三連ツイノベ自選第４集

おーさん @osayas811

彼女はいつも放課後の教室で科学の本を読んでいた。「科学者になりたいの？」僕が尋ねると、彼女は答えた。「私は保険。でも時間は許してくれないかも」その言葉は僕には全く理解できなかったけれど、なぜか彼女のことが気になり、それから毎日放課後に彼女と二人で話すようになった。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

ある日、新型万能細胞が存在しなかったというニュースが流れた。放課後、メールを打つ彼女に声をかけると、「今送信したから、後で読んでね。やっぱり時間は許してくれなかった」そして自分の髪を1本抜いて僕に手渡すと、「私がこの時代に存在した証よ」そう言って教室を出ていった。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

人類が生殖機能を失った未来では、新たな命は人工的に作られているわ。でも歴史に歪みが生じたの。今日ニュースで見たでしょ？失敗した科学者の後を私が引き継ぐ計画だった。でも、この時代にはもう私は存在できない。お願い。私の髪の毛を使って、いつか必ずあの細胞を完成させて。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

何とか乗れた。これなら1限に間に合いそう。おまけに座れたし、今朝は幸せな気分。でもこの幸せって、実は誰かのおかげなのかも。誰にも知られず人類を救ったヒーローがいるのかも。なーんて。何変なこと考えてるんだろ私。新しいフレグランスのせい？そのとき、バスが大きく揺れた。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

【質問】今朝、バスが揺れたとき、前にいた男の人がよろけて私の膝にぶつかりました。そのとき突然、私、その人を前からよく知っているような気分になったんです。初対面なのに不思議ですよね。バスを降りてもその人のことばかり考えてしまいました。これって運命の出会いでしょうか？ #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

【ベストアンサー】運命の出会い、僕にも経験ありますよ。でもその人と付き合って半年後、地球に隕石が衝突。人類は滅亡の危機に。隕石の軌道を変えるには、僕が一年前にタイムスリップするしかなかった。結果、彼女との思い出は消えました。でも今日、バスで懐かしい香りが……。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

死神のスマホを手に入れた。これであの男を消すことができる。ただ死神のノートと違い、名前を書くだけでは効果はない。消したい人間を主人公にしてツイノベを書かなくてはダメなのだ。早速書こう。だが待てよ。僕はあいつのことを何も知らないぞ。これでは物語など書けるわけがない。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

あいつは最近僕の彼女に接近し始めた。僕にとって邪魔な存在だ。だが一体どんなやつなんだ？僕は彼女に聞いてみた。ところが彼女は、「知り合ったばかりで何も知らないの」困った顔で首を振るばかり。しかたがない。僕はあいつを尾行することにした。ツイノベのネタを見つけるために。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

僕はあいつを尾行していた。すると突然、意識が薄れ始めた。目の前にあいつがいた。手にはあのスマホが。「今書いたぜ。主人公はあんただ」「何？」「彼女に頼まれたんだ。ツイノベのネタも教えてくれたよ。俺の話が書けないって？当然さ。俺と彼女の物語はこれから始まるんだから」 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

俺は気象予報士。毎日ネットで配信する俺の天気予報は、今日まで一度も外れたことがない。毎晩7時、俺は必ずある場所に電話をかける。翌日の天気を聞き出すためだ。電話の相手は24時間後の俺。つまり、明日の天気を明日の俺から教えてもらうのだ。これ以上確実な方法はないだろう。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

時空電話にはルールがある。不正確な情報や歴史を変える情報は伝えられない。天気の情報は歴史を変えないので、セーフなのだ。俺は今日の天気を昨日の俺に伝えると、次に明日の天気を聞くために電話をかけた。だが、いくら鳴らしても相手が出ない。なぜだ？明日の俺に何かあったのか？ #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

翌日は雨。俺の予報は外れた。なぜ昨夜、明日の俺、つまり今日の俺は電話に出なかったのだろう。そして夜7時、電話が鳴った。とっさに出ようとした俺の頭を時空電話のルールがよぎった。正しい情報を伝えると、予報が外れたという歴史を変えることになる。ベルが虚しく鳴り続けた。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

俺は連続殺人事件の捜査をしている。この3日間で身元不明の死体が3体見つかった事件だ。被害者はいずれも若い男性。顔は識別不可能なほどに損壊している。ところが鑑識の結果、驚くべき事実が判明した。3つの死体のDNAは完全に一致。つまり、3人の被害者は同一人物だったのだ。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

「そんなバカなことがあるか！」思わず怒鳴った俺の前に、ひとりの老人がやってきた。「警部さん、私は並行宇宙の研究をしている科学者です。今回のことは、私の実験が原因なのです」「どういうことだ？」「あの男性は私の助手でした。彼を並行宇宙にトリップさせる計画だったのです」 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

「一つの宇宙に同じ人間は複数存在できません。彼が送られた宇宙に元からいた彼は、さらに別の宇宙に飛ばされるはずでした。ところが、他の宇宙から彼が続々と送られてくるのに、この宇宙からは全く送られていきません。ここが次元の果てだからです。仕方なく彼を次々に殺しました」 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

「まなみ、ただいま」姉が学校から帰ってきた。「今日は何してたの？」姉に聞かれても、私は答えられない。「あ、ごめんね。それより今夜は昨日のカレーでいい？」「いいよ。すごく美味しかったもん」いつもそう。私は今日のことが思い出せない。昨日までのことはよく憶えているのに。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

私は眠っている妹の頭に機械を取り付けた。そこから伸びたコードは、私の頭に装着した機械につながっている。妹のまなみは、病気のせいで一日のことを思い出せないのだ。夜、この機械で私と妹の頭をつなげば、翌朝には妹の記憶が戻ると父に教わった。だから幼い頃から毎晩続けている。 #三連ツイノベ

おーさん @osayas811

まなみは、私の娘みづきのクローンです。病弱なみづきに万一のことがあったときのために、みづきの記憶を毎日バックアップしています。みづきには本当のことは教えていませんが。まなみを娘の代わりに同じように愛せるのかって？もちろんです。同じ体と記憶を持っているんですから。 #三連ツイノベf

おーさん @osayas811

僕は2015年の世界に到着した。この時代のシンボルである電波塔が目の前にそびえている。ここであの男を探さなければ。そのとき一人の女性が駆け寄ってきた。そして僕の顔を見て泣き出した。一体どうしたんだ？僕はなぜか彼女のことが放っておけず、思わずその細い肩を抱きしめた。 #三連ツイノベ