呟怖と散文 13

創作文まとめ
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晴れ時々雨 @rio11ruiagent

友人と出掛けると聞いて、淡いピンクのグロスを貸してやった。 この子も年頃、ちょっとしたいたずら心で塗ってやる。 この色は私には少し物足りない。使い所がなく持て余していたのでちょうど良かった。 艶のある皺の少ない若い皮膚。 ほんの少し桜色が乗っただけで、娘は華になった。 #文芸の椅子

2018-11-18 18:55:37
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

あそこの蔦だけな〜、残っちゃったよ また次でいっか #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/JCgpkhv9iV

2018-11-18 18:43:31
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気づいたら暗くなっていた。時計を見ると5時、そろそろ帰るか。仲間もゲームを片付けだす。 じゃあな、散り散りに家へ帰る。 あれ?ソフトが1個ない。誰かが引っ張り出した妖怪のやつ。 「どうしたの?」 振り向くと黒い影。大人ってことしかわからない。股の所で手を動かしながら俺に近づいて来る。

2018-11-18 17:07:59
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自転車で転んでしまった。自転車が私に倒れてきて起こせないでいると涙が出そうだった。 「大丈夫?」 見上げると近所のお兄さんだった。知ってる、高校生でしょ? お兄さんは自転車と私を軽く立たせ笑った。お礼を言おうとしてお兄さんの浮き出た鎖骨に蚊がとまっているのに気づいた。 赤い蚊だった。

2018-11-18 16:29:49
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いつもの駄菓子屋でフルーツ餅を食べていたら、知らないお姉さんが裸足で目の前に立っていた。 僕のことをあんまり見るので、餅を1個楊枝に刺して差し出すと首を傾げた。 隣りに座って食べ始めた。スカートのボタンが2個外れていて、脚の奥が見えた。白い脚と涎がきれいで、残りを全部あげてしまった

2018-11-18 16:16:24
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彼女が描いた絵を見て驚いた。 最初の頃見せてもらった印象とは全く違っていたから。色が違う。前見たときは白だった。美術室に飾ってある花だった。 なぜ。 深い青と紫の入り混じった哀しい色に胸が震えた。仲間と喋っている彼女は、髪が少し伸びた気がする。 何かを垣間見た気がして居心地が悪い。

2018-11-18 15:50:38
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天啓ってあるんだよ。 別に宗教家でもなんでもないけど、犬にエスカルゴって名をつけたときもそうだし、こないだオーロラを見に行ったのもそう。 降って湧くんだ。 君になにか言わなければ、って。 #なまえのない恋文

2018-11-17 22:22:24
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このドアの向こうにいる。 きみは待っているのか。気怠げに窓に肘をついて遠くの街を眺めながら何を思う。 僕と出逢う前の無垢な時を目の前の景色と重ね合わせ、単純な幸せを思い出しているんじゃないか。 僕たちを理解するものは僕であり君だ。 そう誓ったはずなのに、ドアを開けられないときがある。

2018-11-17 22:10:25
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寝ていると、キッチンから音がする。半分寝ぼけていてはっきり聞いたわけではないが、あれはバッシュが床を擦る音だ。 キュッキュッと小気味良く鳴るゴムの音。去年亡くなった先輩を思い出す。 今夜は覚醒した。音が鳴る。そっと扉を開けると、知らないみすぼらしい女が跪いて床を磨いていた。 #呟怖

2018-11-17 18:46:36
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すごいでしょ。 ちなみに椅子はくっついてます。 ちなみにわたしは壁に描かれた絵です。 ちなみに男です。 ちなみに描いた人は友人のお祖父さんです。 それだけでわたしは。 #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/vKBnWZfOor

2018-11-17 12:33:41
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そいつは思わぬ方角からやって来て我が物顔で通り抜けていく。 人を左右するくせに、人のように関わりを持たない。 じゃあなんなのか。 それはそれだとしか言えない。 #死という文字を使わずに死を文学的に表現してみる

2018-11-17 10:04:00
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一言いいですか。 人間なんですよ、山羊寄りの。 そして女なんです、男寄りの。 私は自分を隠したりしません。 この人? あちさんです。 #生首ディスコのドレスコード pic.twitter.com/3cINN1sGZJ

2018-11-17 09:30:32
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なにかがわたしを塗り替えていく。 今までとはほんの少し違う、ズレ。 このズレ感が気持ちよく、目の前がぱっと晴れたような気がする。 今まで見ていた花の花びらに、細かい筋が入っているのを見つけたような。 見たことあるのに知らないもの。 色の中の、色が見える。 愉しい。 #140字小説 齢○の発見

2018-11-16 23:31:52
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ぼつ。 大量のぼつ。ぼつ製造機。 machine of BOTU 何百枚あるかわからないぼつを繋ぎ合わせて物語にしようか。 陳腐な文字の羅列。 じゃあ一文字にまとめよう。 好 一文字足りないよ。 言ったほうが早いんだけど言えるわけないからもう1枚ぼつを書く。 #なまえのない恋文

2018-11-16 21:54:19
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その話題になると僅かに顔が曇った。おそらくは苦い思い出。 敏感で純粋だったあの頃は生傷が絶えず、歳月とともに硬くなったかさぶたに美しい包帯を巻くことを覚えた。 危なげにも積み重ねてきたものが、崩れてしまわないように。 #おやすみ名前の知らない人たち pic.twitter.com/s1qEYGa8Op

2018-11-16 21:03:09
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家族が出かけた隙を見計らって外へ出てみた。 素晴らしく肌寒い。人に会ったので挨拶をしたら倒れてしまった。大丈夫かこの人。 介抱していると人だかりができてしまった。 みんな私を遠巻きにしながら凝視している。思い切って言ってみるか。 「着る物を貸してください」 #生首ディスコのドレスコード pic.twitter.com/FOcCyJ36Mj

2018-11-16 17:08:07
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灯りを消して躰を分かち合い、朝日の中で存在の愛しさを噛みしめる #エロスの泪壺

2018-11-16 07:50:23
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チューリップの球根からバラを咲かせたくて、移植手術をすることにした。 チューリップが咲き終わったら花弁をもいでバラのつぼみと差し替える。 チューリップの茎とバラの萼を蜘蛛の糸で丁寧に縫い合わせる。 ひと針ごとに葉が痙攣し蕾が雫を垂らす。 なぜ泣く。美しくなれるというのに。 #箱庭SF

2018-11-16 00:19:12
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アパートの階段を上がる途中で目が合う。ほんの一瞬、あとは見ないふり。 だってあの人幽霊だから。いるはずのない人だから。 知ってるの、こないだ近所で事故って死んだって。私の下の人。 バタン。ドアの閉まる音だけが響く冷たい部屋。うんざり。 「おかえり」 静かにあの人の声が囁く。 #呟怖

2018-11-16 00:00:59
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

耳許で誰か呼ぶんです 聞いてはいけない声なんです 答えちゃいけない声なんです 耳は閉じられない だから奥を突付くんです それでもわたしを呼ぶ声が どこから #呟怖

2018-11-15 23:28:45
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