令和生まれの軍事板常見問題用データ集積庫,2019.7.23

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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そして重装甲の銃塔や観測所を使ってたのはフランスのマジノ線だけじゃありません。ドイツも同じようなものをジークフリート線に植えていたのです。フランスが陥ちたので差し迫った不安はないとはいえ、これはちょっとまずい。将来の要塞の方向性を考え直さなきゃなりません pic.twitter.com/dOhakDVunK

2019-07-23 22:56:26
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そしてドイツは別の方向性の要塞用観測所を使い始めます。一人用のコンクリート製蛸壺に退避室を組み合わせた「標準様式58c」要塞。北アフリカのトブルクで最初に印象を残したことから「トブルク」の通称でも呼ばれます。またイタリアの設計が参考とも pic.twitter.com/0i2ZueDTXO

2019-07-23 23:10:01
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

トブルクは本来は観測所ですが、機銃や迫撃砲を据える事も出来ました。木土製の野戦築城よりはずっと強固で、直撃弾には耐えられないけれど小さいので的になりにくくい。そして重要な要塞本体とは繋げずに独立して補助的に置くスタイルなので、万が一潰されたり乗り込まれたりしても切り捨てられる pic.twitter.com/TWhok81dUM

2019-07-23 23:16:23
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

何より最も重要なことに、トブルクは従来の装甲銃塔より遥かに安上がりでした。何十トンもの鋼の塊を作って持ってくるのではなくその場で流し込めるし、安ければたくさん植えられる、超強力という訳ではないけどしぶとくて、潰されても被害は小さい。トブルクは強いというか「効率的」だったのですね

2019-07-23 23:24:10
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ如何せんトブルクはあくまで本来は観測所なので、撃ち合いをさせるにはちょっとうまくありません。そこに緒戦で出くわした戦車砲塔トーチカのアイデアを組み合わせ、鹵獲FT戦車の砲塔を載せられるようにした派生型が生まれます。拾い物の砲塔なのでトブルクの最大の利点である安さを損なわない pic.twitter.com/ExqVcO2Lrq

2019-07-23 23:29:35
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この戦車砲塔付トブルクとでも言うミニ要塞は、本式の要塞と比べれば遥かに脆弱だけれど沢山植えられて、そして歩兵で何とかするのは大変厄介です。大西洋の長大な海岸線をコマンド部隊の襲撃から守るには打って付け。なのでまずは本式の要塞の補助の目的で「大西洋の壁」のあちこちに植えられます pic.twitter.com/Cb78sypSse

2019-07-23 23:39:11
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

つまりドイツの鹵獲戦車砲塔トーチカは、元々は沿岸要塞の近接防御装備みたいな立ち位置でした。戦車相手は要塞の他の施設が相手をするので、こいつらにはそこまで対戦車能力は求められていません。少数のコマンド部隊が裏に回り込んできたりとか、そういうのを防ぐにはFTの銃塔だって十分なのです

2019-07-23 23:43:15
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

いっぽうパンターの「東方の壁砲塔」は生まれからして全く異なります。まず名前から明らかなように、これは東部戦線での使用が考えられてました。内陸要塞のための装備で、自分で戦車と戦う必要がある。だから当時最も強力な戦車の砲塔を転用したのです pic.twitter.com/BtJyvC6011

2019-07-23 23:48:40
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

東方の壁砲塔の詳しい意図は知りませんが。攻勢の限界に達し守勢に回りつつある東部戦線でも、コレによって少ない兵力でも効率的な防衛が可能になれば、それで余剰の兵力をひねり出して他に回したり、なんか上手いことやりくり出来る筈です。要塞とは大体そんなもんでもあるでしょう(ふわふわ)

2019-07-23 23:53:39
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ともあれ。東方の壁砲塔は大西洋の壁とは別口の計画なので、資源を食い合うとマズいです。なのでコンクリートを大量使用する大西洋の壁に対し、パンタートーチカは鋼製の箱を土台として地面にそのまま植える事にします。これがまずはPantherturm I、あるいはI型 pic.twitter.com/ya4obXAxVV

2019-07-23 23:59:54
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

パンタートーチカも最初はそのように消費資源の分散が目論まれたのですが、実際試してみるとそう上手く行きませんでした。まず鋼製の箱を地面にそのまま植えるだけだと、土壌によっては射撃時の反動で動いちゃう。なので箱の周りにコンクリートで土台を作ることに。……いきなり意義が失われてきます pic.twitter.com/PAwGH4RMlm

2019-07-24 00:03:41
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

さらにさらに。分厚い鋼製の箱を作るまでは出来ても、これを運ぶのは大変です。この上半分だけで22.3トン、さらに下半分の居住スペースと内装を入れれば総重量41.8トン。元のパンターに近いくらい重くて、しかも自分で走れない箱を、辺鄙な設置場所に据えなきゃならないのです pic.twitter.com/wJfqu6EnKd

2019-07-24 00:15:18
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とまあ鋼製のPantherturm Iは安上がりなトブルクとは性質が違って、かつての重厚な装甲銃塔に似た欠点が出てきちゃったのです。なので箱の輸送問題を無くすためにパンター版トブルクとして鉄筋コンクリート要塞の標準様式687が制定されます。これ用の砲塔がPantherturm II、つまり所謂II型 pic.twitter.com/3kal5UYCBE

2019-07-24 00:21:33
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ところでパンタートーチカは鋼製箱版がI型、鉄筋コンクリート版が「III型」だという話も聞かれます。どうも私にゃよく分からないのですが、しかし把握してる限りだと後者はII型であってIII型というのは無いようにも思えます。はてさて?

2019-07-24 00:24:36
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

鋼製箱よりも設置しやすいコンクリート製のパンタートーチカが出来たことで万事解決……とは行きませんでした。この頃にはドイツにゃ資源も時間もなくなってきてて、コンクリートのトブルクさえ植える余裕がなかったのです。そこでなんとII型用のリング台座を木製の箱に据えるタイプが出現します pic.twitter.com/dcvWncqlVz

2019-07-24 00:28:08
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

コンクリートに据える用だったタイプの砲塔は、鋼製箱に組み付けられてるタイプよりも台座の自由が効いたという訳です。つまりこれもIII型とかじゃなくてII型の流用の一形態なんですね

2019-07-24 00:31:58
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

直感的に当然予想されるようにら木製の台座がパンターの強力な射撃反動に長いこと耐えられる訳ではありませんし、敵の攻撃に際してもうまくないでしょう。しかし、もうそんなこと些細な問題に過ぎないほど戦局は悪かったのです

2019-07-24 00:35:03
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とまあそんなわけで、パンタートーチカは他の戦車砲塔トーチカとは生まれがちょっと違うというわけでした。まあ東方の壁砲塔といいつつ結局は西の方やイタリアにも植えられてて、むしろそっちでの方が活躍は印象的なきらいもありますけどね

2019-07-24 00:37:23
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

またぞろふんわりしたおはなしをしたので要塞ガチ勢に刺されそう

2019-07-24 00:39:37
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