ナラク・ウィズイン#8
-
- いいね！0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ふざけるな……！」「見よ！次が来るぞ！」「デアエ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」スカーレットは走ってきた敵を鮮やかに殺し、ヘラルドにウインクした。「小生、旅のニンジャ。真理の探究者である。この地で事象の激しい乱れを観測したゆえ……」「……！」ヘラルドは歩き出した。 21
2020-04-27 21:55:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「まあ待て！待ち給えよ！」スカーレットは慌ててついてきた。そしてヘラルドの肩を押さえた。「貴公の先程の戦いぶりは実際見させてもらった」顔を近づけ、囁きかける。「筋はいい。嫌いではないぞ」「……貴様……」「ムフ」スカーレットは目を細めた。「ここで貴公が奴を倒す手段が、ひとつある」22
2020-04-27 21:57:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「……何だと」ヘラルドは否定を躊躇した。先程ゲニン達を一瞬にして倒した鮮やかさは否定のしようがない。ハイローラーをあれほど容易く倒せたのも、稲妻の助けあればこそ……屈辱的だが、理解できていた。「その胸のエメツだ。……シュヴァルツヴァルト」スカーレットは啓示的に土地の名を言った。23
2020-04-27 22:01:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ヘラルドは沈黙した。スカーレットは話を続ける許可を得たと解釈し、笑みを深めた。「かのドイツの闇深き森にて、この地同様にギンカク・オベリスクが力をもった。そこでギンカクから力を引き出そうとした者の胸にも、エメツの塊が接合されていたという。私はその術理を知る者……事象の観測者だ」24
2020-04-27 22:03:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「何がいいたい」「貴公の特殊な肉体は……非常にオヒガン的だ。誰のワザだね？」「自ら選んだ手段だ」「なお素晴らしい。才気溢れておる！」「私におべっかは効かない……本題に入れ！」「崖上のあの黒炎こそ、ギンカクの力の真髄。我が力を以てすれば、」彼は杖を掲げた。「貴公に力を与えられる」25
2020-04-27 22:08:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ヒュンヒュン。彼は得物を振り回した。「これなる杖はボー・オブ・ザ・トラベラー（BoTT）。貴公にふさわしき強大なる魔力の杖。恐らくこれは運命だ。あの魔人ニンジャスレイヤーを倒す力を今ここで貴公に授ける……それが我がさだめなのだと、今はっきりと確信するに至ったのだ、ヘラルド＝サン」 26
2020-04-27 22:10:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
スカーレットの目に緋の稲妻が走り、異様な力が満ち溢れた。ヘラルドは神話の一端に触れているかのような錯覚にとらわれた。目の前にいるこのスカーレットというニンジャは、恐らく非常に強大な存在……かつてのあるじ、ダークニンジャに匹敵するほどに。彼のニンジャ第六感がそう告げていた。 27
2020-04-27 22:13:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
おごそかに、スカーレットは中央に屹立した崖を見上げた。「事象の地平線。分水嶺だ。我がニンジャ第六感がそう告げている……」「……」「……英雄になる覚悟はあるか。ヘラルド＝サン」スカーレットはヘラルドを見た。その眼差しは真摯だった。「貴様を信用しない」ヘラルドは言った。「力を貸せ」28
2020-04-27 22:15:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イイイヤアアアーッ！」BRRRRRTTT！裏切りニンジャ、サノバガンの右腕マシンガンが火を吹く！「グワーッ！」「グワーッ！」ゲニン達が倒れるが、その殆どは銃弾から守られた。「ヌウーッ……！」アンシーンがムテキフィールドを立ち上げ、盾となって防いだのだ！ 30
2020-04-27 22:22:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「コ、コシャクな」サノバガンが呻いた。「死に損ないめ。必ず損をするぞ。暗君アケチ・ジョウゴはもはやおしまいだ！」「ダマラッシェー！」アンシーンは叫び、瞬時に障壁を解除！すると、内側にいたニンジャ、トリリウムが３枚刃の巨大スリケンを投擲した！「ミツバ・ダイシュリケン！イヤーッ！」31
2020-04-27 22:25:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「チィッ！」サノバガンが咄嗟にブリッジした。周囲の部下ゲニン達は回避が間に合わない！「「「グワーッ！」」」ミツバ・ダイシュリケンに首が刎ね飛ばされる！スプリット！「クソがーッ！」サノバガンは倒れ込みながらマシンガン乱射！BRRTTT！だが……「イヤーッ！」ネザーカトン！「アバーッ！」32
2020-04-27 22:27:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
投げつけられた闇の火球を受け、サノバガンは枯死！「サヨナラ！」爆発四散！「ハアーッ……ハアーッ……！」クセツは呼吸を整え、大気中のエテルを取り込もうとつとめた。彼はジョウゴ親王を振り返った。いまだ起き上がれずにいた。鰐頭のニンジャ、ガヴィアルが、主君を抱え、案じていた。 33
2020-04-27 22:31:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「なんと惰弱な者共か……！」ガヴィアルは同僚の裏切りを悔しんだ。「……よい……」ジョウゴ親王は赤黒く明滅する目を半眼にして、胸を上下させた。「従えるに……値せぬ者を……あぶり出す……機会じゃ……」「殿……！」クセツは駆け寄り、跪いた。「ここで守り通してみせまする。必ずや！」 34
2020-04-27 22:34:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ならぬ」親王は手を掲げ、制した。「あれを……見よ！」彼が指し示した先、中央の隆起地盤の側面に生えた水晶を蹴ってのぼってゆく２つの影があった。クセツは憤怒した。「……ケイトー……！」「然り……ケイトーじゃ。奴め……何らかのたくみをしておる。ワシの事はよい。もはや大願は成った」 35
2020-04-27 22:36:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「大願……！」「然り。ここにソウルあり」ジョウゴ親王は胸を押さえた。「身を焼きしソウルの力。このまま克服してみせよう。さすれば我……覇王となる……！」弱々しいジョウゴの声は、実際、一言一言を発するほどに、徐々に確かなものとなってゆくのが、クセツにもわかった。「では……殿」 36
2020-04-27 22:39:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「奴の惰弱なる悪あがき……看過すべからず。貴様が止めるのだ、クセツ……ここはガヴィアルとアンシーンがおればよい」「は……」「ゆけい！」「ハーッ！」クセツは瞬間的に深くオジギし、トリリウムを伴って跳んだ！「イヤーッ！」トリリウムは崖を蹴り、クセツはネガティヴ・カラテで飛翔した！ 37
2020-04-27 22:42:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」激しいカラテシャウトと衝突音たて続く崖上、ケイトー・ニンジャはしめやかに這い上がった。黒炎溜まりの向こう側で恐るべきザンマ・ニンジャがニンジャスレイヤーと相争う様を感じる。ザンマは押すが、ニンジャスレイヤーは耐えている。 39
2020-04-27 22:46:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「なんと。あのさまは……」ケイトーは目を眇めた。緋色の眼光で状況を見定める。サーモグラフィーじみて、ニンジャスレイヤーの躍動する身体を駆け巡る力を見定める。忌まわしきナラク・ニンジャのソウルがある。黒炎溜まりから、ある程度の力を吸い上げたか。 40
2020-04-27 22:49:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
しかしそこに、彼が求めるものは感じ取れぬ。「クキィ……」笑顔を自制し、彼は黒炎溜まりを見やった。手にしたボーを通して、ジリジリとした震動を感じる事ができる。やはり、求めるものがギンカクの「底」に残っているのだ！「急げ、ヘラルド君！」ケイトーは彼に続くヘラルドを振り返った。 41
2020-04-27 22:51:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ニンジャスレイヤー……」ヘラルドは呻いた。ケイトーは制した。「まだだ！見ての通り、奴はザンマ・ニンジャの相手をしている。させておけ！そのスキに、今こそ君が力を受け取るのだ！英雄たれ！」「ならば、早く始めるがいい！」「当然だ！イヤーッ！」ケイトーはBoTTを再び黒炎に、突き入れた！42
2020-04-27 22:54:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
ドクン！ドクン！黒炎の鼓動が、BoTTを通して伝わってくる。ケイトーはカラテを練り上げる！「今だ……来たぞ……！」力を、引きずり出す！ナムサン！見よ！ケイトーが掲げたボーの先端に、松明じみて黒炎が絡め取られた！一方、黒炎溜まりがあった場所には今、冷たいオベリスクが残るばかり！ 43
2020-04-27 22:57:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イヤーッ！」その時！彼の背後の空に、急上昇したクセツ！ネザーカトンの火を……投げつけた！「イヤーッ！」咄嗟に動いたのはヘラルドだった。スリケンを投げ、クセツの手元を逸らす！そしてケイトーにはそれで十分だった！「デカシタ！」ケイトーは振り返りながら身を反らし、カトンを回避！ 44
2020-04-27 22:59:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イヤーッ！」そして緋の稲妻を放つ！クセツは身を守った。もはや彼はケイトーを圧倒するだけのネザーカトンを用いる事はできないのだ。「こちらを見よ！」ケイトーはヘラルドを促した。ヘラルドは向き直った。そしてケイトーは……赤黒く燃えるボーを、ヘラルドの胸のエメツに、突き刺したのだ！ 45
2020-04-27 23:01:16