タイラント・オブ・マッポーカリプス:前編 ＃4
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イヤーッ！」ライトニングは急加速し、斜めに滑空した。そして殺到するオニらの目と鼻の先を真横に駆け抜けた。彼が左から右へ横切ると、ボトルネックカットチョップじみて、オニ達の首が左から右へ順にキリモミ回転しながら垂直に吹き飛んだ。やがて彼は着地し、姿勢制御しながら地を滑った。 19
2020-07-10 22:11:46
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「イヤーッ！」振り向きざまにバラ撒くのは、非人道兵器マキビシ。殺到するオニ達がそれを踏み、逆棘が足裏から足の甲まで突き抜けて苦悶するところを、先頭車両の機銃掃射が襲った。BRATATATATATATATAT！「AAAARGH……！」その成果を確かめるまでもなく、ライトニングは走り出す。手にはカタナ。 20
2020-07-10 22:13:38
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マイを舞う動きで、彼はオニの群れへジグザグに切り込んでいった。左へ裂き、右へ突き刺し、肩を蹴って跳び上がり、宙返りから振り下ろして頭を断ち割り、死骸を蹴って跳び、飛び蹴りを連続で繰り出して、殺しながら、深く、深く。「AAAARGH！」身長6メートルはあるスモトリオニが金棒を振り上げる。21
2020-07-10 22:16:02
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「イヤーッ！」ライトニングはエメツの翼をカラテ制御し飛翔、金棒の軌道から逃れた。ライトニングの飛んだ後にはキラキラと輝くカラテ粒子が舞った。姿勢制御し、空中に留まりながら、脇腹に格納された小型電磁砲の砲身を引き出す彼の背に後光めいてカラテ粒子が散る。アルカナムの誅滅天使。 22
2020-07-10 22:19:56
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「ア……ア！」オニ達は畏怖した。彼の構えた電磁砲はオニの英雄が携えたとされる血塗られたトンファーを思い起こさせたからだ。一瞬後、電磁砲は火を吹き、スモトリオニの顔面を破砕貫通、その後ろのヘグイ型を爆発させた。ライトニングはオニの中へ着地し、殺戮を再開した。 23
2020-07-10 22:23:04
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「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」ライトニングは殺し、殺し、殺し、殺し、切り込んでゆく。崩れたつオニを待ち受けるのは戦闘車両による轢殺、銃殺の運命だ。『ハッハア！ザリザリ……敵の睾丸が縮み上がっておるぞ、ライトニング＝サン……ザリザリ』オーバーガードの跡切れ跡切れの喝采音声。 24
2020-07-10 22:26:23
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この磁気嵐下、苦労してまで送る言葉でもあるまい。ライトニングは苦笑する。だが、さらに強い言葉が続いた。『待て！力だ。来るぞ！』その一瞬後にライトニングも気づく。彼は咄嗟に電磁砲で防御姿勢を取った。「イヤーッ！」KRAAASH！電磁砲が真っ二つに裂け、ライトニングの肩装甲が割れた。 25
2020-07-10 22:28:44
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視認困難なまでの斬撃。どの敵だ？ライトニングは周囲に力あるニンジャを探した。『違う！奴だ。例のイアイドー野郎だ』オーバーガードの声に呼応するように……ライトニングの眼前のオニ達の首が、肩が、綺麗に切断されて、滑落していった。遠く、滲む陽炎の先に、斬撃の主が……いる……！ 26
2020-07-10 22:31:09
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ゴオオオン！ゴウオオオオン！そのとき頭上を通過したのは２機のヘリオス級戦闘攻撃機だった。戦闘攻撃機はイアイ者にロックオンし、白い尾を引く空対地ミサイルを撃ち、上昇に転じる……「イヤーッ！」SLAAAAASH！その二機のX軸が重なり合った瞬間を、イアイ者は切り裂いた。 27
2020-07-10 22:37:13
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KRA-TOOOOM！遠く爆発が生じた。ミサイルの成否も、バラバラになって落ちていく戦闘攻撃機の無残な残骸を確かめる間もなかった。『注意しろ！』オーバーガードの通信が響き、網膜に小窓の地図が展開。圧倒的速度で迫りくる存在の光点が表示された。ライトニングは身を沈め、一瞬警戒した。 28
2020-07-10 22:39:42
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「イヤーッ！」KRAAASH！「イヤーッ！」KRAAASH！抉るようにドリフトし、戦闘車両を吹き飛ばしながら迫ってきたのは……ナムサン……現実離れした巨大な馬が牽くチャリオットである！「イヤーッ！」ライトニングは跳び上がり、馬の頭を蹴った！だが馬のネザー鉄の装甲がニンジャの蹴りに耐えた！ 29
2020-07-10 22:42:30
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「AAARGH！」苦悶して涎を吐き散らし、バランスを崩しながらも、チャリオット転倒せず！恐るべきネザーメア四頭立てなのだ！そして、おお……チャリオットの上に立つ巨躯のニンジャが、空中のライトニングに長柄鎖付き鉄球で攻撃した！「イヤーッ！」「イヤーッ！」ライトニングは空中で身を撚る！ 30
2020-07-10 22:47:21
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まさに、薄皮一枚！棒高跳びベリーロールじみて長柄鎖付き鉄球を回避したライトニングは、そのまま車上のニンジャの延髄に回し蹴りを繰り出した！「イヤーッ！」車上のニンジャは瞬間的にアイソメトリック力を込め、解き放った！「エイッ！」衝撃波がライトニングを撥ね飛ばした！「グワーッ！」 31
2020-07-10 22:49:08
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ギャギャギャギャギャギャ！四頭立て戦車が大地に車輪バーンナウト痕を刻みながら方向転換した。車上のニンジャは燃え上がるような筋肉を躍動させて、ライトニングにアイサツを繰り出した！「ドーモ！我こそはネザーキョウのシテンノが一人……クワドリガ也！名乗れ、UCAのセンシよ！」 32
2020-07-10 22:51:59
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クワドリガの筋肉は汗に濡れ、金属めいた光沢を放っていた。鋼鉄のハーネスが腕の付け根を締め上げ、剣闘士めいた腰布、鉄格子じみたフルメンポも荒々しい。ライトニングは後ずさりし、アイサツを返した。「ドーモ。クワドリガ＝サン。アルカナムのライトニングです」「貴様のカラテ、アッパレ也！」33
2020-07-10 22:54:39
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『あまり長く打ち合うな。指揮官でありながら前線で斬りまくる桁外れのニンジャだ』オーバーガードが忠告した。『砲撃で決着をつける。数度切り結び、退避せよ』ライトニングのこめかみを流れる汗を、アルカナムカーボンが瞬時に乾かしてゆく。「逃してくれるとも思えませんが……善処はしましょう」34
2020-07-10 22:59:10
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『イアイのニンジャには別動部隊を差し向けた。奴の狙いはそっちに向いている。集中していい』ライトニングは薄く笑った。「ありがたいですね」『死ぬなよ。貴公はアルカナムのみならずUCAの財産なのだ』「少なくともこのテクノロジーは仰るとおり」全身に力を込め……「「イヤーッ！」」 35
2020-07-10 23:02:07
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ライトニングは飛んだ！そしてクワドリガはヤリを逆手に構え、チャリオットで突撃した！狂った馬たちがライトニングに食らいつこうとする！ライトニングはカラテ粒子を散らして加速し、クワドリガの想定を上回る速度で頭上に舞う！「イヤーッ！」クワドリガがヤリを投げた！ 36
2020-07-10 23:04:16
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ライトニングは宙返りし、ネザーメアの頭を踏んだ！クワドリガが投じたヤリはそのまま凄まじい勢いで飛び、戦闘車両の横腹を貫通爆発せしめた。鉄格子メンポの奥の血走った目が動き、ライトニングを睨み据えた。ライトニングはカタナを振り抜いた！「イヤーッ！」 37
2020-07-10 23:06:49
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「イヤーッ！」クワドリガはグラディウスでカタナの刃を受けようとした。だが、決める！ライトニングは決意にカラテ漲らせ、切っ先に凄まじい膂力と速度を載せた。カタナがグラディウスを弾き、クワドリガのフルメンポに達した。KRAASH！「グワーッ！」カタナがフルメンポの側面を断ち割る！そして！38
2020-07-10 23:10:22
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KRAACK！断ち割られたフルメンポは脱落し、兜の中のクワドリガの総髪の結わえが破れて、長い髪が溢れ出した。ナムサン……しかし……ライトニングのカタナは骨まで届かなかった！闘争心に燃え光るクワドリガの目がライトニングを捉える！「イヤーッ！」 39
2020-07-10 23:13:05
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ライトニングは逡巡なく、自剣を捨てた。そして全力で防御姿勢を取った。その切替えが彼をその瞬間の死から救った……「グワーッ！」ガレー船衝突じみた裏拳がライトニングを撥ね飛ばした。ライトニングの視界がノイズで塗れた。吹き飛ばされながら、彼は四肢に損傷なき事を森羅万象に感謝した。 40
2020-07-10 23:15:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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KRAAASH！ライトニングは地面に小クレーターを作ってバウンドした。「イヤーッ！」ライトニングは再び飛んだ。オニ達に引きずり落とされ、喰らわれるより早く。退避しながら、ニンジャアドレナリン効果でスローモーションとなった視界下、彼は見た。自走砲の弾丸がクワドリガに降り注ぐのを！ 41
2020-07-10 23:18:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ええい……！」ライトニングはキリモミ回転し、カラテ粒子スラスター加速する。着弾の粉塵の中から、クワドリガとチャリオットが飛び出す。クワドリガは瀕死となったネザーメア一頭に自らグラディウスを突き刺してカイシャクし、鎖から解き放つと、三頭の馬でなお走り、戦闘車両列に突っ込んだ！ 42
2020-07-10 23:20:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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DOOOM！DOOOM！DOOOM！制圧射撃！殺戮されながら怯まず雪崩れ込むオニ達！歩兵の殺戮を開始したヘグイ！切り込むクワドリガ！転覆し、爆発する戦闘車両！DOOOM！DOOOM！DOOOM！ここはジゴクか……！然り！ジゴクである！ネザーがもたらすもの、それはジゴクなのだ！ 43
2020-07-10 23:25:29