「ナナドラ」リアルタイムリプレイ -58- ルシェ王からの試練・5 + 柔らかな毛玉を集めて!
- imaitetsuya
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プレロマ特任学士として、西大陸のドラゴン被害調査のためにネバンプレスへ赴任してから1か月。いよいよ、デ=ヴォ砂漠の帝竜「フレイムイーター」討伐作戦が開始される。
2010-05-14 15:45:14西大陸南部の実測調査を終えたのち、先生はほぼ2週間、ネバンプレス城内の資料室にこもりきりだった。「ダンドリオン」のハントマン・・・すがわら学士と、なかむらとかいう騎士とは、先生は頻繁に議論をしていたが、僕はほとんどそこに参加させてもらえなかった。
2010-05-14 15:49:42先生はプレロマでも変人で通っている、天才肌の学士だ。いちど研究に没頭しはじめると周囲には目もくれなくなる。しかし、それにしたって、もっと僕を助手として信頼してくれてもいいはずだ。先生は定期的にプレロマへ報告書を送っているが、僕だってそれにはちゃんと目を通している。
2010-05-14 15:53:36先生は毎日山のように資料のレファレンスを申請する。その手続きも、やっているのはほとんど僕だ。先生がどんな資料を読み込んでいるのか、僕だって完璧に把握している。
2010-05-14 15:57:46なのに、先生が相談を持ちかける相手はいつもすがわら学士だ。僕の質問にはまともに答えてもくれない。もっと資料を読め、そればっかりだ。はっきり言って、僕の才能に対する先生の評価は不当だと思う。
2010-05-14 16:01:50僕は年齢こそまだ子供だが、プレロマ学術院の課程を飛び級ですべて修了した、れっきとした高等学士なんだ。ハントマン資格も、プレロマ史上3番目の若さで取得した。メイジとしてはまだ研修生待遇だが、魔法理論の知識ならそこいらの教授にもひけを取らないつもりだ。
2010-05-14 16:05:33実際、今の513研究室でも、研究実績で僕にかなう奴はいないんだ。自慢じゃないが、東大陸にある故郷の学校では、教授たちでさえ僕の頭脳を持て余していた。
2010-05-14 16:11:10もちろん、神童などと祭り上げられるのは趣味じゃない。だが、異例の若さでプレロマ学術院に編入した時も、研究室所属の学士になったあとも、周囲からの期待には相応の結果でもって応え続けてきた。それがどれだけのプレッシャーかみんなは想像しようともしないけど、精神力だって鍛えられている。
2010-05-14 16:14:04だからこそ、今回の調査行でも、この僕が先生の随行員に選ばれたんだ。なのに誰も僕のことを評価してくれない。先生を揶揄するわけじゃないが・・・正直、僕だったらもっと早く、デ=ヴォ砂漠の魔法陣解析も終えられたかもしれない。こんな寒い山奥で何日も時間を浪費せずに済んだんだ。
2010-05-14 16:15:22今日も先生は資料室にこもって、ネバン戦士団から提供されたデータを解析している。ここの所、先生は北部山岳地帯の各地にネバン兵を派遣して、気温や降水量の細かいデータを取ってきているようだ。そんなものが何の役に立つんだ・・・?
2010-05-14 16:21:30先生のあの頭脳の中で、どんな理論が今構築されているのかは、周りにいる人間には誰からも分からない。先生は天才なんだ。でも、僕にひと言相談してくれれば、手伝いくらいはできる。もっと効率的なやりかただって提案できるはずなんだ。僕はこんなところでこれ以上くすぶっているのはごめんだ。
2010-05-14 16:22:54「ダンドリオン」の連中は呑気だ。さっき、城内でみそのとか言うプリンセスとすれ違ったが、今日は城下のどこかの子供のために、毛糸を調達してマフラーを作るのだとか何とか言っていた。
2010-05-14 16:25:44なのに今でもやっていることときたら、あんなのほほんとした人助けだ。ドラゴンと戦うっていうことがどういう事か分かっていない。そんな風に緊張感が無いから死ぬような目に遭うんだ。バカが多すぎる。
2010-05-14 16:28:41まあいい。明日にはいよいよ作戦決行だ。先生が詳細なデータと緻密な計算に基づいて決定した日程。おそらく「フレイムイーター」は完膚無きまでに打ちのめされ、あっけなく討伐されるだろう。それでこんな、むさくるしい田舎ともおさらばだ。
2010-05-14 16:31:33プレロマに戻ったら、今回の調査をもとに、僕なりに構築した対ドラゴン戦用の魔法理論を仕上げて提出しよう。ドラゴン戦の戦術が画期的に変わるぞ。僕には僕の、もっとふさわしい活躍のステージがあるんだ。
2010-05-14 16:34:48そうすれば先生も、すがわら学士も、まわりも皆僕のことを認めてくれる。そうだ、僕は優秀なんだ。今はこんなところで暇を持て余しているが、そんなのは本当の僕じゃない。きっと皆、すぐに僕の才能に気づいて賞賛を送るにちがいない。今に見ていろ。
2010-05-14 16:37:30