太刀川探検隊～ベルギーのアパートにマグリットの影を追え！～

太刀川るい @R_Tachigawa

突然だが、皆さんはベルギー出身の画家、ルネ・マグリットという画家をご存知だろうか。現実と虚構が入り混じった作風で、代表作は宙に浮いた岩を描いた「ピレネーの城」や、鳥の形に切り取られた空「大家族」 誰でも一度は見たことがあるのではないだろうか。#太刀川探検隊 artpedia.jp/magritte-the-l…

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マグリットは芸術分野だけではなく、日本の創作界隈でもネタにされることがある。例えば藤子A先生はピレネーの城をネタにした短編を描いている。 #太刀川探検隊

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そんなマグリットであるが、芸術家という肩書きに似合わず（このイメージもどうかと思うが）非常につつましい生活をしていたことでも知られている。ちいさなアパートに幼馴染の妻と暮らし、スーツに山高帽という格好を好み、家の台所にイーゼルを立て絵を描いては売っていたという…… #太刀川探検隊

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ただ、このイメージもかなり作られたものであるようで、渡航前に読んだ（残念ながら後半部分まで読めなかった）伝記情報によると、実は子供の頃のマグリットは、かなりの悪ガキで地元での評判はかなり悪かったそうだ。 #太刀川探検隊

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親父は一発当てた小金持ちで小遣いはたっぷり貰える。中学生から娼館に出入りする。親の金で美術学校に進学してからも、モデルに手を出すなど女癖が悪くかなり素行が悪いことで知られていたらしい。 #太刀川探検隊

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ところが偶然再開した幼地味と結婚したあたりから、マグリットは急に落ち着き、以降は小市民的な生活に入っていったそうだ。そう考えると、彼の小市民的なイメージは、黒歴史を隠したいという思いから彼自身によって強調されたものであるのかもしれない…… #太刀川探検隊

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さて、そんなマグリットであるが、ここベルギーには、なんと彼が住んでいたアパートが、当時のまま残っているのだ！ そうとなればさっそく聖地巡礼である！我々探検隊はトラムに乗り、数々の名作が生み出されたアパートを目指したのであった。 #太刀川探検隊

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トラムを降りた後、探検隊は閑静な住宅街を歩いていく。 「ここが、マグリットの住んでいた街か……」「完全に普通の住宅街ですね」「こんな所に美術館があるのか？」「あっ！あれを見てください！！」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/6mLswl7eBL

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我々の目の前に、突然謎の男の影が現れたではないか！？「この、山高帽を被った男のシルエットは一体？」「間違いない！マグリットだ！！」たちまち色めき立つ隊員達、しかしここで問題が発生。どこにも美術館らしきものがないのだ！ #太刀川探検隊 pic.twitter.com/LuzB0VgutP

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「どこにも見当たりませんね…」「看板はこれだけだし、普通の住宅街だ…」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/yhwpd2zHzR

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「おかしい……これだけ探しても……どこにも美術館の入り口的な物がないぞ！？」 「地図ではここの建物なんですが……普通の民家ですね……」「ああっ！！」「一体どうしたんだ！？」「表札を見てください！」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/VC5YuEs5CO

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「なっ！？ マグリットだと？ ということはここで良いのか？」「でも、どうみても普通の民家のドアですよ？ 普通張り紙とかしてあるんじゃないですか？」「営業してないようにも見えるが……」ドアにはドアノブなどはなく、こちらからは開けることができない。 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/G17TFSO28M

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隊長の顔が険しくなる。 「たまたま郵便受けが開いているな。よし、マナーに反するとは思うが、覗いてみろ。やっているなら人がいるはずだ」「これたまたま名前が同じだけの普通の民家だったら我々完全に不審者ですね」 「中は……。！？ 人がいるようだぞ？」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/6LCovYcO1c

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隊員からの報告についに隊長が決断を下す。 「よし、呼び鈴を押してみよう！」「本当に大丈夫ですか？ 数千キロ旅してきた我々、人類史上最長レベルのピンポンダッシュをすることになってしまうのでは？」「いずれにせよ他にできることはないだろ」#太刀川探検隊

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隊長の手が呼び鈴にかかる！ 一種間をおいて鳴り響くベル！何かしらの声と階段を降りる音。緊張する隊員の目の前に現れたのは謎の女性である。「ようこそ、ルネ・マグリット・ミュージアムへ（英語）」隊員達は一斉に安堵の表情をうかべる。ここだ。ここで間違いないのだ！ #太刀川探検隊

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「しかし、すごい所ですね。何も表示の無いドアを自分で開けなければいけないとは……」「すでにめちゃくちゃマグリットっぽい」「たどり着けなくて帰った人とかもいるんじゃあないのかな」「ハンター試験かよ」#太刀川探検隊

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意外さに戸惑う我々だったが、たしかに考えてみると、この入り方はかなり考えられた演出のように感じられる。マグリット表記の呼び鈴を押して一見普通の民家に入っていく体験はかなりマグリットっぽくはないだろうか。「入場の時点から、ミュージアムは始まっていたということか……」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/03b3DIJ3E6

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二階に上がる前に、靴カバーをつける必要がある。これは見えにくいので注意が必要だ。#太刀川探検隊 pic.twitter.com/C3MRjfJ61U

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二階の事務所で荷物を預け、各国語に訳した説明書きをもらう。日本語もあるので大変助かる。一階はマグリット夫婦が実際に暮らした場所で、二階三階は彼のバイオグラフィーを表した展示になっている。これは彼が11歳の時に書いた、初めての絵だそうだ。 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/N8oKOiJMVT

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「なぜ、メリケンサックが」「表記がフランス語なのでわからないな……」「荒れてた時期に通販で買ったりしたのかな」「蛮勇引力じゃん」#太刀川探検隊 pic.twitter.com/ioTbK1y7Bd

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一階はマグリットの家をそのまま再現している。 「壁紙が青いのは、青空をイメージしてたらしい」「マグリット、空とか好きだもんな」「壁紙が奇抜なのに対して家具が大人しいのは奥さんの趣味だとのこと」「やはり奥さんには勝てなかったのか……」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/GQ40wNWQ6B

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「寝室は落ち着いていますね」「寝室、とリビングと…それから台所で終わりか。これは小市民」#太刀川探検隊 pic.twitter.com/dwCrIfrYJV

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「あっ！山高帽だ！」「本人のものではなくおそらく演出だろうけれど、憎いね」#太刀川探検隊 pic.twitter.com/QsPxbJD9B7

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「こ、これが伝説の……」「おそらくこの場所で間違い無いですね……」隊員達の目の前に現れたのは、まごうことなき聖地、マグリットのアトリエであった！！ 「こんな場所で絵を描いてたんですね……台所というより、そこに通じる廊下の片隅だったんですね」「ああ、すごいことだ……」 #太刀川探検隊 pic.twitter.com/EdieSn6Jmb

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こうして、我々はついに聖地巡礼を果たすことができたのだ。感無量である。探検隊は満足感を胸にマグリットの家を去ったのであった。 太刀川探検隊〜ベルギーのアパートにマグリットの影を追え！〜 完 #太刀川探検隊