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カレイドスコープ・オブ・ケオス#4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DOOOM!DOOOM!DOOOM!KABOOOOOM!主砲が次々に着弾し、白い爆発が立て続けに巻き起こる中、クワドリガのチャリオットはますます速度を高め、あっという間にアトラス級重戦車のもとに到達した。「イヤーッ!」クワドリガはチャリオットから回転ジャンプ!戦車砲塔に着地し、ヤリを深く突き下ろす! 22

2020-05-22 22:03:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRA-TOOOOM!操縦席から致命部まで深く貫かれた戦車は白熱し、爆発!クワドリガは回転ジャンプで隣の重戦車に着地すると、砲塔に手をかけ、力を込めた。縄めいた筋肉が裸の背中に盛り上がり……「イヤーッ!」KRAAAASH!砲塔を根こそぎ引き剥がす!「イヤーッ!」隣の重戦車に投擲!KA-BOOOOM! 23

2020-05-22 22:05:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「惰弱!惰弱!惰弱!」燃える残骸の上にすっくと立ち、クワドリガは吠えた。「文明は無価値!ニンジャ百匹連れてまいれ!我がカラテで尽くその首刎ねん!イヤーッ!」再びチャリオットに着地!Uターンして、殺し、殺し、殺しながら、手勢に合流す!「イイイイヤアアアーッ!」 24

2020-05-22 22:07:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クワドリガは首をめぐらし、地平の黒い影を見る。あれがUCAの心臓。ヌーテックのアレス級原子力機動要塞だ。いわば巨大な無限軌道で大地を走る陸空母。しかし……アケチ・シテンノ完全戦士クワドリガといえども、この奇襲でその懐まで切り込む事は不可能だ。重戦車、突撃車輌、二脚戦車……! 25

2020-05-22 22:11:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ネザーキョウ!」クワドリガは両手の武器を振り上げ、鬨の声をあげた。続々と、殺戮したゲニン騎兵が合流し、その後ろに連なる。彼らは思うがままのカラテを振るい、再び北へと駆け戻ったのである。おお、ナムアミダブツ……ナムアミダブツ! 26

2020-05-22 22:13:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……日が落ちようとしている。雄々しきキキョウ陣幕の中で椅子に座し、鍼灸師奴隷たちに鍼を打たせながら、クワドリガは腕組み状態で俯いていた。陣幕の外ではゲニン騎兵達が互いの武勲をたたえ、労い合い、生き残ってまた明日の殺しが出来ることを喜び合っている。クワドリガの前には跪く伝令。27

2020-05-22 22:16:13
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この日の損害をまとめたマキモノを閉じ、うやうやしく出ていく伝令の背中を、クワドリガはじっと見つめる。入れ替わるように、メジャーヒケシが水晶玉を抱えて入ってくる。「つなげ」クワドリガは命じた。「イヤーッ!」メジャーヒケシは水晶玉に力を注いだ。ガラスの中に図像が浮かぶ。 28

2020-05-22 22:17:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「モシモシ……ドーモ……クワドリガ=サン」曖昧な図像はクワドリガにアイサツした。クワドリガは頷いた。「ドーモ。リディーマー=サン。カワリナイカ」「コーッ。シュコーッ。貴公に無限のイサオシあれ」ノイズ混じりの野太く力強い声が返る。 29

2020-05-22 22:21:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リディーマー。アケチ・シテンノの一人(アケチ・シテンノは五人以上いる)にして、元はアメリカ軍に籍をおいていた男。文明社会や資本主義に絶望し、ネザーキョウの将となった男。USA崩壊をその目で見て来た男の声には、常に、複雑な悲哀と苛立ちと闘争心が滲んでいる。 30

2020-05-22 22:24:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「単刀直入に言う。追加の武装供給が必要也」クワドリガは言った。「敵の戦力、あれでなかなかの粘り腰。初手で全滅させられなんだは、実際うまくない」「……」リディーマーは沈思黙考し、呟いた。「……そう容易くはゆかぬものよ」「然りだ。特にスリケンの備蓄が早晩底を尽く」 31

2020-05-22 22:27:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クワドリガは低く言った。実際、ゲニン歩兵が投擲するスリケンの不足を危険視し、南への追撃は騎兵による奇襲のみとした経緯がある。「我がナガシノは現在150%大回転にてインターネット鉄を鍛え、聖なるアケチ武器を無限生産の至り」リディーマーは言った。「貴公の気持ちはわかる。しばし待たれ」32

2020-05-22 22:31:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゲニンの血肉は我が血肉であり、ひいては偉大なるタイクーンの血肉そのもの」クワドリガは強調した。「絶対に追加のスリケンが必要だ」「理解しておる」リディーマーは重々しく頷いた。「一時的需給バランス混乱に過ぎぬ事、どうか理解してはくれまいか。4都市制圧と南方戦線、同時展開こそ命」 33

2020-05-22 22:35:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クワドリガの腕に不服の血管が浮き上がった。リディーマーは説明を続けた。「コーッ。シュコーッ。だが電撃的戦線拡大の甲斐あってLAN直結者資源も続々と運ばれてきておる。国内に直結者は稀だが、ネオサイタマはまさに宝の山。貴公はすぐにでも大増産の成果を得られよう」「ヌウウ……!」 34

2020-05-22 22:38:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「畢竟……イクサは変わる。偉大なるキキョウ・ジツが全てを変える。シュコーッ」リディーマーは語気を強めた。「今この時、南方の惰弱を押し返せば、勝利は決まるのだ。オニ、ヘグイ、ディダラ……ネザーの獣ら……それらがキキョウ紋の領土を満たさば……!」「……急げよ。リディーマー=サン」 35

2020-05-22 22:45:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「タイクーンは偉大だ。全て滞りなし」「急ぐのは供給だ。わかっておるな」「無論だ!あまり同じ事を繰り返すでない。必ずや十分な量を供給する」リディーマーは請け合った。「まずは可能な限りの物資を送る!」「頼んだぞ。オヌシとの付き合いも長うなった……!」「無論だ!」 36

2020-05-22 22:47:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

水晶玉の図像がぼやけ、ガラスの中にわだかまるのは霧ばかり。クワドリガは握った拳を膝に叩きつけた。「アイエッ……」鍼灸師奴隷が漲るカラテのフィードバックを受け、失神して砂の上に倒れ伏した。 37

2020-05-22 22:49:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「本当に恩に着てんだ。そもそもよォ、オレだって好きで出歩いてんじゃないんだッつうの」武装ビークルの後部シートで、タキはムギコに向かってまくし立てた。よく知る相手に話す事で、恐ろしいタフガイの耳に入れるという立ち回りであった。「一体ネオサイタマはどうなっちまったんだろうな?」 39

2020-05-22 22:52:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうね……如何せん、ネオサイタマ外への主要な電子ネットワークが封じられているせいで、状況も断片的にしかわからないのだけど……」「オイ、手の内明かすな、他所者に」タフガイが釘を刺した。ムギコはタキに肩をすくめて見せた。タキは溜息をついた。「ケッ。情報は似たりよったりか」 40

2020-05-22 22:55:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前、恩に着てるッて話だよな?」タフガイはわざわざ車を停め、タキを睨みつけた。「……アア?」「アッ……そ、そうだぜ」タキは引きつった笑顔で、繰り返し頷いた。「オレのほうも、とにかくよォ、マシなUNIXデッキさえ調達できりゃ、それで……」『調達の必要はない』ダッシュボードが喋った。41

2020-05-22 22:57:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クルマが喋った!?」タキは驚いたが、ムギコ達も驚愕していた。驚きは恐怖に変わった。『急げ。急いで』電子音声が繰り返した。液晶パネルに『H.E.L.P』の文字が流れた。「わかってる!」タキは車内を見渡した。『HELP……TANUKI-SAN』「タヌキ?」ムギコが眉根を寄せた。「暗号だ」と、タキ。 42

2020-05-22 23:00:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワケわからねえ文字の羅列でよ。オレは……」「待って。タヌキ……」「わかる事あンのか?」タキは憮然として、メモを突き出した。タタタウタタタタタシタタタゴタタタタタータタタタタタムタタタタBわタタタタタDむタタタタタタタタBDDほ11タタタ。「これは……」ムギコはメモを凝視、集中する。43

2020-05-22 23:03:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんだそりゃ」タフガイが顔をしかめた。ムギコは説明する。「ヌキの暗号。暗号学の授業で……類似した物を……」「ああそうか。ま、拳でやれねえところをやるためにお前が雇われてンだからな。適当にやれや」タフガイはシートにもたれた。ムギコは鼻血が出るほどに集中を深めた。「……まさか!」44

2020-05-22 23:06:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ムギコはメモ用紙をちぎり、筆記具をひったくった。そして文字羅列から「タ」を抜いて書き綴った!「ウシゴームBわDむBDDほ11」……タキは呻いた。「ウシゴームの、番地じゃねえのか!?その後は……BわDむ地区BDD番11号!」「間違いない」二人はタフガイを見た。「ウシゴームへ!」「行くのかよ!」45

2020-05-22 23:10:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「乗りかかった船です。今の電子心霊現象を実際に体験したわけですし……何かあります!」「気が進まねえ」と言いながら、タフガイは停止させたビークルにギアを入れ直している。ダッシュボードに『THANK YOU TAKI-SAN』の文字が流れた。「へへッ……」「一体、誰なの?」 46

2020-05-22 23:12:27