成者起立）「総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました」

荻上チキ @torakare

以上。廃案はとんとんと進んでた。時代背景としては、サンフランシスコ講和条約発効後の体制変化の議論が、同時期の国会で行われている。また、国民生活の実情にマッチしなかったことが主たる理由になっていることもわかる。「アメリカから日本時間を取り戻す」という論理が一部あったのは面白い。

荻上チキ @torakare

なお、「サンマータイム」は誤記ではありません。議員だけでなく、サザエさんも、「サンマータイム」とよんでました。

コーイチ！ @akagisatou

かつて日本では、1948年〜1951年までの3年間、サマータイムを導入していました。 第二次世界大戦の敗戦後、米軍などになどよって占領統治されていた時期のことです。 夏時刻法という法律が制定され、既定の時刻に1時間加えたタイムゾーンを採用した形 ... twitter.com/torakare/statu…

荻上チキ/『宗教2世』『きみの人生はきみのもの』 @torakare

1952年（昭和二十七年）。吉田茂内閣のもとで、「夏時刻法を廃止する法律」が公布、施行された。その議論の背景を、当時の国会議事録から抜粋して紹介しようと思う。

2018-08-15 20:05:35

換気するひろすけ @hrskksrh

麻生が朝日の記者が飲みに行きたいからだとか言い出してて何が根拠か気になる。 元ネタはどこかのネトウヨの戯言なんだろうか togetter.com/li/1256947#c53… 「夏時刻法を廃止する法律」togetter.com/li/1256947 にコメントしました。

junky-glamarous（カタカナ表記でOKです！） @wildest_monkey

ん？ サマータイムやるとか 言ってるらしいけど 過去に「夏時刻法を廃止する法律」 なるものが制定されてんの？ サマータイムの弊害は 昔から分かってたってことか… pic.twitter.com/IZSEq80MBi

拡大