@isshikimakoto 氏による「宮城の詩人佐々木洋一氏の話」

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

明日ぼくは南三陸町です。その後、栗原市の佐々木洋一氏のインタビュー。野川朗読会のスタッフは一人は岩手にボランティア、一人は脱原発百万人アクションでデモだそうです。

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南三陸町。まるでぼくが夢で見た通りだった。案内してくれた佐々木洋一さんの実家はどうしても見つけられなかった。海になってしまったらしい。

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避難所にもなっている旅館の部屋で一泊。しきりにぼくの部屋のドアや、納戸を開け閉めする音がする。振り返ると誰もいない。それが何度も繰り返される。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話１。南三陸町は津波に対する防災意識が過去の経験から非常に高く、イベントの最中にサイレンが鳴ると、全員が立ち上がるほどだった。防潮堤も水門も避難所も避難訓練も完璧のはずだった。それでも大津波に呑まれた。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話２。特養老人ホーム職員だった知人は、窓から大津波の襲来を見て、思わず動けない老人を捨てて逃げた。今も命を捨てても踏みとどまるべきだったか自問する日々。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話３。初めは助け合っていた避難所の人々。疲労が濃くなると、子供の夜泣き、老人の用便の臭いに喧嘩が絶えなくなる。マスコミはけっしてそれを報道しない。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話４。震災後すぐに避難所に駆け付けた友人によると、被災者に一番喜ばれたのは風邪薬と粉ミルクだった。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話５。海岸部の小さな集落はマスコミにも取り上げられず、救援の届くのも一番遅かった。けれどもそこには昔ながらの助け合い、コミュニティがあった。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

宮城の詩人佐々木洋一氏の話６。このような状況下で言葉が何の役にも立たない、糞の役にも立たないところから詩が始まる。震災にかかわる詩によって、私自身は救われない。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

宮城の詩人佐々木洋一氏の話７。マスコミによる頑張れコールが何度も放映され、まるで洗脳されていくよう。マスコミに合わせて頑張れ式の詩は断じて書くべきではない。それは戦意高揚詩と同じ。

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宮城の詩人佐々木洋一氏の話８。頑張るという言葉が氾濫しているとき、頑張れない人、じっと耐えている人がいる。頑張るな、という作品を書くのも詩人の一つのありかただろう。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

宮城の詩人佐々木洋一氏の話９。今被災者が一番求めているものは、今後の生活基盤と心のゆとり。経済的な裏付けが一番。人々の心によりそう作品を書くことも大事だが、お金の援助を。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

宮城の詩人佐々木洋一氏の話１０。こんな状況下で頑張ろうとか未来に向かってとか、そんなことは書けない。宮澤賢治なら献身的に奉仕するんだろうか。でも、案外おろおろしているだけかもと思った。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

佐々木洋一氏の話補遺。避難所では物資は既に足りている。医療も無料。しかし、仮設に入ると生活費がかかる。すべてにお金がかかる。だから、これからは物資ではなく、被災者はお金が必要になる。

一色真理（文学フリマ東京Ａ－55・56） @isshikimakoto

佐々木洋一氏インタビューは「詩と思想」十月号に８ページにわたり掲載します。