▽決して短くない時を過ごすうちに、お互いのことをわかってきて、なんとなく、この中に悪い人はいないのだろうな、だから分かり合えるのだろうな、と、そんなことを漠然と信じていた。
2020-01-10 21:03:08▽どうすれば、良かったんだろうか。 ▽早く、ゾンビを殺していればよかった? ▽それとも、ずっとここにいれば良かった?
2020-01-10 21:03:40▽どちらが本当に正しい答えかなんて、誰かが決められるものでもないだろう。 ▽だって、どちらかが本当に正しくて、どちらかが本当に間違っているのならば、こんなに仲違いすることもなかった。
2020-01-10 21:04:03▽浅葬水。超高校級の水葬師。 ▽無表情で、たまにすこし毒のある言葉を吐く少年であった。 ▽けれども、彼が誰かを故意に傷つけようとしていたところは、1度たりとも見た事はなかった。
2020-01-10 21:05:13▽出雲望々雛。超高校級の処刑人。 ▽会った頃は、仮面をつけた──言うならば、表面上は浅葬水と同じく『無表情』な少年だった。その頃の彼は、純粋で、幼くて、心優しい少年だった。 ▽仮面が割れてから、彼は変わってしまった。 ▽──だけど、話してみれば彼もまた、優しい少年でしかなかった。
2020-01-10 21:05:56▽結局、どっちが正しかったかなんて、わかりっこない。 ▽自分たちができることは、ただ一つ。 ▽自分の中の正しいを飲み込んで、前に進むだけ。
2020-01-10 21:08:03▽ああ、だけど、いくら自分が正しかったとしても。 ▽『自分』の答えが正解ならば、『彼』の答えが不正解なのだとしても。 ▽彼の出した答えを、ずっと、忘れられそうにない。
2020-01-10 21:09:34▽船が揺れる。 ▽揺れがしばらく続いた後に、『ボー』という汽笛のような音が聞こえて、揺れは止まった。 ▽船から降りると、そこは、少し古びた裁判場のような施設がぽつんとあった。
2020-01-10 21:10:31「はーい! それじゃあ毎度のごとく、学級裁判の簡単な説明から始めましょう! 学級裁判の結果は”国民の投票”により決定されます。 正しいクロが投票されれば、クロだけがおしおき。 だけど、もし間違った人物がクロとして投票されてしまった場合は……」
2020-01-10 21:12:09「クロ以外の全員に価値無しと判断し、クロ以外の全員をおしおきし、 国民を欺いたクロだけがこの遊園地から追放されて、自分の世界に帰っていただきまーす!」
2020-01-10 21:12:51