親類にGIジョーが居た男の話

Susumu Hirasawa @hirasawa

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両手を広げ、大の字になった人の胸が光っているのである。空で。木の上に見える。 （夜空の倒置法）

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彼は相対的に逆さまだ。 結果的に相対逆になるステルスもまた彼同様、雲散霧消を存在の基礎とする。

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また、より気温が上がると逃げ水となり、雲や霧より実態が明瞭になるが逃げるのである。 逃げ水のようなあの人、とスナックのママが言う。（言わない）（そもそもスナックに行かない）

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「俺はスナックよりミニクラブ専門だから」 と言ったのは平沢四郎の弟、平沢ミヨシである。 平沢ミヨシは大工である。 ゆえに初めて訪問した家でも壁をコンコンとたたいて値踏みする癖がある。

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ミヨシは暑くても逃げないし、雲や霧のように存在が希薄でもない。 だが、平沢六蔵はまぎれもなく霧である。霧の六蔵である。 名前は忍者のようだが、やはり大工の棟梁だ。

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霧の六蔵はコートの襟を立て、夜霧の中から現れる。 手には大きなジープのおもちゃを持ち、私に差し出す。 何故六蔵は私がジープを好むと思ったのか。嫌いじゃないが。

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祖父である六蔵の記憶もまた希薄だ。 霧の中からジープを持って現れ。 青砥病院で息を引き取った。 この二つのシーンしか知らない。

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六蔵はGIジョーに生まれ変わった。 と平沢四郎は私に力説した。 なるほど、魂は青砥より生じ、青砥へと帰る。再び青砥に生じるために。 ならば、リカちゃんは誰の生まれ変わりか。

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私は十勝花子だと思う。 根拠はない。

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根拠など要らない。 この世は根拠のない事で出来ている。 根拠が無いと言えばたちまち攻撃される。

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そう。だからお正月に平沢一族が集う時、必ず上座にはGIジョーが座っていた。 私はしばしば立ち上がって「ヤンキーゴーホーム」と叫んだ。

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それなのに、他の血縁者たちは私を制して「ギブミーチョコレート」と叫んだ。 地獄の平沢一族。

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こんな話で59分も使ったのなら犯罪に等しい。

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チョコレートも買えない一族が子供に文房具を買い与えられるわけもなく、私は鉛筆の代わりに竹やりの先で「書き取り」をしてここまで大きくなりました。 明日は天まで届きますように。 （何が、何のために？） またこんど！！！