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カカオが香るこの日は、男女共に浮き足立っている。今日街中を歩いているだけでも複数の受け渡し現場を目撃した。なんて第三者のように述べている私も、7つの小箱が入った紙袋を下げているのだが。
2020-02-14 00:46:35「ライラ様。こちらを」 「まあ!まあまあ!こんなにも素敵なチョコレート、私が頂いてもよろしいのですか?」 「是非!味はシェリアとアニスに確認してもらったものなので保証出来ます!」 「ふふ。アリーシャさん。おいしいチョコレートを頂けたことはもちろん嬉しいですわ」
2020-02-14 00:49:26「ですが、私は何よりも、アリーシャさんが真心を込めて私に届けて下さったことが嬉しいのです。大切に頂きますね?」 「〜っ!はい!ありがとうございますっ!」 「あら、アリーシャさんがお礼を言うのですか?」 「あっ·····!」
2020-02-14 00:51:21「で、デゼル様!」 「ん?ああ、お前か。何か用か?」 「あの、こちら·····天族の皆様へ日頃の感謝をと思いまして」 「お前が作ったのか?」 「は、はい!少々形が歪になってしまったのですが、味は大丈夫だと思います·····」 「何で落ち込む。·····これ、今開けていいか?」 「はい、どうぞ!」
2020-02-14 00:54:40「(パクっ)·····ん、悪くねぇ」 「っ!」 「サンキュな。あと、気を使ってるか知らねーが、遠慮は無用だ。肩の力抜いてこい」 「は、はい!今度からそうしますね!」 「あ!なんかおいしそーなものの予感!」 「わあ!ろ、ロゼ!?驚いたじゃない·····」 「あーごめんごめんつい」
2020-02-14 00:59:15「アリーシャ。これくらいになられると厄介だが、こいつの図々しさは参考程度に留めとくのも悪くねぇだろ」 「ちょっとなんの話?今さり気にディスったよね?ね?」 「·····ふふ、はい、分かりました!」 「ぶー、あたしだけ仲間はずれ?」 「拗ねんなよ」
2020-02-14 01:01:44「それより、こいつにも渡したいもんがあるんじゃねーのか?」 「え?そうなの?」 「あっ·····」 「なになに本命?」 「違います!はいこれ、ロゼに」 「お、前に女子連中で作ってたやつだっけ?てっきり1個しか用意してないと思ってた〜」 「何そのニヤケ顔」
2020-02-14 01:05:03「へへ。つい」 「とにかく、味は保証するから食べてみて」 「今?」 「今。だってロゼ、朝から商店の方に携わってて疲れてるでしょ?糖分摂取して少し休憩したら?」 「ふーん。そこまで言うなら貰っちゃお」 「どうぞ」 「はむっ·····ん〜!おいしい!染み渡る〜」
2020-02-14 01:09:05「ちょっと、ゆっくり食べてよ」 「分かってるって」 「·····どう?おいしい?」 「おいしーよ?形が何となく不細工なのは気になるけど、不器用なアリーシャにしちゃ頑張ったんじゃない?」 「褒めてるのかそうじゃないのか分かんない」 「褒めてる褒めてる!」
2020-02-14 01:12:32「いいじゃん、これなら自信もって渡せるっしょ」 「な、なんの話」 「用意してんでしょ?ほ・ん・め・い!」 「わー!!」 「っはは!頑張れ頑張れ!」
2020-02-14 01:16:59「おいおいどーしたよ。折角のかわい子ちゃんが半減してるぜ?」 「ザビーダ様·····すみません、先程少しはしゃぎすぎてしまって·····」 「元気があっていいじゃないの!」 「恥ずかしい限りですが·····いえ、本題に入ります。ザビーダ様、こちらを」 「んぉ、こ、こりゃあ·····っ!」
2020-02-14 01:20:32「日頃の感謝をと思いまして、拙作ではありますが、受け取っていただけますか?」 「くぅ〜!お姫様からの愛情籠ったチョコレートたぁ堪らんぜ!」 「味はシェリアとアニスに見てもらったので、形さえ気になさらなければお口に合うかと·····」
2020-02-14 01:23:59「ノンノン。こういうのは贈るヤツの気持ちがものを言うんだぜ?」 「ライラ様も同じことを仰ってました」 「だろ?いや〜マジで嬉しいわ。アリーシャちゃんに特別な加護、与えてやってもいいぜ?」 「特別な、加護、ですか?」 「おうとも。んじゃあその柔らかそうな頬に口付kゴブっ!!」
2020-02-14 01:27:48「そろそろ本気で捻り潰すわよ?」 「全く·····ザビーダは懲りないな」 「エドナ様!?ミクリオ様も·····!」 「ってーよぉエドナちゃぁーん!もうちょいお手柔らかに」 「却下」 「あいでででで」 「あの·····大丈夫なのでしょうか」 「図太い男だから心配ないさ。エドナも手加減してるだろうしね」
2020-02-14 01:31:52「なら良かったです。あ、そうだ。ミクリオ様、こちらを。エドナ様も」 「これは·····」 「あら。あなたもミーハーなのね。正直今日は匂いだけでお腹いっぱいなのだけれど」 「エドナ!そんな言い方·····」 「すみません。何か別の物をご用意すればよかったですね·····」
2020-02-14 01:34:47「いらないとは言ってないわ。·····で、今食べてもいいの?」 「は、はい!是非!ミクリオ様もよろしければ」 「うん。頂くよ」 「(ドキドキ)」 「っ!·····ん、食べられる味ね」 「美味しく出来てる!アリーシャ1人で作ったのかい?」 「いえ、シェリアとアニスに教えて貰いながら·····」
2020-02-14 01:39:46「成程。あの2人なら安心だからね」 「それってアリーシャだけじゃとても食べられる味にはならないって言ってるのかしら?相手を褒めたいのならもっと上手くやりなさい。だからミボなのよ」 「そんなつもりは毛頭なかったが最後の方は僕を批判していなかったか!?」 「バレたか」
2020-02-14 01:42:36「だ、大丈夫ですよミクリオ様!2人の力があって初めて出来たものなので·····!」 「だけど、形にしたのはあなたの力でしょ?もう少し誇りなさい。真打のためにもね」 「真打?あ、そういえばアリーシャ。スレイには渡したのか?」 「〜!ま、まだ、です!」 「そうか。なら渡してくるといいよ」
2020-02-14 01:45:39「君からの贈り物なら、きっと大喜びするからね」 「そ、うです、か·····」 「あれ?何で顔が赤く·····」 「とんだボーヤだわアナタ」
2020-02-14 01:47:27「·····スレイ」 「っ!アリーシャ!どうしたの?」 「その、凄い量だな·····」 「あぁ、これ?今日はばれんたいん?ってお祭りの日だからかな、いろんな人にチョコレートを貰ったんだ」 「君はこの世界でも多くの人に愛されているんだな」 「そうなのかな?」
2020-02-14 01:51:25「·····それだけあるなら、私からのなんて」 「え、何か言った?」 「あ·····いや、何でもない。隣、座ってもいいかな?」 「ん、どーぞ」 「(すとんっ)」 「·····アリーシャ、今日は忙しかった?」 「え、何故?」 「あんまり見かけなかったからさ。ひょっとしたら何か用事かなって」
2020-02-14 01:54:37「ああ·····日頃お世話になった方たちにチョコレートを配っていたんだ。街がお祭りムードならば、乗ってみるのも楽しいかと思って」 「そうなんだ。じゃあすれ違ってたのかも」 「え?」 「オレ、アリーシャを探しに街を歩いてたんだけど、その度に待の人がチョコレートをくれてさ」
2020-02-14 01:57:53「さすがに貰いすぎて持ち運びが大変になったから、部屋でちょっと休んでた」 「そうか·····ところで、何故私を?」 「うん。これを見せたくて!」 「これは·····何かの遺物?」 「そう!この前リフィル先生たちと一緒に遺跡を探検してたときに見つけたんだけど」
2020-02-14 02:02:39「皆に見せる前にアリーシャの見解を聞きたいなと思って、こっそり隠し持ってたんだ」 「そうだったのか。·····拝借しても?」 「もちろん!」 「ふむ。これは·····ただの石にしては形が整いすぎているように見える。元々何かの一部だったとか」
2020-02-14 02:05:53遺跡トークちょい省略 「元の世界にいた頃ってアリーシャとこうして遺跡について話せる機会が少なかったから、今こうして話し合えるのが楽しいんだ」 「私もだ。お互い、好きなものにじっくり触れる機会に恵まれなかったから」 「だね。例え今のオレたちが偽物でも、今楽しいって思う気持ちは
2020-02-14 02:09:54