観劇報告書2019(12月-Ⅳ)〔名城大学劇団獅子〕

しくじり学生たちの宴。
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そう卒業公演ではなくて卒業できない公演なんです。つまり留年と中退の人たちだらけという…親が泣くぞ。まさにプライベートの切売り公演www

【変身】
【作品紹介】
朝起きて、会社に行き、仕事をこなして、定時で退社して、買い物にでかけ、自分のアパートで飯を食い、そして眠るというある意味では会社と家の往復というある意味では、規則正しい生活を送っている一人のサラリーマン男子のお話です。ただ、この彼、定時に帰れることを喜ぶ理由が、プライベートうんぬんよりもむしろ単に仕事という呪いあたりから解放されたことを喜んでる節があるので、悪く言っちゃうと無味乾燥な機械的な日々を送っているって感じでもあるんですけどね、でもその気持ちすんげーわかる笑。仕事中は確かに社畜っていう毒虫あたりに変えられちゃうからね笑。

そんな彼がある日部長に飲みに誘われます。当然、イヤイヤ彼は付いていく訳なのですが、この辺、飲みニケーション世代の部長と彼とでテンションがかなり違うので年代のギャップみたいなのを感じたりするんですけどね。ここでは、部長の部下の彼に対する自己満にしか見えない押しつけがましさと、そこから一分一秒でも早く逃げ出したい、かなり引き気味の彼のやり取りが笑えます。そういや、フランツ=カフカの「変身」でも高慢な上司って冒頭あたりに出てきたっけ?…うろ覚えだけど。あと舞台装置の瓶ケース?を想わせる使い方が上手い、なんたって立ち呑み屋ですからね。

やがて、ほろ酔い気味の二人は二次会的にある場所へと来るのですが(←というか部長が拉致った)そこは圧政に耐えかねて民衆が蜂起して皇帝を倒すというB級かC級あたりの映画の試写室だったのです。ここで面白いのはまず地下3階にある(←この時点で怪しすぎる)試写室に行くためのクッソ狭いエレベーターの中の会話。(←途中乗ってきた見るからに性格悪そうなお水風の女が狭すぎて彼らにケリ喰らわすくらいの狭さ笑)
それは部長が彼のプライベートを根掘り葉掘り後ろから囁く様に聞くっていう件なんですけど、スポットライトしかないそこはさながら彼の抑え込んでる本音あたりを自問自答し続けているって感じがしましたね、葛藤とも言いますが。まさに光と闇って感じ。

その後、試写を終えて二人はカルピスサワーみたいな酒を振る舞われる訳なのですが、その最中、彼は呆気に取られる部長を尻目にものの見事にラリってしまい、(←酒に毒でも入ってたのか?と思ったくらい)次に目を覚ました時には見たこともない荒野にいた…そしてその荒野での出来事、起きたことは結局、全て夢オチだった…つまりは、自分が無意識のうちに抱いていた気持ちそのものだった…そんな話です。
ちなみにここで面白いのは彼の酔い方の演出?ですかね。なんかどっかの国のカーニバルかってくらいのお祭り騒ぎになっちゃうんですが、そういやここで彼ってすでに変身してたんですよね、酒の力を借りたとはいえ、別の自分に。

そういや変身繋がりでもう1つ。確か、映画の試写室の支配人との会話で「誰も憎んだりしたことなんかない」的なこと言ってたのに(夢の中とはいえ)目つきが気に食わないとか、そんな目で見るなとか言いながら見知らぬ男を明らかに殺意もって絞殺してたんですよね、このリーマン男子。まぁもっともそれを黙って眺めてる人もどうかとは思うけど。この辺は普通っぽい人が通り魔事件起こすのに似てなくもないですよね。人は誰もが毒虫を飼ってる…のか?。

MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【観てきました!(。•̀ᴗ-)✧】 【変身】 フランツカフカの原作を過去に別の舞台とはいえ一度観ている身としては、どう料理してくるかが楽しみなとこではありましたが、やっぱ普通には来なかった…。予想はしてたけど。ヤベーなぁ、これはまた考えがとっ散らかったぞぉ…。→#獅子卒できない公2019 pic.twitter.com/Osm3oNI3ME

2019-12-22 18:47:31
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MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【観てきました!(。•̀ᴗ-)✧】 【変身】 →そんなに話自体は難しくないんですよ。だいたい言わんとしてるとこを3つくらいにまとめると「見えない敵」「その敵なるものを殺す」「自分の居場所」って感じですからね、そこまででもない…ただこれが果たしてこの場合→ #獅子卒できない公2019 pic.twitter.com/rbMnLqsbvt

2019-12-22 18:47:42
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とっ散らかったのはこの荒野からですね。本人の意識の中にいるのかいないのか、敵か味方かよーわからん見えない敵ってのがいる訳ですよね。で話見てるとそもそもこの敵ってのは何なんだ!?、なんで荒野なんだ!?みたいなとこありましてね。最初は部長とかを指すのかな?とか思ってたのですが、どうも固有名詞ばかりではないようで…。

MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【観てきました!(。•̀ᴗ-)✧】 【変身】 →一体全体何を指すかが問題な訳で…そういう意味ではエライもん観たなぁと思わなくもないですね笑。なかなかに面白かったです。来年度以降にもまた期待ですね。 #そこでプレッシャーかけるのはいかがなものかと #獅子卒できない公2019 pic.twitter.com/VmkDUZdHn5

2019-12-22 18:47:51
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話を整理すると、まず荒野で殺し屋と名乗る2人の男女に会います。で彼らは「殺されるかもしれないから先に殺す、今その敵を探してる」とかなんとかのたまう訳ですよ。(←ちなみにこの二人の格好って極寒のロシアあたりの民族衣装みたいな衣服だったんですけど、なんでよ?)

でこの辺りなんかはSNSとかの悪意ある投稿の話なのかな?とか思った訳ですよ。また会社で言うならいつどのタイミングでキャパオーバーで潰れるか潰されるかわかんねみたいな恐怖が…みたいなことを思ったのですね。実際主人公リーマンな訳だし。

やがて、その二人の案内で主人公のリーマンはどこぞの集落に着くんですけど彼らは同じ様な白い衣装に身をまとい、敵に備えて守る為の塀づくりやらなんやら毎日同じような作業を黙々とこなしてる訳ですよ。そしていつ来るとも知れない敵を待ち続けているんですよね。オチオチ眠れないほどビクビクしながら。そんでもって最後、ようやく進撃の巨人の巨人らしきものが現れるのですが敵なのかどーなのかよくわかんねって言って放置するんですよね。でも主人公のリーマン男子だけが敵視してギャーギャー言って攻撃することにこだわってるという(←結果、攻撃はしてこない)

ここでは2つの考えが出ました。1つは塀の中大学そのもの、塀のにいる進撃の巨人は会社含む社会そのもの。もう1つは塀の会社そのもので進撃の巨人の巨人は(特に覚えたての)仕事そのものかその顧客あたりです。共に得体が知れないという意味で。実際、主人公は営業職だったんで、意識の中に友人の様にはいかず、正直どう対応したら良いか勝手がわからんってのがあってもおかしくはないので。ちなみに白い衣装は白いカッターシャツの社員達と取れました。(いわゆるリクルートスーツの人たち)

だからこの辺ってのは大学と会社が入り混じってる様な印象なんですよね。

ちなみに主人公がギャーギャー攻撃にこだわったって所は、前者の大学ならば、まだ勤めたことない会社というか、出たことない社会に対する警戒感あたり。そりゃあ怖いですもんね。ちなみに後者の会社については少し浮かびませんでしたが、ただ、無関係な他人を煽って敵というか標的あたりを作りたがる風潮、特にマスコミあたりって感じにも、もしくはモンスターなんとかじゃないですが、何でもかんでも過剰な反応を見せる今の世の中って感じには取れたんですよね。つまり決めつけてレッテルばりをしたがる世の中って感じなんですよね。まぁそれは学歴とて例外ではありませんが。

そういえば、もう1つ言い忘れてるんですけど、主人公のリーマンの男と集落の中の一人の女との会話があったんですよね、確か。ここで妙に引っ掛かったのが外から来たのが敵かもしんないという件が…。記憶違いでなければ。つまり、この主人公自体のことなんですけどね。ここはちょっと意図自体は解らないのですが、時代と共に変わりゆくというか、ますます先が分からない会社社会みたいのをちょっと感じました。実際、会社においては大企業でも潰れるとこは潰れるし、新たに成長する職種あれば、これまでが良くても衰退する業種もある訳ですからね。もっと言うとその過程でブラック企業なるものまで産まれてる訳ですからね。先が読めぬという意味で。混沌としとるなぁ…とワタクシは思った次第です。

あっ、ところでところで居場所の話してませんね。そう、自分の居場所ですよね。これも正直なところ観ただけでは難しいんですよ。確か夜明け頃に路上で泥酔状態から主人公が目覚めて、ヨタヨタでどこの誰ともわからない洗濯物干してる主婦の家に行ってそこはあなたの本当に居場所ですか?本当は私の居場所ではないのですか?って感じでいきなり聞く訳ですよね。普通ならこれ不審者で通報されますわなぁ笑。そして、そのあとで公園のベンチでみんなの物だからということで寝転がってたら別の知らん男にみんなの迷惑とばかりに蹴飛ばされる訳ですよね。何も蹴飛ばすこと無いと思うんだけど。そもそもみんなってなんだよ?お前一人しかいなくてお前一人の考えでもみんなって言えば何でも済むとか正しいとか思ってけつかるのだろうか?この男は。そんで、仕方ないので自分のアパートに戻って布団に包まる訳ですよね。そしたら件の部長様が来ちゃう訳なんですけど、しかも合鍵で入ってくるというw。それにしてもコイツもどーかしてる笑。

うーん、結局、居場所ってのは自分で作らないとなんともならんって話ですよね。誰かに与えられるもんじゃ無いというか。ただそれはスゲぇ限られたスペースかもしれませんが。まぁ、誰かの物はもちろんのこと、みんなの物はやっぱりみんなの物であって自分の物ではないんですよね。自分の物だと、主張あたりするには相手に認めさせるしかきっとないんですよね。それは自分の存在も一緒なんですよね。

ラスト、部長が侵入する件はなぜ朝っぱらからチンジャオロース食わせようとするのかも含めこれまたよーわからんのですけど、2つの考えがここも浮かんでます。1つは自分の部屋に勝手に入るあたり。もう1つは休日であろうがなんであろうが情け容赦なく携帯かけてくる会社のクソ上司です。

あーっ難しい!笑。結局、整理するとか言ってなんだかまとまりが悪くなっちゃいましたね笑。まぁ、ただ個人的には考えどころ多かったので観れて良かったとは思っていますね。

ちなみにこの大学年間に取れる単位は40だそうです。なので残ってる単位数計算すると…そりゃあまぁあーた…しかし彼らはたくましいのぅ…感心するやら呆れるやら笑。(←どっちだよ)

MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

舞台写真最前列から撮ると、だいたいこんな感じです。蜘蛛の糸みたいですな。 #獅子卒できない公2019 pic.twitter.com/70C4YqeLeL

2019-12-22 14:52:02
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舞台装置!これね、見た瞬間思わずそのスケールのデカさに口開けちゃったんですけどスゴいんですよ。なんだか名駅の裏あたりみたい笑。ほら、高層ビル群があってその下に低い建物がたくさんあって更にその下を我々がカサカサと蠢いてるか埋もれてる我らがいる…って感じなんでねぇ笑。