稲川淳二の『つぶやき怪談』(2020.04.29)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

闇の中で、 ペタッ、ペタッ、ペタッ、ペタッ、ペタッ、ペタッ

稲川淳二 @Junji_Inagawa

足音がぐるぐると歩き回った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それは、以前に聞いたあの足音と同じだった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、何かを踏んだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

明かりを向けて見ると、太めの紐が落ちている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（何の紐だろう？）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と思いながら、何気無く、明かりを上に向けると、 天井の太い梁にフックがあった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（ここから落ちたのか）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

紐を拾い上げて、フックに縛り付けると、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

真っ暗な闇の中で、蝋燭の炎に照らされた、 紐の輪が目の前に浮き上がった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

石野さんは、ためらう事なく、 その輪の中へ自分の頭を通して、全身の力を抜いた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

とたんに、グーッと首が絞まって、意識を失った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「・・・おい！大丈夫か？！しっかりしろ！」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

という叫び声で、気が付くと、自分は床に倒れて、 肩の辺りをＮＰＯの男性スタッフに抱えられていて、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その彼が厳しい顔で、 「何してんだァ！　どうしたんだ！」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、聞くんですが、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

石野さんは、紐の輪に頭を入れたところまでしか記憶にない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、逆に男性に聞くと、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「飲んで店を出ると、 アパートと逆の方へ歩いて行くアンタの姿が見えたんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

おはようございます。 稲川淳二です。 昨日は、久しぶりに途中でリミットになりました。 長すぎたんですかね？ これより、「つぶやき怪談」再開します。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何だか胸騒ぎがして追って来たら、この地下室で首を吊ってたんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もうビックリしたよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あともう少し自分が来るのが遅かったら、アンタ死んでたよ」 と言われた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

石野さん、危ういところで、命拾いしたわけですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

恐らく、青年の怨霊は、彼女を待ち受けていたんでしょうね。 しかし、今度もまた、殺しそこねたんですね。