マーメイド・フロム・ブラックウォーター #5

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオオーッ!」デスナイトがニンジャスレイヤーへタックルをかける!ニンジャスレイヤーはバイオイーグルの頭部をそのまま左手で捩じ切ろうとしていたが、諦め、そのままバイオイーグルを地面に叩きつけた!「キューン!」さらにタックルしてくるデスナイトへ膝蹴りをあわせる!「イヤーッ!」

2011-06-22 01:49:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」デスナイトの極めて鋭いタックルはニンジャスレイヤーの膝蹴りよりも早い!膝はデスナイトの顔面を直撃、メンポがひしゃげるが、攻撃の出かかりで威力が不十分である。そのまま懐に潜り込んでニンジャスレイヤーを押し倒す!マウント・ポジションだ!

2011-06-22 12:13:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「許さぬぞニンジャスレイヤー=サン」デスナイトは震える声で言った。そして右パウンド!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは左手でガード!さらに左パウンド!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは右手でガード!「イヤーッ!イヤーッ!」さらに右パウンドと見せかけて左パウンド!「グワーッ!」

2011-06-22 12:16:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タツジン的なフェイントだ!ニンジャスレイヤーは顔面に強烈なパウンドを受ける!さらに追い討ち!右パウンド!「イヤーッ!」「グワーッ!」左パウンド!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは身を起こそうともがく!ダメだ!両手を組んだハンマーパンチ!「イヤーッ!」「グワーッ!」

2011-06-22 12:25:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このまま殴り殺してくれる」デスナイトはパウンドでニンジャスレイヤーを痛めつけながら、虚ろに言った。胴体を貫かれたバイオイーグルは近くの地面で弱々しく震えている。しかし彼は激昂して雑な動きになることもなく、どこか客観的に、淡々と攻撃を続けるのだった。

2011-06-22 12:47:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

右パウンド!「イヤーッ!」左パウンド!「イヤーッ!」甲冑めいた小手を嵌めた拳がガードをくぐり抜け何度も叩き込まれる。ニンジャスレイヤーの意識は遠のき始める。最初のアンブッシュで受けたダメージの蓄積も相当なものだ。チャドー集中が乱れ、ニンジャ耐久力・ニンジャ回復力が失われつつある。

2011-06-22 12:59:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが……思い出せ。思い出せ。あの日の事を。こいつだ。こいつがそうなのだ。何の落ち度もないフジキド一家を勝手な勢力争いの渦中に巻き込み、命を奪って平然としている外道の片割れなのだ。あれは抗争だった。なれば、ソウカイヤと戦闘していた一派がいて当然だったのだ。そして、こいつがそうだ。

2011-06-22 13:15:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

あの日フジキドは全てを失った。なのに、こいつは何だ?バイオイーグルごときで何を手前勝手な!「イヤーッ!」左パウンド!「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは敢えてメンポで受ける!そして右手で手首を掴んだ!「イヤーッ!」恐るべきニンジャ握力!それは憎悪の力である!デスナイトの骨が軋む!

2011-06-22 13:23:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まだそんな力を残しておったかニンジャスレイヤー=サン」デスナイトは呻いた。ミシリ……ミシリ……手首骨が軋む。「だが私の勝利は揺るがぬ。所詮はマグレで勝ち上がってきた弱敵よ……イヤーッ!」自由な右手で執拗にパウンド!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは左手でガード!

2011-06-22 14:40:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」デスナイトは握った拳を振り上げ、ハンマーめいて垂直に打ち下ろす!打ち下ろす!打ち下ろす!ニンジャスレイヤーは腕で顔を覆いガードしつつ、決して右手の握力を緩めない!デスナイトはさらに打ち下ろす!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」だが握力は緩めない!

2011-06-22 14:44:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

攻撃を防ぎながら、ニンジャスレイヤーはデスナイトが振り下ろすニンジャ小手に装飾的に刻まれた意匠を凝視する。菱形を中心で垂直に分けて二つの三角形を作り、その枠内、極度に文様めいて、左には「罪」右に「罰」の漢字が書かれている。「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「やはりザイバツ……!」

2011-06-22 14:56:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ……ヌウーッ!?」デスナイトは呻いた。打ち下ろした右腕もまた、ニンジャスレイヤーが掴み取ったのだ!小手ごと手首を握り込むニンジャスレイヤー。みるみる鋼が変形してゆく。なんたるニンジャ握力!「ザイバツ……!ザイバツ・シャドーギルド!」

2011-06-22 15:03:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「今更何を……その通りだ、私は罪罰影業組合……イヤーッ!」両腕を封じられたデスナイトは力ずつくでニンジャスレイヤーの両腕を開かせ、地面に押し付ける。そして頭突き!頭突き!頭突き!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

2011-06-22 15:10:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

激しい攻撃がニンジャスレイヤーの頭部を襲う!このまま頭突きを受け続ければいかにニンジャスレイヤーといえども頭蓋骨が割れて脳漿が飛び出し、爆発四散してしまう!だがそれは好機でもあった!頭突きによってデスナイトの重心コントロールが疎かとなった瞬間をニンジャスレイヤーは逃さなかった!

2011-06-22 15:19:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!?」ゴウランガ!ニンジャスレイヤーは首と腰の力で力強くブリッジした!ロデオめいた反動をいきなり受けたデスナイトの体が跳ね上がる!その勢いでニンジャスレイヤーはデスナイトの体を反対に叩きつけた!「グワーッ!」したたか背中を打ちつけ、肺の空気が吐き出される!

2011-06-22 15:27:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはよろめきながら立ち上がる。残念ながら追い討ちの余力は無い。デスナイトもまた、咳き込んで起き上がる。そして地面で震えるバイオイーグルを見た。血の染みが拡がってゆく。「アヤミ=サン」彼はバイオイーグルが吐き出したカタナを手に取った。「安らかに」「キューン!」

2011-06-22 16:01:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デスナイトが致命傷を受けて苦しむバイオイーグルをカタナでカイシャクする間、ニンジャスレイヤーは無言で見守った。デスナイトはカタナを構えてニンジャスレイヤーに向き直った。「アヤミ=サンは私の最愛の人だった。それももう死んだ」「……」「貴様は私を殺せるか?ニンジャスレイヤー=サン」

2011-06-22 16:07:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「殺す」ニンジャスレイヤーは即答した。彼は燃えるガレージを背にしたデスナイトの歪んだ小手をいまだ凝視する。そこに刻まれたザイバツの紋章。菱形正方形を横向きの目で左右に割った不気味な意匠を。「聞いておこう。オヌシはなぜ無辜の鍛冶屋を殺し、火を放った」「フフフ……下らぬ日々の泡……」

2011-06-22 16:15:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デスナイトは倒れ伏したオイランドロイドを冷酷に一瞥し、カタナで指し示す。カキオは石になったようにその傍らで座り込んでいる。「あのガラクタをこの世から消す。要らぬ事を知っているのだ。機械とは哀れなものだ。死んだだけでは忘却が訪れぬのだから」「……」

2011-06-22 16:30:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その点、貴様も私も、死ねば忘れる事ができる」カタナをニンジャスレイヤーに向け、暗く笑う。「何もかも忘れる事ができる」「……」デスナイトは腰を落とし、イアイめいて構えた。「フフフ……死は甘美……」「イヤーッ!」残る力を振り絞り、ニンジャスレイヤーは飛びかかった!

2011-06-22 16:34:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カキオ=サン」オイランドロイドが不意に囁いた。カキオはびくりとして、半壊のエトコを覗き込んだ。「い、生きてる?生きてる?ダイジョブ……?」モーター駆動音が低く鳴って、エトコは首を少し起こすと目を開いた。「カキオ=サン。何とかダイジョブです。ちょっと待ってくださいね」「エ……」

2011-06-22 16:43:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あの人が何をしようとしているか、あの人の話から、少しわかりました。あの人が貴方のおウチに火をつけた」エトコは関節をきしませ、ぎこちなく立ち上がった。火の粉が風に乗って乱舞する。「火の用心!火の用心!」というサイレン合成音声が遠方で聞こえる。消防隊がこちらへ向かっているのだ。

2011-06-22 21:24:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エトコは熱風に髪をなびかせる。爆ぜた背中のカーボン皮膚の裂け目からは破壊された機械が覗き、スパークしている部位もある。「あの人がカキオ=サンに良くない事をしたのは、私の記憶が目当てなのです」「エ……」「それがわかったので、もうダイジョブです、カキオ=サン」エトコは優しく微笑んだ。

2011-06-22 21:28:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もうダイジョブです」エトコは繰り返した。「私はとても嬉しいです、カキオ=サン。本当にありがとうございます」「エ……エト……」エトコはカキオから目を離し、カタナを構えイアイ姿勢を取るデスナイトと、跳びかかるニンジャスレイヤーを見た……。

2011-06-22 21:34:48