少前ログまとめ 2018年6月-7月投稿分

orphe @orphechin

「春田さんクイズの時間です~。店員に無礼な口を叩くお客様はどうなるでしょう?」 そう語りつつ春田はすでに質問者にヒントを提示している。 松明という名のヒントを。 しかし質問者は答えようがない。猿ぐつわを噛まされ柱に縛り付けられているからだ。 #少前ログ

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「お客様は神様だってならてめえはウェンカムイの疫病神だ!チン毛の一本まで天に送り返してマシな神になって帰ってきやがれ!!!」春田は客の頭に飲みかけのジムビームの瓶を叩きつけ松明を脳天に突き刺す。瞬時に燃え上がり客はあの世へと見送られることになった。 「クソ野郎が!!!」 #少前ログ

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そんなカフェの凶悪経営者の蛮行を見守る少女が２名。「お嬢さんがた」春田はその２名に向き直る。 「我が社は社員を守ります。インターン中の貴女に価格交渉を持ちかけた無礼者はこの通り薪となってお帰りいただきました。正式に入社をご検討いただけます?サンダーさん」#少前ログ

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「辞めさせていただきます」サンダーと呼ばれた少女の代わりに、相方のキャリ子が言い放つ。 「おめえに聞いてねえんですよパセリガール」春田のパセリ発言をキャリ子は無視し、「だから言ったじゃん、こんな反社に興味持っちゃダメだって」 「でも楽しそう」「K2いじってたほうがマシだよ」 #少前ログ

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キャリ子はサンダーの手をとって春田に背を向け、足早に春田カフェのゴミ処理場を後にする。かつて客だったものが辺り一面に消し炭やら食材になったその場所を。 「給料は払いますよ!?買いたいものだってなんでも買えますとも!」 「あたしが払うんでいいでーす。さ、行こ」 #少前ログ

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サンダーは名残惜しそうに春田を一瞥するが、やがて興味を失ったのかさっさとキャリ子と共にその場から去っていった。 春田は深いため息をつき地面に腰を下ろすと、ポケットからワイルドターキーを取りだし、「せっかくのウェイトレスが…」それを瓶ごと丸飲みし、そして少しだけ泣いた。 #少前ログ

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次の日。 「春田姉、まだ探してんの?ウェイトレス候補」 店舗の掃除をしながらWAが春田に聞く。 春田は拳によるヒビの入ったPCを操作しつつ渋い顔。 「ビズの基本は質の高い営業ソルジャーですよ。真面目で飽きっぽくなく、誠実な手駒が必要なんです」 「ウチとは縁遠い概念ね」 #少前ログ

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読者にはご存じの通りすでにかの人物の経営するカフェの悪評は指揮場中に広まっており、まともな人形や人間であればここで働くなど思いもよらぬことである。そこで何も知らない新参のサンダーをだまくらかそうと思ったのであったが、キャリ子によってその卑劣な作戦は失敗に終わった。 #少前ログ

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「実直で有能で世間知らずでどんな非人道的なことにも疑いを持たないそんな理想の社員いませんかねえ、時給１０００円で雇いたい」 「今時日本人でさえそんなはした金で働かないわよ、うちらの最低賃金の何分の一よそれ」 そう春田とWAが言い合ってると、スパスが厨房から顔を出す。 #少前ログ

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「あたしの知り合いで２０円で働いてる子いましたね」 「Fucking genius!なんでてめえは社長が困ってる時にそんな大事なことをいわねえんですか?吊るし切りにされてえか?」春田が肉切り包丁をスパスに突きつける。 「だ、だってコキつかうんでしょ?」 #少前ログ

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春田がスパスの右顔２mm至近に包丁を投げつける。スパスはぽかんとする。「２０円で働かすようなボンクラよりはマシだって思わないんですの!?ジところでそいつの腕前は?」 「あっ、そうか…２０円はさすがにやりすぎですよね」 「一歩遅れて回答すんじゃねえよ!」 #少前ログ

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スパスは慌てて、「ゆ、優秀ですよ。一回フリーでやってた時にそこのPMCと組みましたけど、まーあれぐらい実直で腕の良い子はいないですね。多分あのジャンルじゃ世界で五本の指に入るんじゃないですか?」 春田は「世界で五本指が時給２０円?フカしですか?あ?」 #少前ログ

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スパスは、「あそこの社長さんはやりがい第一の人で、その子もそれに全面的に賛同してるみたいで…修行だって言ってましたね」 「修行の二文字を詐欺に取り替えりゃ実質詐欺でしょうが。おいWA、それとスパ公。私は今からそいつをヘッドハントしてきます。店番を頼みますよ」 #少前ログ

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WAは不可思議といった表情を浮かべる。「なにいってんの、勝手に人間の所有物である人形を、指揮官でもない春田姉のモノになんかできるわけないでしょ」しかし春田は壁にかけてあったライフルを外し、弾帯を胸に巻く。「だからいってんでしょ、ヘッドハントですわよって」 #少前ログ

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「それって」 春田は店の玄関に停めたオフロード車に向かう。「身分は隠しますのでご安心を。今から私はG&K所属は所属でも別の所のヤツってことになります。ちょうどこないだ私に絡んできたバカをスコーンいした時、そいつからいいものを手にいれたんですのよ」 #少前ログ

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程なくして春田のオフロード車は猛烈な煙を吐き出し、ラジオからアメリカンパンクの攻撃的な歌詞とメロディーを車内外に鳴り響かせて去っていった。それを見送るWAとスパスは、春田の無事ではなく彼女のヘッドハント先の無事を祈らずにはいられなかった。 せめて半殺しで済みますようにと。 #少前ログ

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つづく #少前ログ

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ご主人様を邪魔するゴミどもを排除することに定評のある女、代理人。 そして突如悠々と占領区域で立ちションしていたこの女を襲う股間への一撃。 股を突如襲った謎の解放感。代理人は思う。 何て体が軽いのだろう。まるで宙を浮いているようだ。１時間も尿意を耐えた報酬は格別だ。 #少前ログ

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そして事実。代理人は宙を浮いていた。体が軽いのも事実だった。 何せ下半身が消失しているのだから。 その事に気づくのと、代理人の脳がセーフモードに入ったのとは、ほんのコンマ3秒の差でしかなかった。 「代理人、機能停止を確認。歩兵部隊は突撃しろ」 1km先で、少女が呟いた。 #少前ログ

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.……５時間後。 件の少女は指揮官とのミーティングルームにいた。 剣呑な表情と腕に走る筋肉は武人のそれであり、桃色の髪と幼い顔立ちに矛盾の彩りを与えていた。 「ダネルNTW-20さん」指揮官が白い歯を見せながら武人然とした少女に笑いかける。年は４、５０。オールバックで痩身の男だ。#少前ログ

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「代理人の直隷部隊は先ほど経戦能力を喪失し撤退を始めました」 「３６時間の待ち伏せも無駄ではなかったということだな。私のタマが役に立ったなら良いことだ」 「もちろん」指揮官が頷く。「あなたなしでは勝ち得ない勝利でした。これでしばらくは鉄血も居住地への攻撃を諦める」#少前ログ

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「そうか…」NTWは俯きながら口元を僅かに緩めた。普段感情をあまり表に出さぬこの人形が時おり喜びを表すとき、いつもこのしぐさをとる。 「ところで指揮官、今月の……その、ゴミについてなんだが」 「ああ、ゴミですね」 ゴミ。この指揮所では、給与をそのように呼ぶ。 #少前ログ

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「汚らわしい話題ではあるが、働きにはそれ相応の報いがやってくると指揮官は教えてくれたな?…今私は、毎月２０円のゴミを指揮官からいただいている」 「ええ」指揮官は穏やかに頷く。 「でだ、代理人は…あの組織の中核幹部だ」 「ええ」指揮官は穏やかに頷く。 「そうすると…」 「で?」 #少前ログ

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指揮官は笑顔のまま問いかける。NTWは口ごもる。「ああ、いやその」我欲を出すと未来の宝が失われる。無心に働き無心に殺しいつも感謝の気持ちを胸に生きていけば、必ずいいことがやってくる。指揮官からはそう教えられていた。では、まだその時ではないのだろう。彼女はそう思った。 #少前ログ

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「ゴミを増やしてほしいと」指揮官が少し残念そうな顔で言う。 「いや、けして私はお金がもっとほしいなどと…」 「いや、わかりますよ」NTWを指揮官が遮る。「これだけ大きな勝ちを収めたのですから、そう思うのも無理はありません」 「じゃあ」NTWが目を輝かせ指揮官を見る。 #少前ログ