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ユートピアの像

ユートピアの像 解説
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

美大彫刻専攻においての自身の卒業制作。 加賀温泉駅近くにある"ユートピア加賀の郷"の巨大観音像をモチーフに制作。全長73mに及ぶ観音像は、全身黄金の慈母観音でもあり赤子を抱きながら慈しみの目で街全体を見守っている。 pic.twitter.com/TouzoHIcOh

2020-03-05 00:50:43
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

ユートピア加賀の郷はバブル時代に建てられた仏教をテーマにしたテーマパークであり、観音像以外にも加賀三十三間堂や梵鐘仏堂等、スケールの大きな展示物が他にも並んでいる。ただ、現在はかなり廃れており、屋根が剥がれ落ち、一部展示物が閉鎖、併設していた旅館は廃墟となる現状。 pic.twitter.com/KfiaB60uV1

2020-03-05 00:50:47
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

この、消費的なコンテンツのもと建てられ朽ちていく施設と、それとは反し今でも荘厳に立ち続けている像。そのキッチュさと象徴性やモニュメンタリティをテーマに挙げ制作を行った。 彫刻というメディアが持つ象徴性は昔から今でも強い特徴であり、それ所以の彫刻作品だとも考えている。 pic.twitter.com/IqdUO6rqHB

2020-03-05 00:50:49
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ただ、その象徴性を担保していた大きな物語を失った現代は資本主義のもと消費社会へとなり、アート界隈においてもそれらを逆手に取った作品が目立っている。そんな中生まれ育った自身にとって神聖や荘厳等といった感覚は薄く、それを安易に組替えられる事に強ささえ感じている。純粋なポストモダン pic.twitter.com/u1AQ5TtNxs

2020-03-05 00:50:50
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

今作ユートピアの像は、蓮華の上でなくセメントで成形された足場の上に立ち、赤子でなくセメントブロックを抱いている、それも一部体にめり込む形で。日本においてセメントは近代の都市発展、インフラ整備で多く用いられた素材であり、ビルのような象徴的な建設物と裏腹にスクラップ&ビルドのような pic.twitter.com/NKVGUnP2Bb

2020-03-05 00:50:52
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

消費的な記号でもある。また、観音像はB級スポットにあるような造形と塗装であるが、丈量のもと丈六の半分約八尺の造りとなっている。 彫刻の象徴性やモニュメンタリティと、そこに付随する宗教的モチーフの神性さに、キッチュを組み込み、アイロニカルに構成することを試みた。それは歴史的に構築

2020-03-05 00:50:53
ヤマウチフミト @kabosuoroshi

された強さを無視できる自身の立場や、ユートピア加賀の郷から見る日本の急速な近代化から浮き出た形であると思える。

2020-03-05 00:50:53
ヤマウチフミト @kabosuoroshi

ちなみに、自分が関西出身でサンダーバードに乗ると、加賀温泉駅にて巨大観音像の頭が見えとても印象的であった事から、考えているテーマともちょうどよく、金沢での卒業制作という記念にと制作したとこもある。

2020-03-05 01:09:53
ヤマウチフミト @kabosuoroshi

あと、金沢美大の卒業制作展では部屋のど真ん中にわがまま貫き通して置かせていただきまして。これも前述した象徴やモニュメントといったところを強調したかったのが1つと、卒展は、専攻ごとにセクション分けされ、壁沿いに作品が並ぶ形式が多く取られていたのが、気に食わなくこうしたというのが pic.twitter.com/YtowXmEJHb

2020-03-05 01:09:57
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ヤマウチフミト @kabosuoroshi

もう1つ。それが安パイであるのはわかるが こういった展示には適さないが、キュレトリアルな思想が強くこのような形で展示させてもらった。

2020-03-05 01:09:57
ヤマウチフミト @kabosuoroshi

2年ほど前にそういういった展示形態を皮肉るような形で、大学付属のギャラリーで展示をした「パーソナル人体展」彫刻専攻の同級生3人による各々考える人体へのアプローチを模索 pic.twitter.com/ilkfhMyYuP

2020-03-05 19:43:51
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