UxO 140字SS

Twitter企画「UxO」@UnderxOut_TL 関連で書いたSSとか設定をまとめています。だいたい140字ごとに完結しているので続き物ではないです。二次とかもごっちゃ。
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まお @shen_mao

@UnderxOut_TL フェート・フィアダのマーク。武力を象徴する斧と、狡猾さや啓蒙を象徴するドルイド(魔導師)が頭上に掲げられています。霧の向こうには首領となるアンサラーの星。小さな5つの星は組織内で定められている「ドルイドの五戒」を表しています。 twitter.com/shen_mao/statu…

2018-10-23 14:29:06
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL ルー・アンサラー 先代の首領。エディンの父。享年40。北区出身。北区のある組織の幹部として活動していたが、抗争により消滅。人を放っておけない性格で、路頭に迷うかつての仲間たちを集めて組織し、結果的に新組織の首領として独立を果たすこととなった。病魔に侵され志半ばで死去。

2018-09-27 14:28:24
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL ルー・アンサラー(享年40) ティルナノーグ島 北区出身。エディンの父親。フェート・フィアダの創立者。 五大狩り、組織の内部分裂など幾多の困難や危機を乗り越えてきたが、病魔には勝てなかった。おおらかで人を育てるのが好き。よく突拍子もない事を言って周囲の人間を困らせた。 pic.twitter.com/PJudLuXzIF

2018-11-15 17:39:33
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まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 先代がフェート・フィアダを設立したのは15年前の『五大狩り』のあと、今からおよそ10年前の話になります。もともと別組織の幹部だった先代ルー・アンサラーが消滅した組織を再度まとめあげて作り上げたのがフェート・フィアダ(ドルイドの霧)なのでした。

2018-10-13 14:38:48
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL イヴ エディンの母。享年27歳(推定)。 海岸で気を失っているところをルーに拾われ、のちに結婚、エディンを授かる。 以前の記憶を失っており表情に乏しかったため、周囲の人間に奇異の目で見られていた。のちに起きた組襲撃のさなか、娘をかばって重傷を負い、この世を去る。

2018-09-27 14:29:54
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL イヴ・アンサラー エディンの母。ティルナノーグ島に流れ着いたところをルーに拾われる。 一切の記憶をなくしており、言葉も話せず表情も失っていたが、のちにルーと結婚、エディンを授かる。 フェート・フィアダの内部抗争中、死亡。 pic.twitter.com/lcI4QVB9Tz

2018-12-12 03:55:41
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まお @shen_mao

@UnderxOut_TL イヴ・アンサラーが笑えば何かが変わっただろうか。夫と談笑し、娘に子守唄のひとつでも歌ってやれれば、エディンはひとり遺される事もなかっただろうか? その答えは誰も知らない。全員が納得できる結末を導く──そんな事ができれば苦労などしない。過去を変える術があったとしても。

2018-10-08 06:53:35
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 「正気ですか?」 速足で追いついてきたクリフににやりと笑って見せて、ルーは頷いた。 「勿論さ。俺は彼女を愛してる」 「一緒に居られる方法は他にもあるでしょう。なにも本籍を入れなくても──」 「クリフ」 ぴた、と立ち止まり、友の顔を正面から見つめる。 「俺は決めたんだ」

2018-11-20 00:05:03
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL フェート・フィアダの首領ともあろうものが、なぜあんな得体の知れない女に入れ込む? 噂を要約するとそんな話だった。だが、彼らが共に歩き、男が女をいかにして笑わせるかに執心している姿を見ていると、大抵の場合はこんな結論にたどり着く。 きっとそれは、彼女が笑った時にわかる。

2018-10-08 06:28:29
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 「マリアナ、サラ、ケイティ、プリシラ…」 メモに書いた名前を挙げてゆきながら、顔を伺う。 しかし女の顔に変化はなかった。ベンチに座ったまま、虚ろな目で噴水を眺めている。ルーは頭を軽く掻いて、手の中のメモを握りつぶした。 「…やはり神様に直接訊かないとだな、こりゃ」

2018-11-19 23:45:54
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 舞台が『ティルナノーグ島』という事なんで、固有名称はケルト神話から拝借しています。"エディン"は魔法で蝶に変えられた女神、"アンサラー"は別名『フラガラッハ』とも呼ばれる剣の名前です。敵に向かって投げればひとりでに敵を倒し、それによってできた傷は決して癒えないんだとか。

2018-09-28 11:13:22
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL フェート・フィアダはケルト(アイルランド)神話からきているんですけど、"ドルイドの霧"とも呼ばれていて、姿を隠したりする魔法のようなものです。先代のルーが手品好きだったことから命名されたという設定です。

2018-09-28 10:41:21
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL エディン・アンサラーは3歳の時に母を亡くし、5歳の時に父を失った。しかし、それだけだ。普通の子供のように泣き、寂しがり、わがままを言い、時に甘えて、笑った。言葉にすると彼女の人生はとりとめもなく、文学的な面白みもない。だがこの島では、退屈な人生を送ることすら難しい。

2018-10-08 00:20:03
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL エディンは息を殺してそっとあたりの様子を伺った。中庭を貫く屋根付きの回廊の上には、組員達の黒い革靴がせわしなく行き交っている。理由は言うまでもない──姿を消した首領を探しているのだ。 ぐずぐずはしていられない。このフェート・フィアダには、人捜しに長けた者が複数いる。

2018-10-14 20:29:23
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 【アンサラー家 家訓】 ・水道に水を吸って増える系の食べ物、おもちゃを流してはいけない ・パーティ以外の時にパイ投げをしてはいけない ・邸内の池に生物をみだりに放してはならない ・邸内のすきまにチョコレート、キャンディなど菓子類を隠してはならない ・駐車中の車に触らない

2018-11-18 20:42:06
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 日曜に教会へ行き、手を組み、目を閉じ、祈る。目の前に何者がいなくても、真顔でそれをやる大人達の群れは異様だった。それを父に話すと、父は手を伸ばし、頭を撫でて優しく抱き寄せるとこう言った。 神はいない。いないと感じるその時こそ、神は「不在」という形で現れるのだよ。

2018-10-08 21:58:50
まお @shen_mao

@UnderxOut_TL 虎丸という男にはまるで人間味というものが感じられなかったが、それでよかったのだ。なにしろ相手はたかだか6歳の子供だ。この世に怪物と呼ばれるものがいるとすれば、おそらくこんな姿をしているはずだ──怪物の相手は怪物にしかできない。そんな法が、フェート・フィアダにはある。

2018-10-08 00:27:10
まお @shen_mao

@cr_pyo 虎丸の身体は普通の大人と比べても規格外と言っていいほどだったが、エディンと比べるとまさしく巨人と小人だった。掌だけででも、エディンの頭がすっぽり包まれてしまう。だが、彼の方からこちらに触れてくることは滅多にない。エディンが岩をよじ登るようにして、彼に抱きつくのが常だった。

2018-10-09 09:16:43
まお @shen_mao

@cr_pyo @UnderxOut_TL 「とら…?」 ぽかんとして、背中ごしに背後の大男の顔を見上げる。下から覗いても瞳は長い前髪で隠れて見えなかったが、古傷の浮いた唇が固く引き結ばれていた。 虎丸は静かに一歩前に出ると、エディンの胴より太い腕を構えてぼそりと呟いた。 「お嬢、下がってください」

2018-10-13 22:16:22
まお @shen_mao

@cr_pyo @UnderxOut_TL 「…申し訳ありません」 意気消沈した虎丸の体は、ひとまわりもふた回りも小柄に見える。 エディンは椅子を運んでくると、彼の前に起き、よじ登った。手を伸ばすが、届かない。こちらの意図を汲み取ったのか──虎丸は戸惑いながらも膝をかがめて、撫でようと伸ばした手の下に頭を差し出してきた。

2018-10-17 22:16:45
まお @shen_mao

@haruko1319 @UnderxOut_TL 「クリフは強いね」 「強い?」 バックミラーごしに、クリフ。エディンはガラスに施されたスモークで暗く陰った空を眺めながら、ぼんやりと答えた。 「悲しくても泣かないもん」 しばしの沈黙ののち、消え入るような声で「違います」と否定が返ってくる。 「見えない所で泣いているだけですよ」

2018-10-17 20:58:05
まお @shen_mao

@huwakira 柔らかく常に形を変える飴の塊を自在に曲げ、伸ばし──ものの数分で、青年は飴の花束を作ってみせた。艶と透明感をもった花びら、葉脈まで再現された葉や茎。ベルベットの赤いリボンからすらも、甘い香りがする。素敵、と歓声を上げて、エディンはその甘く爽やかな匂いを吸い込んだ。

2018-10-09 08:19:06
まお @shen_mao

@huwakira @UnderxOut_TL 「おいしいって、なに?」 ルイエの奇妙な問いに、エディンは少し首を傾げた。 「えっと…。いい匂いがして、あったかくて、冷たくて、ふわふわで、カリカリで──」 指を折りながら挙げたところで、ぱっと顔を上げる。 「しあわせなもの!」 「…しあわせ…?」 そう繰り返す声が、いやに耳に残った。

2018-10-10 21:25:31
まお @shen_mao

@huwakira @UnderxOut_TL 「今日は試作品を持ってきたよ!チョコレートとキャンディを組み合わせて──」屈託のない笑顔で話すルイエだったが、視線に気づいてはたと言葉を止めた。 「どうしたの?」 「うーん…」 エディンはまじまじとルイエの顔を見つめ、小首を傾げて答えた。 「今日は男の子か女の子かどっちかなって…」

2018-10-13 21:49:45
まお @shen_mao

@huwakira @UnderxOut_TL ふいに、繋いだ手に力がこもった。不思議に思って見上げると、ルイエはいっさいの動きを止めていた。なめらかな粘土、あるいは磨かれた木で精巧に作られたような顔の中で、見開かれた瞳だけがただ艶やかに光を反射している。 「ルイエ──」 声が震える。こんな人間には、今まで会ったことがない。

2018-10-17 21:06:06
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