ポスト・ネオリベ時代の反体制ファンタジー「ゼイリブ」と遅れて来たヒッピー、ジョン・カーペンター

近年、カルトムービー化しつつあるSFサスペンス映画「ゼイリブ」と監督のジョン・カーペンターについての呟です。 (セルフまとめです)
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『ゼイリブ』と『カメラを止めるな!』にはどう考えても何の共通点もないが、無理矢理でも引き合いに出そうとするのは、それだけ『カメラを止めるな!』が社会現象化しているのだろうな。でも、ジョン・カーペンターって、もっとずっとニヒリスティックで悪意に満ちた人だよ。 headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180930-…

2018-10-02 12:48:26
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

公開当時はどちらかと言えば「トンデモ映画」扱いだった『ゼイリブ』が、いつの間にかカルトムービー化しているのは、この作品のアイディアが持つ「リアリティを超えたアクチュアリティ」が共感を呼んでいるからだろう。ブレグジットやトランプ旋風を予見していたとも言える。 cinemagene.com/post-38319/

2018-10-02 12:58:11
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

でも、日本の映画ファンが『ゼイリブ』をありがたがるのは違和感があるね。この作品の魂は、アンチ・ネオリベであり、反グローバリズムだからね。安倍政権とそれを支えるメディアこそゼイリブじゃないか。あんたら、まだサングラスをかけてないだろう!

2018-10-02 13:02:15
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

安倍政権とトランプ政権の類似を語る人がいるが、実際に安倍政権が良く似ているのはブッシュJr.政権なのだ。安倍首相は、ブッシュJr.元大統領の足跡を10年遅れでなぞっている。ブッシュJr.政権、2期目の直前に起きた事件を描いた「ニュースの真相」を今こそ観て欲しい。これは今の日本だ。 pic.twitter.com/pUi2ZwYwTr

2017-03-20 11:56:07
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ブッシュJr.元大統領と安倍首相は、共に父親が優れた保守政治家だったが、父親から評価されなかった。2人の政治家としての原動力は理念ではなくルサンチマンだった。そして良家の劣等生にありがちな反知性主義、責任感の欠如、自分と身内への甘さと反比例する民衆に対する酷薄さ、などが共通している。

2018-03-10 14:26:55
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『ゼイリブ』でサングラスをかけた主人公が銃を乱射するシーンのヤバさは『マトリックス』を超える。だって、現実にも「天啓を受けて」銃を乱射してしまう人が時々いるが、この映画は、それを「彼は見えたからだ」と言ってしまっているんだぜ?

2018-10-02 13:10:40
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

スティーブン・キングは『デッド・ゾーン』を書いた時「フィクションの社会的影響力を考えてテロを肯定的に描くことに腰が引けた」と語っているけれど、ジョン・カーペンターにはそうしたタブーが一切ない。余りにもためらいが無いので、問題があることすら気付かれない。良いのか悪いのか知らないが。

2018-10-02 13:16:48
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『デッド・ゾーン』の暗殺未遂と『ゼイリブ』の銃乱射は「電波な殺人犯は実は真実を知っていた」という非常に危険性を秘めたアイディアだった。その危険性は、後に『マトリックス』に「そうだったのか!」と目覚めてしまった(…おい😅)人達が、各地で銃乱射事件を起こしたことで証明されてしまった。

2018-10-02 17:27:14
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

だから、スティーブン・キングは書きながらビビっていた(トーンダウンさせたらしい)のだが、ジョン・カーペンターはふざけてるような感じだ。今のところ『ゼイリブ』に感化されて実行した人はいないようだが、それはこの映画全体がブラックジョーク的で「中二病的な真面目さ」に欠けるからだろう。

2018-10-02 17:36:02
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『ニューヨーク1997』で、主人公が女性がレイプされているのを目撃したのに、興味なさそうにスルーしてしまうシーンは、「ポリコレ的に」又は「アメリカン・ヒーローとして」どうなんだ?と、左からも右からも攻撃された。ジョン・カーペンターは「あれはいいシーンだ。気に入ってるね」と答えている。

2018-10-02 13:31:55
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

現実的に考えれば、2時間以内に大統領を救出しなければ自分が死んでしまう主人公は、そんな事にかまっているヒマは無い訳である。にもかかわらず、アメリカ映画の一般的なヒーローは、そこで女性を救い、その御都合主義がカタルシスを生む。しかし、ジョン・カーペンターはカタルシスに背を向ける。

2018-10-02 13:44:30
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

2時間以内じゃなくて24時間以内ですね… やだもう、言ってよ! (^◇^;)

2018-10-03 14:00:36
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『ミッションインポッシブル/フォールアウト』は、目の前の一人を切り捨てたりしない正義感が世界を救うのだという「ハリウッド的ヒロイズムの復権」を唱えて感動的だったが、目の前の悲劇を切り捨て(それも自分の都合の為に)更には世界を救うことからも背を向けるスネークは、その対極にいるのだ。

2018-10-02 14:01:11
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『ニューヨーク1997』は今や名作扱いで、多くの映画やゲームに影響を与えているが、ジョン・カーペンターのニヒリズムを正しく継承している作品は、余りない。たいていは、実はイイ人な「なんちゃってピカレスク・ヒーロー」なのだ。いや、エンターテインメントとしては、そちらが本流なんだけどね。

2018-10-02 14:26:39
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

もっとも『ニューヨーク1997』のスネーク・プリスキンがピカレスク・ヒーローなのかというと、それも少し違うだろう。ピカレスク・ヒーローは自ら体制や秩序をぶち壊すことで観客を熱狂させるが、スネークは一歩引いている。彼は徹底した個人主義者なのだ。その姿はジョン・カーペンター本人と重なる。

2018-10-02 17:54:32
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ジョン・カーペンターは遅れて来たニューシネマ作家のように反体制を貫いたが、ニューシネマと違うのは「反体制であることによる甘え」とでも呼ぶべき、時代と寝ている雰囲気がないことだ。むしろ、時代遅れのヒッピーをバカにされながら演じ続けようとする頑固さと、世界に対するニヒリズムを感じる。

2018-10-02 18:05:59
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

ジョン・カーペンターは、時代遅れの「ラブ&ピースを信じていないヒッピー」なのである。 (でも、それってヤバいよね…) pic.twitter.com/9T3x5aI9PJ

2018-10-02 18:08:26
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