タイラント・オブ・マッポーカリプス:前編 #3
「ンンッ!」アナイアレイターが咳払いし、杖を強く衝いた。その目が金色の光を強め、ゲニン達を震撼させた。ニンジャ第六感に訴えかけたのだ。呪詛が止んだ。ニンジャスレイヤーははなから構わず、ただ先を見ていた。やがて道沿いに、磔台が現れた。磔台にはハエがたかっている。死体があるのだ。 46
2020-07-06 23:32:17苦しみぬいた表情で磔になっているのは、どうやら一般市民である。「ザック=サン」コトブキが反射的にザックの目を逸らさせようとしたが、ザックが拒否した。「平気さ。いつもやられてきたんだ。こういう事」「残念ながら、そうなんだよな」フィルギアが頷いた。「インターネットがバレた奴らだ」 47
2020-07-06 23:34:45ある程度の間隔をおいて、磔台は続く。ザックの肩の上で、フィルギアは話した。「今まで国外の家族や知り合いと連絡の取れなかった連中が、インターネットに飛びついてる。タイクーン達は捜査を強めて、見せしめに処刑をしたり、脅して回っている。だけど、この流れは止められやしないよ」 48
2020-07-06 23:38:36「ムカつくんだ。タイクーンの野郎」ザックの声は微かに震えていた。「そうだな」ニンジャスレイヤーは頷いた。ザックは彼が応えた事に驚き、瞬きした。ニンジャスレイヤーは付け加えた。「おれはタイクーンを倒しに行く。もうじきだ」「アニキ」ザックは呟き、声にならない唸り声をあげた。 49
2020-07-06 23:41:32ドオン……。ドオン……。ドオン……。タイコの重低音が響き、枯れたラッパが鳴り、ゲニン達が直立姿勢で見守る中、彼らは歩き続けた。やがて壮麗なるホンノウジの城壁と、大門が見えてきた。「ハンニャアアアアアア……」城壁の上空から恐ろしい咆哮が降ってきた。巨大な龍が空中に静止していた。 50
2020-07-06 23:45:45ニンジャスレイヤーは龍を、そして龍の背に跨る、カラテの精髄めいた四本腕のニンジャを見上げた。他の三人はひとたび足を止めたが、彼は止まらなかった。ニンジャスレイヤーとタイクーンは睨み合った。やがて敵をその目で直接見た事に満足すると、タイクーンは身を翻し、城楼へ飛び去っていった。 51
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