🐞てんとう虫🌱51〜100

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#源色トマト てんとう虫🐞51 主任の仕事用の携帯が鳴る 「どうも、石井様連絡ありがとうございます。先日お話させて頂いた件で…ありがとうございます。では明日にもお伺いします。よろしくお願いします。失礼します」 「さて、仕事、仕事！ 星野、明日までにＹ物産の概要頭に入れといて。明日10時ね」

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#源色トマト てんとう虫🐞52 主任の頭の構造はどうなっているのだろう 仕事スイッチが入ったら 目の前にいた可愛いらしい女性から お局主任へと変わる そのギャップを知って 惹かれてしまう 専務もこんな主任に 惹かれたのだろうか 主任はまさか まさか まだ専務のこと… たから俺の事をわざと…

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#源色トマト てんとう虫🐞53 あの日から 主任が俺の前で女を見せることが なくなった 周りからも いっそうお局感が増した とか言われても なんのその 俺の仕事が増えたのは 信頼されたからだと 思っていた… あの時までは……… ………………………………………

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#源色トマト てんとう虫🐞54 1週間後の夜22時 今日も安定の残業 主任いわく 自分自身の事前リサーチだから 残業とは言わないらしい はぁー終わった=3 フロアの電気を消し エレベーターを待つ 開いたドアの中にいたのは… 〔星野くん、だったね。今帰りかい？お疲れ様〕 『せ、専務…お疲れ様です』

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#源色トマト てんとう虫🐞55 〔こんな時間まで残業なんて君の上司も酷いな〕 と、右の口角が上がる 『いえ、自分のリサーチですから、言われてしている訳では無いので…』 〔でも、そのリサーチは指示なんだろ？〕 降りる数字を見上げていた 専務はちらっとコチラを見ると 鼻で笑った… 大人の余裕

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#源色トマト てんとう虫🐞56 年上で お偉いさんとはいえ もの言いと仕草が いちいちはなにつく 『それはそうですけど…この時間までかかったのは主任のせいではありません』 〔ほぅー、随分と彼女をかばうんだな。まぁ、あんな強気な女が好きならくれてやるよ〕 そう言うと エレベーターを降りていった

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#源色トマト てんとう虫🐞57 閉まりかけのドアに 慌てて自分も外に出る 主任は専務のどこに 惹かれたのだろう 若い頃の 大人の人への憧れだったのか？ でも今は… 少なくとも付き合っていた女性を 所有物のように… そんな怒りで 『専務、主任は素敵な上司です。 女性としても素敵な人だと思ってます』

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#源色トマト てんとう虫🐞58 言ってしまった… くれてやると言ったからには ありがたい事に 専務は主任には未練はないのだろう 前を歩いていた専務が振り返り 〔残念だよ。星野くん。君の仕事ぶりはかっていたのだが…〕 〔君は…遠距離恋愛できるか？〕 〔じゃあ、お疲れさま…〕 遠距離恋愛？…

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#源色トマト てんとう虫🐞59 聞いてしまった 根詰めるタイプの星野くんが心配で 個人的な用事の後 向かった会社のエレベーターホール 専務と星野くん だからもう言わない事にしたのに… 星野くんには 伝わってなかったか そして専務も大人気ない… 男ってどうして… 「はぁー」 〔立ち聞きか？〕

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#源色トマト てんとう虫🐞60 「専務…お話が…」 〔なんだ、やっぱり私はあなたがいないと…とか？〕 こちらが何を話すか分かったうえで ふざけるのは彼の悪いくせ 「星野の事です」 〔私の彼を飛ばさないで下さい。とでも頭下げるつもりか？〕 「やっぱりそのつもりですか？大人気ない…」 〔何?〕

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#源色トマト てんとう虫🐞61 専務と話しはじめたら 突然の雷雨 こんな時に雨なんて さすがにどしゃ降りとなり 〔話すにしてもどこか入るか〕 と促され 本意ではないがそばのカフェへ 「そんなに長くなる話ではないはずですが…」 『まぁ、雨やどりだ』 と言い クラフトビールたのむ 〔君は何にする？〕

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#源色トマト てんとう虫🐞61 「いりません！」 〔そんなにかなくなになるなよ。それに星野の話したいんだろ？酒とは言わないからせめてコーヒーで付き合えよ〕 と言うと勝手に私の分のアイスコーヒーを注文した そう、いつも 私の分まで決めて注文する 若い頃の私はそれを決断力だと 思い込んでいた

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#源色トマト てんとう虫🐞62 社を出て 後味悪く 専務と反対の方向に歩き出すと 降り始めた大粒の雨… 今日は全くついてない 置きっぱなしの 傘があったはず… 戻ろうと向きを変えた時 専務に促されカフェに入る女性… 『主任!?』 なんで？どうして？ 別れたんじゃ…？ 俺の事を好きになったんじゃ…

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#源色トマト てんとう虫🐞63 もう 分からない… 信じたい自分と 信じられない自分 傘の置いてあるデスクまで戻る気も完全に失せ どしゃ降りの雨の中 歩いて部屋まで帰った この雨で 今見てしまったもの、か この前屋上で 「好きになっちゃうじゃない」 と言った主任の綺麗な横顔を 洗い流して欲しい

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#源色トマト てんとう虫🐞64 雨にねれ 部屋までたどり着いてけど しばらく呆然としていた なんだかシャワーを浴びるのも面倒になり 何とか着替えはして ソファーに横になる 主任はどんな顔で専務とカフェに… 笑顔？まさか… 忘れようと思っても あの光景が無限ループする… ……………………………

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#源色トマト てんとう虫🐞65 どんな苦い思いで 主任が専務と話したか知らない俺は 朝、ソファーで目が覚めると 喉が……いたい 声が……でない 熱が…… 体温計は39.0℃ 節々が痛くて起き上がるのもしんどい 会社に電話しないと… テーブルの上に置いた携帯に手を伸ばす 主任に… でも…声を聞いたら…

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#源色トマト てんとう虫🐞66 主任の携帯に直接かける勇気はなくて 会社にかけたら隣の女の子が出た 〈主任まだ出社されてませんよ。分かりました。伝えます。お大事に〉 スマホをテーブルに置き 天井を見上げる 昨日の夜の光景が… アレは夢だ！絶対に夢だ！ 俺は熱にうなされ 悪夢でも見ているのか？

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#源色トマト てんとう虫🐞67 専務との話はいつも 専務の中で結論が決まっている もう、 星野くんと私を別部署にする計画 しかも遠くへ それは何のため？ どう聞いても星野くんへの嫉妬にしか聞こえないから 私と星野くんは付き合ってないと 説明しても聞いてもらえない 「では、私が会社辞めます!!」

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#源色トマト てんとう虫🐞68 この歳になって 今後のあてもないのに 辞めます だなんて… ただただ、星野くんを 関係の無い 星野くんは守らないといけない と思った 〔ふっ、そこまでして守る価値があるのか…星野に…〕 言い残して専務は店を出て行った 私は動けずに しばらく外の雨をただ眺めていた

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#源色トマト てんとう虫🐞69 翌朝 出社し仕事のファイルを整理する 辞めるにしても 星野くんに仕事の引き継ぎをしなければ 「あれ？星野は？」 〈さっき電話があって風邪ですごい熱出てて休みだそうです。すごい声してました〉 風邪？ 大丈夫かな？ 仕事をしていても 気になる星野くんの事

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#源色トマト てんとう虫🐞70 確かこの辺って言ってたなぁ… 話の中で出てきた記憶を頼りに 来てしまった星野くんのアパート前 途中のスーパーマーケットで買った 飲み物や食べ物、風邪薬 ただ、アパートの前には来たけど 部屋が分からない… 私達は恋人同士では無い 仕事上の相棒 上司と部下

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#源色トマト てんとう虫🐞71 電話してみる 『もしもし、しゅ、に、ん、…』 絞り出したような声に私の胸も締め付けられる 「星野くん…部屋何号室？アパートの前まで来てて…迷惑なら帰る。ただ薬とか飲み物とか買ってきたから届けたいの。ダメかな？」 すると、2階のカーテンが少し開いた部屋が…

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#源色トマト てんとう虫🐞72 「辛いところありがとう。今そっち行くね」 って携帯もきらずに星野くんの部屋へ向かおうと進み出した時 『主任、来ないでください。俺は大丈夫ですから…ｺﾝｺﾝ』 そう言うと咳が止まらない 「薬は飲んだ？食べ物はある？ 部屋の前まで来たから、せめて差し入れでも…」

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#源色トマト てんとう虫🐞73 「ねぇ、星野くん…大丈夫？聞こえてる？開けて…」 『主任、俺…見たんです。専務とカフェに入るとこ。俺の事はほっといてください。大丈夫ですから』 そう言う星野くんがまた、咳込む。 その咳でドアのすぐ向こうにいるのが分かる 私の胸は強く絞られる程の痛みを 感じた

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#源色トマト てんとう虫🐞74 「違う、違うの星野くん。ゴメンね。そのままでいいから聞いて。変な事に巻き込んで、私もう会社辞めるから…」 「聞いてしまったの昨日専務とあなたがエレベーターホールで話してるとこ。専務が大人気なくあなたの事を転勤させようとして…私とは関係ないのにね…」