添田孝史さん解説「2019.5.16 原発賠償ひょうご訴訟 第29回期日での国側の主張」

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添田孝史 @sayawudon

国と東電を住民が訴えた集団訴訟で、国側が使ったパワポと読み上げ原稿。2018年12月14日の京都訴訟控訴審のもの。 【法務省】集団訴訟で国が陳述したパワポと読み上げ原稿(責任論) level7online.jp/?p=3730 @Level7onlineさんから

2019-05-16 21:44:28
リンク level7 【法務省】集団訴訟で国が陳述したパワポと読み上げ原稿(責任論) - level7 開示決定通知書等 あり 開示請求者 添田孝史 開示請求受付日 2018年12月19日 開示決定日 2019年2月4日 開示決定の番号 法務省訴民第64号 文書名(概略) 大阪口頭裁判所に係属している福島原発事故に伴う国家賠償請求訴訟の2018年12月14日第1回口頭弁論期日における国側の口頭陳述資料 …
添田孝史 @sayawudon

本日(5月16日)は、神戸地裁で、原発賠償ひょうご訴訟の第29回期日がありました。裁判長が新しくなったので、原告側、被告国側が、これまでの総まとめプレゼン。国側の主張についてみてみます。

2019-05-16 21:59:26
添田孝史 @sayawudon

ツイート中に出てくる図表類は、国が昨年12月に大阪高裁でプレゼンしたパワポ資料 level7online.jp/?p=3730 を流用します。今日もほぼ同じものでした。 (裁判所の画面に映した資料ぐらいすぐ提供してくれるといいのに、開示請求して入手に2か月かかる最先端IT国家でございます)

2019-05-16 22:03:14
添田孝史 @sayawudon

国は、土木学会津波評価技術(土木学会手法、2002)について「既往津波だけでなく、将来発生が否定できない大きな津波も想定することになっている」と主張。その、もっとも権威ある土木学会手法が、福島沖の津波地震(地図の7の領域より沖合側)を想定していない。だから予見はできないんだと。 pic.twitter.com/yvEXgdjGw5

2019-05-16 22:14:49
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添田孝史 @sayawudon

「土木学会は一番えらい。そこが想定してなかったんだから、予見できないじゃん」というわけです。しかし、国のこの主張は、昨年12月に今村文彦・東北大教授によって、完全に崩されています。 level7online.jp/2018/%E3%80%8C… 土木学会の地図は、既往津波を整理して載せているだけのものだからです。

2019-05-16 22:19:28
添田孝史 @sayawudon

国の主張その2 国の地震本部は、明治三陸沖地震(1896年)と同等の地震が、福島沖でも起こりうるという長期評価を2002年に発表。その場合、福島第一の津波高さは15.7mになります(東電が2008年に計算)。保安院の担当者は、長期評価を新聞記事で知って驚き、東電の担当者を呼び出して「すぐに津波高さ

2019-05-16 22:26:56
添田孝史 @sayawudon

を計算しろ」と言うのですが、東電は40分間抵抗。「確率論で計算するから」と逃げ切りました。さて、この東電に口で負けてしまった言い訳として、国側は「確率論で対応することは、著しく合理性を欠くものではない」(陳述書p.10)と、本日も主張しておられました。さて、本当でしょうか。

2019-05-16 22:32:30
添田孝史 @sayawudon

その当時、確率論が津波のリスクを検討するための道具として信用できるものになっていれば、国の言い分もわかります。しかし、確率論はまだ研究が始まったばかり。17年後の現在でも規制には取り入れられていません。そんなあいまいなものを言い訳にされて、国は規制の機会を逃したわけです

2019-05-16 22:35:57
添田孝史 @sayawudon

「確率論で評価するということは、実質評価しないこと」と、40分抵抗して国の指示から逃れた東電の担当者自身が、2007年に他社に説明していたのでありました。何度読んでも名言だなあ、というわけで、「実質なにもしない」というのは、著しく合理性に欠けてそうな気がするのですが、どうなんでしょう

2019-05-16 22:45:41
添田孝史 @sayawudon

国の主張3 本日、傍聴席からも大きなブーイングを浴びたのは、「そもそも長期評価は、国民の防災意識の高揚を図ること等を目的としたものだ。だから可能性がゼロでない限り、様々な見解を確率評価の前提に取り入れて公表している」という国の主張。

2019-05-16 22:52:59
添田孝史 @sayawudon

一方、長期評価をとりまとめた島崎邦彦・元規制委員長代理はこう述べています。「地震本部は、純粋に科学的な判断をして、もっとも起こりうる地震を想定しています。いわゆる最悪のシナリオではありません」 地震にも原発にも詳しくなさそうな国側代理人の言い分と、島崎さんの説明、えらく違います

2019-05-16 22:58:11
添田孝史 @sayawudon

まとめると、国も集団訴訟で2勝6敗もしているのだから、もう少し説得力のあるプレゼンに仕上げてくるのかと思っていたら、なんだか勝つ気がなさそうなレベルで終わってました。規制庁は訴訟対策の部局を強化したそうですが、成果は見えません。最高裁まで引き延ばすのだけが目的なのでしょうか。

2019-05-16 23:01:54