- Oboro_sakamichi
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1 ?:はぁ… 俺の名前は佐久間〇〇。どこにでもいる普通のサラリーマンだ。 今日も普通に会社での仕事を終えて帰る。特に何の刺激もない、平凡すぎる日常だ。
2020-05-25 16:10:552 外は大雨。傘を差してはいるものの、地面に跳ね返った雨水でズボンの裾はびしょ濡れだ。 〇〇:はぁ…帰ったら室内で干すか そうぼやきながら帰り道を歩く。
2020-05-25 16:13:583 そのままコンビニの前を通り過ぎた時、 ?:〇〇? 誰かから不意に名前を呼ばれた。 声のする方を振り向くと、そこには思いがけない人物が立っていた。
2020-05-25 16:17:245 俺の名前を呼んだのは、"元"彼女の西野七瀬だった。 七:やっぱり〇〇や…! 〇〇:ひ、久しぶり…何してるんだ? 七:実は、電車に傘を置き忘れてもうてん…それで雨宿りしてるんよ
2020-05-25 16:23:136 そう言って恥ずかしそうに笑う彼女。 俺の好きな、変わらない七瀬の笑顔だった。 それを見た時、俺の口は勝手に言葉を紡いでいた。 〇〇:…うち、来るか? 七:えっ…?
2020-05-25 16:27:007 〇〇:いや、その…このままだと風邪ひくかもしれないし 見たところ、駅からここまで走った間にそこそこ濡れたらしい。髪の毛から雨水が滴っている。 〇〇:あ、でも七瀬の家が近いなら… 七:…じゃあ、お言葉に甘えようかな
2020-05-25 16:31:419 一本の傘の下、七瀬と並んで歩く。 七:なぁ、もうちょっとそっち寄ってええ? 〇〇:あ、あぁ… かなり密着した状態になり、俺の緊張が高まる。
2020-05-25 16:40:0310 それ以降、気まずさから言葉を交わすことなく俺の家に着いた。 ガチャッ 七:お邪魔します 〇〇:どうぞ この家に女性が入ったことはない。まさか元カノが1人目になるとは思わなかった…
2020-05-25 16:42:5611 七:濡れたせいで体冷えてるから、シャワー借りてええ? 〇〇:いいけど、着替えは? 七:〇〇の服貸してくれたらいいやん 〇〇:俺のを…!? 七:あかんの…?
2020-05-25 16:46:5712 …どうしてこうも、男ってのは上目遣いに弱いのだろうか 〇〇:…分かったよ 七:ありがとう、それじゃシャワー借りるな そう言って浴室へ向かった。
2020-05-25 16:49:0713 とりあえず、適当な服を選んで浴室のドアの前に置き、俺は着替えて冷蔵庫からビール缶を取り出した。 そこから暫くして、浴室のドアが開いた。 七:シャワーありがとう。それに着替えも 〇〇:どういたしまして
2020-05-25 17:07:2614 〇〇:何か飲む? 七:うーん、ビールある? 〇〇:あるけど…確か、七瀬酒に弱かっただろ? 七:大丈夫!飲みたい気分やねん 〇〇:まぁそう言うなら…
2020-05-25 17:25:5415 俺は立ち上がり、冷蔵庫からもう一本ビール缶を取り出して七瀬に渡した。 〇〇・七:乾杯 同時に蓋を開け、乾いた喉に流し込む。 七:うーん、やっぱちょっと苦いね笑 〇〇:無理すんなよ
2020-05-25 19:26:3916 七:大丈夫、ちゃんと飲むよ そう言って七瀬は小さく笑った。 〇〇:七瀬、今何してんの? 七:今はデザインの仕事 〇〇:そっか、七瀬は絵が上手かったもんな…
2020-05-25 19:34:5717 七:〇〇は? 〇〇:俺は普通のサラリーマンだよ 七:そうなんや… 特に話が広がることもなく、ただ空き缶だけが増えていく。
2020-05-25 20:00:4718 七:そういえば、〇〇と会うのいつ以来やっけ 〇〇:3,4年前じゃないか?大学3年の時くらい 七:…もう、別れてそんなになるんや 〇〇:あぁ、そうだな…
2020-05-25 20:03:1419 俺と七瀬の出会いは大学1年の時。 俺の友達が企画した飲み会(その時は未成年なので酒は飲んでなかったが)で俺の隣に座っていたのが七瀬だった。 話してる内に意気投合して、その後2人で遊びに行ったりした後に付き合うことになったのだ。
2020-05-25 20:07:3420 だが、七瀬はその美貌からすぐさま大学内での有名人となり、俺は次第に彼氏としての自信を失くしていった。 そして、大学3年の冬。 〇〇:七瀬、別れよう 七:なんで…?ななのこと嫌いになったん?
2020-05-25 20:12:2821 〇〇:それは違う!でも…七瀬にはきっと、俺なんかよりもっと良い人がいるから 七:そんなことない!ななにとっては〇〇が… 〇〇:ごめん…じゃあね 俺は一方的に別れを告げ、その場から走り去った。
2020-05-25 20:14:5822 七:…ごめんね 〇〇:急にどうしたんだよ 七:あの時、なながもっと〇〇をちゃんと見てたら今頃… 〇〇:それは違う 七:えっ…?
2020-05-25 20:28:1723 〇〇:あれは俺が勝手に逃げただけだよ。七瀬から、そして俺自身から 〇〇:だから、七瀬は何も悪くない 七:〇〇… 〇〇:ほ、ほら、もうすぐ終電の時間だぞ 決まり悪くなった俺はそう言って、七瀬に帰るよう促した。
2020-05-25 20:37:3325 〇〇:子供じゃないんだから… こうなった時の七瀬は頑固だ。自分の意見を絶対に曲げようとしない。 七:だって、せっかくまた会えたんやもん… 〇〇:え?
2020-05-25 20:47:10