少前ログまとめ 2018年2月投稿分

orphe @orphechin

「プロセスがなくても愛は出来る」 最初のカップルを作った女性は、マスクで顔を隠しながらそうインタビューに答えた。 「私は間違いなく幸せです」とも。 彼女が正しいのか、ヘリアンさんが正しいのか。人生の経験の足りないぼくには、答えのつかない問題だ。いつかわかるのだろうか。 #少前ログ

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「愛を学ぶというのは興味深いものです。ヒトは愛というものでここまで感情を動かされる。正常な判断を失い、言語機能が低下し、生存には極めて不適な状況に陥るくせ、脳内は幸福ときている……お昼に誘われただけでトイレの中でダンスする君を見ていると、とても勉強になります」 #少前ログ

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ゲーテッドコミュニティの高級住宅街、そのマンションの一室でAK12は愉悦の表情でスマホを少年に見せる。そこにはロシアのゴプニクめいたダンスを踊る、少年の姿がきっちり映っていた。 「ごちそうさまでした」 「ま　た　盗　撮　し　や　が　っ　た」 「取材と言ってください」 #少前ログ

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「センセはそうやって毎日俺のこと撮ってるけどさあ、やられる人の気持ち考えたことあんのかよ」AK12を先生と呼ぶ赤毛の少年は、心底うんざりした表情だ。 「やってる人の気持ちなら、いますごく学べていますよ飼い犬くん」少年を飼い犬と呼ぶ彼女は、対照的に菩薩の笑みを浮かべる。 #少前ログ

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「そもそもあなたは私の飼い犬に過ぎないのですから、所有者にどうこう言える資格はないはずですがねえ」 「犬だって嫌がるもんは嫌がる。それぐらい分かれよダメ飼い主」 この戦術人形が少年を飼い犬と呼ぶのはちょっとした理由がある。 彼はスラムの闇市で文字通り購入されたのだ。 #少前ログ

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「１０万ルーブル程度のワンちゃんじゃ、しつけても反抗的になるのは仕方ありませんか」わざとらしいため息をつくAK12。 「……貴方が作ってくれてるこの魚のスープ、手足なしのこれは3000ルーブルはします」彼女は椅子から立ち上がり、ワインセラーから白ワインを取り出す。 #少前ログ

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「大戦前の逸品。これはあなた１００人分ぐらいですかね」ソムリエナイフを手早く動かし、封を開けて雑にグラスに注ぎ雑に飲み干す。「これであなた一人分」 「何がいいたいんだよ」少年は舌打ちする。「感謝しなさいということです。安物相手にこれだけの環境を用意してるんですから」 #少前ログ

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「悪かったな、安くてよ」少年は目を落とす。 「まあ良いものが常に高いとは限りません」二杯目を飲みつつ、閉じた目のまま戦術人形は少年に視線を注ぐ。 「原石は安くとも削り出して出来た宝石はそれ以上の値打ちものになるやもしれず。学校での成績、なかなか良いようですね」 #少前ログ

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少年は顔を上げる。「センセに教えてもらってるしな」AK12は満足そうに「中学レベルの問題であれば、いつでもお手伝いはしますよ」「いちいちアドバイスが的確だしな」「AIと人間の違いですね。もっとも、教えた通りに成果を出せたのは貴方の努力のおかげです。自信を持ちなさい」 #少前ログ

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「…ああ」少年は視線をそらし、顔を少し赤らめる。こうした経験もやりとりも、「飼われる」前はなかったことを彼は思い出した。 あの頃は一日中、生きることしか頭になかったし、血統上は親とされてる人間だの、周囲の連中だのから浴びせられる言葉は意識的にシャットアウトしていた。 #少前ログ

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「飼い犬くんの変化は、人形たる私にとって貴重な学びの機会でもあるのです。人間がどう感覚、知識、人格を変化させていくのか。生身の人間の、ゼロからの変化……それは、どんなデータよりも、私にとって興味深い」 AK12は微笑む。紫の、非人間的形状の瞳を僅かに見せながら。 #少前ログ

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少年は目をそらしたまま、彼女の言葉を聞いている。彼女は続ける。「ええ、ですからどうかこれからも、変化をしてください。成長をしてください。矛盾を見せてください。人間らしく。そう例えば……性経験は豊富なのに何故恋を前にしてあわてふためくのか、とか」 彼の顔が真紅になる。 #少前ログ

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「あれはあんたが!」少年が真っ直ぐAK12を睨んで抗議する。彼女はアルカイック性を高めた笑顔で答える。 「おかしいですよねえ?人間は恋があって次に性愛に移るのでしょう?一段飛びに経験しているのに何故土台の部分を飛び越えられないんでしょう?これは不思議です」 #少前ログ

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「そういうもんじゃねえよ…たぶん。好きだってお互い納得した上でするのと」 「生理上の問題とは切り離して考えるべきと?その割には行為時に依存の傾向が見られますが」少年がスープの皿を投げつける。彼女はすいとそれをかわす。派手な音と共に、皿は高そうな額縁に当たって砕けた。 #少前ログ

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「賠償できないものを壊すのはおやめなさい」 「あんたいま愉悦とやらの状況だろ、割れた皿はその愉悦代だ」 「まあそう思っておきましょうか。聞き分けのない犬の頭を撃ち抜いてゴミ捨て場に投げ捨てても、面白くありませんもの」 #少前ログ

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「これからも矛盾の過程を楽しませていただきますよ」 「そうやっていつまでもからかってたらいいんだ」肖然とした顔で、彼は呟く。「どうせ俺はもともと貧乏人の人間、金持ちで戦術人形のあんたには」 と、急に距離を詰められ、少年は彼女に抱き寄せられた。 #少前ログ

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額が触れ合う距離で、人形は言う。「もーいじわる。こんなにしてあげてるんだから、あの子じゃなく、お姉ちゃんにそろそろ屈してもいいころだと思うなあ」 少年は絶句した。 「あんたおかしくなった?」 全力でAK12は舌打ちする。 「……アナログハック失敗」 「なんの話だよ」 #少前ログ

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「少々貴方には難しい概念でしょうが、分かりやすく言うとギャップ萌えです」 「萌えってなんだよ。さっきの猿芝居になにか感じろってこと?」 「あーあー。わかんなくていいです。それよりさっさと風呂入ってセックスして寝ましょ」 「いつものセンセだ」 「どうせこれが素ですよだ」 #少前ログ

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AK12はべべーっと服を脱ぎ散らかすと風呂場まで歩いていく。「先入ってますから。洗濯機にいれといてください」 「はーい」 少年は彼女の服を洗濯かごにいれながら思う。これはどう考えても普通の家族ではないのだろう。相手は保護者ではなく飼い主の立場だ。しかもペットに手を出す。#少前ログ

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だがそれでも。高層マンションの夜景に目を移し、彼は思う。例え異常なヤツとの暮らしであろうとも、あの地べたでの毎日よりはマシだ。そして、普通というものが自分には結局わからない以上、異常というものをそう拒む理由もないのだと考えるしかないのだと。 #少前ログ

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どうあれ生きていき、育っていくしかない。先のことなんてわからない。でも人形と共にある今は、きっと幸せなのだろう。 まだ彼女の体温の残る上着を掴み、彼は洗濯かごに投げ込んだ。 #少前ログ

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少前クッキング AK12「紅茶のおいしい入れ方ー」 AN94「わー」 12「まず茶葉とお湯を用意します。それと下剤」 94「下剤」 12「貴女に茶葉とお湯と下剤を飲んでフィルターとしてのスク水を着てもらい、３分待てばアバ茶が!(開眼)」 94「やりません!」 #少前ログ

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少前なぞなぞー ４５「上は真っ赤、下は真っ白なーんだ」 ９「DSRに接近された指揮官」 #少前ログ

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G＆Kの会議から帰宅した所、警官隊の焼死体が玄関に転がっていた。容疑者であるベク太に聞いた所「友情からの行為だった」と供述。そこでベク太の唯一の友人であるRFBを締め上げる。 「正直に言えば返品は取り下げる」 「ゲームで１０連勝したらスワッティングされた」 #少前ログ

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「それで返り討ちにしたのか…全く」「正直に行ったんだから返品はしないでね…」「ああ、しない。君の行動は正当防衛だろう」ベク太の火炎瓶を使わなくても良かった気はするが。警官隊は骨さえ残ってなかった。 「で、当の犯人には何かしたのか」ぼくはRFBに聞く。 #少前ログ