ベストエロゲー投票クリエイター別感想紹介 第36回：冬茜トム編

よろづ集計人＠ベストエロゲー投票2023終了 @besterogeyorodu

第36回のクリエイターは冬茜トム氏です。 2013年より、Lump of Sugarやきゃべつそふと等で活動されている比較的若手の企画・シナリオライターです。

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作風はちょっと変わった設定の萌えゲー書き、と見せかけてノベルゲームという媒体を活かしたギミックを仕込むことを武器とした、エロゲでしか成し得ないシナリオを得意とします。 それでは早速、氏の関わった作品の感想を紹介致しましょう。

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Magical Charming!（Lump of Sugar/13年8位） 「体験版のシナリオは本編と別物です」 この但し書きの意味をオールクリア後に理解した。 購入の参考に体験版をプレイさせる作品は数あれど(というかそれが普通の体験版)、体験版を伏線として利用する作品は初めて見た。 pic.twitter.com/6H4hyCtJEn

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クロノカードというシステムを設定の根幹に組み込んだことといい、こういうゲームじゃないと作れず、 しかも面白い作品を世に出したというのは評価されるべき部分。

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そしてそこと同じくらい評価したいのがシナリオ。「段取りズム」という主人公の価値観が自分と近いものだったので、非常に楽しく読み進めることができた。 段階を踏んで主人公とヒロインの距離が近づく様子は非常に良い。部屋を転がりたくなる。

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まあ、2周目以降クロノカードで遊んでると、段取りズムどこ行ったとツッコミ入れる場面が出てくるわけですが。 幼馴染(♀)の聖水をいきなり飲む主人公がいるらしい。そしてそれを受け入れる幼馴染(♀)もいるらしい。 それでいいのか秋音ちゃん。

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・体験版と本編のシナリオは別物ということで、わざわざ体験版専用のシナリオを書いて音声もあてるなんて面倒なことをしているなぁ……と呆れていたのですが、まさかそれが最大の伏線になっていたとは。 この作品は萌えゲーであり、バカゲーであり、シナリオゲーでもある。

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りこ絵で可愛い女の子たちを、段取リズムに則って段階を踏んで攻略していくのは非常に楽しく、 口から角砂糖を大量に吐いた気分になるほど甘ったるかったです。 萌えゲーとして見るだけでも優秀な作品なのですが、この作品の本領はカードが揃い始めた二周目以降になります。

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一周目には選択できなかったカードを選ぶことでいくつものネタENDを迎えることが出来るのですが、それがまたバカらしくて腹が捩れるほど笑えるのです。そのネタENDの中には伏線となっているものもあるので笑えるだけでもないのですが。

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また、プロローグが終わった直後に選択によっては幼馴染のジュース（暗喩）を飲むことができるのですが、普通に考えればネタENDに直行するはずなのにこの選択肢に限って何事も無かったように共通√が進んでしまいます。

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そう、場合によってはとても恥ずかしい思いをしたのに、主人公と他ヒロインとの恋路を応援することになってしまうのです。 いくらなんでも聖女すぎるよ秋音ちゃん。

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そして、萌えゲーとして、バカゲーとしてこの作品を遊び倒したら、いよいよシナリオゲーとしてのマジチャを楽しむ時間です。 とある選択肢を選ぶことで世界の根幹に関わるシナリオが開始されるのですが、そこからの怒涛の展開には胸が熱くなりました。

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体験版から張り巡らされていた伏線を回収し、今まで集めたクロノカードを使ってシナリオを攻略していくことになるのですが、これまでのプレイヤーの頑張りを全肯定するシナリオ展開には思わず涙が。 クロノカードシステムそのものをシナリオの要の部分に組み込んだ手腕は大いに評価できるポイント。

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・エロゲーはいつしか攻略するゲームから読むだけゲームになった 選択肢は大きく減った。選択肢は面倒な要素でしかないのか？そんなことはない カードを選択する形式にすることにより、選択肢を選ぶ面白さを再認識させてくれた

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明らかに間違っているカードを選んで馬鹿展開になるもよし 悩んでカードを選び恋愛のステップを刻むもよし さらにカードシステムとシナリオとの融合が斬新だった 「ギャグ」「萌え」「燃え」と全て入っている。しっかりと作りこまれており最初から最後まで驚きの連続だった。

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2013年アイディア賞をあげたくなる 俺の想いよオリエッタへ届け！！幻想庭園のオリエッタへ届け

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・色々な魅力があるのだが、根底にあるのは萌えゲー。 萌えゲーのフレームの中で最大限面白くしようという意気込みを感じた。 Trueルートが、意外と言っては失礼かもしれないが、とにかく面白い。 何気ない綻びから世界の秘密に迫る、という風な趣向。

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熱血や感動を含みつつ、全キャラに見せ場を作り、まさにTrueルートを冠するにふさわしい。 「集めたカードを選択肢として使える」システムが、シナリオに活かされていた点も特徴的。 ヒロインに変な選択肢投げたときの反応とか、いきなりバッドエンドに飛ぶみたいなところも楽しかった。

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・『恋愛ストラテジーADV』という名は嘘じゃなかった。 これまでヒロインと歩んできた経験がTRUEシナリオで生きるその構成には目を見張るものが。

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また、それまでの展開を作業と感じさせないように、共通ルートや各個別ルート、ステディモードや寄り道要素などの作り込みもしっかりしている。 恋愛ゲームとして『遊べる』一本です。

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・この作品とぜひ比べて欲しいのがyatagarasuの古色迷宮輪舞曲です。 「古色」では作中でのセリフや地の文で出てくる色付きの文字をクリックして「単語」を取得し それを選択肢代わりとして特定のタイミングで使用するというシステムでした。

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ただ単語数がドンドン増えていく中で1つか2つの正解を当てるのが難しくなり、 難易度調整としてはよろしくない部分も多かったことが問題でした しかしながらゲーム性を持たせるワンアイディアのみで勝負にでており、シナリオのみ勝負の業界に一石を投じる作品でした

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一方で、Magical Charmingでは選択肢ごとに2～6つくらいの対応する単語が設定されており、 それまでにその単語を取得していれば選択肢として選べるというシステムになっています 「古色」の単語システムをわかりやすく、遊び安くしているといった感じです

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反面「古色」ほどの自由度はないですが、結局のところ一つの選択肢に対するリアクションは数パターン作るのが 限界ですし、事実古色でもそのほとんどの単語が汎用ハズレ反応で返される問題がありました。

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2，3周目になると単語も充実し、中には奇行とも言える選択肢や特殊エンディングを迎えることもできるため 周回でも新たな発見があり楽しくプレイすることが出来ました。