俺と天使の365days（完結）

ハラヨシ @harayosy

#twnovel バイト帰りに天使を拾った。「拾ってくれて有難う御座います」「落ち着いたら出てってくれな」「え、こんなキュートな天使を追い出すんですか？」「キュートな天使だったら、他人の部屋の冷蔵庫勝手にあけてビール飲みださないと思う」「ビールじゃなくて発泡酒…」「出てけ」

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#twnovel 酔っ払い天使降臨中。「だぁら！アタヒ言ってやったんれふよ！」「はいはい」「苦ひい時に助けにゃいで何が神かぁって！」「ふんふん」「もおね、アタヒがやるの！助けるの！下界に降りたアタヒは無敵なんです！」「酒には弱いみたいだけどな」「なぁんか言ひましたぁ~？」「別に」

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#twnovel 天使も二日酔いになるらしい。「うう…天使の輪がグルグル…」「不規則回転で見てるこっちも気持ち悪い」「すみません…」フラフラしながら玄関に向かう。「どこ行くんだ？」「え、昨日出てってくれって」「やる事あって降りてきたんだろ。終わるまで協力するよ」「本当ですか！？」

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#twnovel 「人類を救済する、なんて壮大すぎるけどな」「壮大なんかじゃありません！身近な小さな事からコツコツです！」天使は嬉しそうに笑った。「そうと決まれば早速」「人助けか」「お祝いです！」プシューと発泡酒を開ける天使。「また飲むのかよ！つうか人助けは！？」「後回しです！」

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#twnovel 俺の部屋には天使がいる。一年後に滅亡する人類を救済するために、神の決定に逆らい単身降りてきた天使だ。力を振るう毎に天使の力を失っていく。ただの女の子になっていく。俺はそんな天使を傍から見守っ…「ぷはー！仕事の後の一杯は最高ですね！」「出てけ、酔っ払い！」

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俺と天使と365days #twnovel 「私、貴方に会えて良かったです」若干涙目でお礼を言う天使。「本当に…これこそ奇跡と呼ぶに相応しい出会いです」 居酒屋でバイトしてるのでおつまみ系を作るのが得意ということを教えてあげた後の第一声がこれだった。お前、飲みに来ただけと違うか。

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俺と天使と365days #twnovel 「別に気にしませんが」「俺が気にする」「役得では？」「自分で言うな。いいからあっちいけ」布団の中から一緒に寝ましょうと誘ってくる天使を無視して台所で寝袋に包まる。シンと静まる暗闇。「あの」「何だ」「クラスの中で誰が好」「修学旅行かよ！」

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俺と天使の365days #twnovel 「やっぱり私だけが布団に寝るのは納得いきません」「そうか？」「私が寝袋で寝ます」「構わんが…深夜にがっつり冷蔵庫からお酒飲まれそうなんで台所では眠らせないぞ」「ええと、お布団で寝るのって最高ですよね」おい。

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俺と天使の365days #twnovel お酒大好きな天使。だんだん酔ってくるにつれ、明るい雰囲気から物凄く色っぽくなっていく。だが、しかし。「アラヒはてんひでひゅー」言葉遣いで減点。「もっろ酒のまへろー！」暴れすぎでさらに減点。「う…気持ち悪い…」吐いて、箱割れ。駄目天使だ。

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俺と天使の365days #twnovel 俺の部屋には天使が住んでいる。「ただいま」「…お帰りなさい」「何故涙目で睨んでくる」「お腹空きました」「バイト遅くなったからしょうがないだろ」「私のお酒と御飯と貴方のバイトとどっちが大事なんですか！」「バイト一択だろ。後、酒を足すな」

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俺と天使の365days #twnovel 「夏ですね！」「夏だな」「暑いですね！」「暑いな」「…」「何だよ」「あの、冷蔵庫に潤いが足りない気がしませんか？」「『酒』を潤いとか表現する奴初めて見たぞ」「私、『さんずいへん』の中で『酒』って字が一番キュートだと思います」「はいはい」

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俺と天使の365days #twnovel 俺の部屋には天使が住み着いている。出会ってから、もうすぐ一年。神が決定した人類絶滅の未来を、単身阻もうとするアイツは、沢山の天使と戦ってきた。友人、先輩、後輩、遂には姉妹とも戦った。そして段々と力を失っていった。戦う度に力を失うアイツ。

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俺と天使の365days #twnovel 白く輝いていた翼は既に無く、頭上の天使の輪も殆ど見えなくなっていた。治癒も効かず、声の力も失い、それでもアイツは天使だった。「だって天使ですから」どんな時もにっこり笑って戦いに行く。もういいだろ。そんな言葉を我慢する。

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俺と天使の365days #twnovel 「明日が審判の日です」ある夜、天使は俺が作った夕食を食べながら言った。「え？」「おや、この味…お味噌変えました？」「ああ、バイト先からおすそ分けを…って、待て待て待て。何だ今の不穏な単語は」「神様から連絡が来ました。明日が、終わりだと」

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俺と天使の365days #twnovel ずずず、と味噌汁を飲む天使。「それは…急だな」「はい、もう少し先だと思っていたのですが。私の抵抗も少しは影響しているのでしょう」美味しいです、と微笑む天使。「だから今夜でお別れです」夕食後、天使は言った。「今から神様に文句言ってきます」

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俺と天使の365days #twnovel 「一年近く戦ってきたのに、今更か？」「ええ、そろそろ心変わりするんじゃないかと」「無駄」「ではありません」天使はまっすぐ俺を見つめた。「滅亡なんかさせません。私が止めます。だって、納得できません。人間は悪いだけじゃない。こんなに」

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俺と天使の365days #twnovel 天使は玄関先で星が見える夜空を見上げた。「こんなに世界は広くて、色々な人がいるんです。天からじゃ分かりません。私は神様に伝えなきゃいけないんです。人間は」天使が俺の手を握る。「意地悪で。ガサツで。口が悪くて。すぐに怒るし。煩いけど」

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俺と天使の365days #twnovel 「…」「すごく…優しい」ぎゅっと握ってくる天使。「後、おつまみ作るのも上手」「本音が出たか」「そうかも」手を離す。「じゃあ、行って来るね」「おう」「今まで有難う」「いや、楽しかったぜ」「うん」最後の力だろう小さな翼が生えてくる。

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俺と天使の365days #twnovel 「さよな…」「ああ、そういや秘蔵の日本酒が残ってたな」ピタっと空中で止まる天使。「ひぞう…？」「１００年物の古酒もそろそろ飲み頃だな」「くーすー」ごくりと喉を鳴らす。「お前に見つかってない酒はまだまだあるんだよ」俺は笑って言ってやった。

ハラヨシ @harayosy

俺と天使の365days #twnovel 「帰って来いよ。必ず戻って来い。たらふく飲ませてやる。死ぬほど食わせてやる。お前に食わせてないレシピだって沢山あるんだ。…知ってたか？旨そうに食べるお前の表情って割と好きだったんだぜ」「…！」一瞬泣きそうなった天使は次の瞬間笑った。

ハラヨシ @harayosy

俺と天使の365days #twnovel 「はい！戻ってきます！絶対！」「なら、さっさと行って来い」「了解です！あ、ビール、発泡酒じゃないやつ冷やしておいてくださいねー！」飛び立つ天使を見送り、俺はほっと息をついた。大丈夫。アイツは戻ってくる。絶対に大丈夫。それまでに俺は…。

ハラヨシ @harayosy

俺と天使の365days #twnovel 「さあてと、つまみの材料でも買ってくるかね」財布を手に取り、外に出る。アイツは辛いの苦手だから、それ系は外して、何を作ろうか。鶏肉はあるから、豚肉を買おう。野菜は…。明日が人類滅亡の危機なんて、全然関係ない事を俺は考えていた。

ハラヨシ @harayosy

俺と天使の365days #twnovel 俺の部屋には天使がいた。滅亡する人類を救済するために、神の決定に逆らい単身降りてきた天使だった。力を振るう毎に天使の力を失っていき。ただの女の子になっていた。「ぷはー！仕事の後の一杯は最高ですね！」「いつまで飲むんだ、この酔っ払い！」