夏の怪談 もふぅ #夏だし実話の怪談を夜に呟く

思い付いたから。
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(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 1 あれは小学四年生の頃、丁度祖父が死んだ年のことでした。私は今でも後悔しています。あの時、アレを見てしまったことを── 私の家族は、皆、霊感が強い血が流れています。父親こそ違いますが、私の母は幼い頃からアレが見えていたようです。

2020-08-10 00:50:30
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 2 私にはあまり霊感がなく、ポルターガイストの音は聞こえても、姿、形というものはてんで見えませんでした。 ただ、悲しいことに声だけは聞こえてくるのです。耳元で囁くように、口を開かないで話すように、死んだ者たちの声が聞こえてくるのです。

2020-08-10 00:54:35
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 3 ただ害は一度もありませんでした。放っておけば何処かへ去る、なので私はアレを無視し続けていました。その時までは── ある夏の日、私は友達と神社の中の畦道を通っていました。黒いランドセルを背負い、家への近道である畦道をゆっくりとゆったりと。

2020-08-10 00:59:39
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 4 友達より前にいた私は、話しをしようと後ろを振り返りました。すると、ランドセル越しに黒いモノが見えるのです。 何かよく分からないこと繰返し、口ずさみ、長い黒髪を揺らしながら、徐々に近づいてきます。

2020-08-10 01:03:12
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 5 ただ友達は気づいていないようですから、私は無視を決め込むことにしました。アレはどうしようもない、と。 緊張しました。胸が破れそうなほど、鼓動は早まり、アレの顔が見えてしまいそうでした。 足を進める度、アレはさらに近寄ってきます。

2020-08-10 01:07:00
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 6 走りました。耐えきれず、一心不乱に走りました。ランドセルが縦に揺れるのにも構わず、アレにアレが見えているとバレることも構わず、ただただ恐怖のままに走りました。 足が畦道を出て、懐かしのコンクリートを踏む。そして私は後ろを振り向きました。

2020-08-10 01:10:14
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 7 アレは神社の敷地内である畦道の上にとどまっていました。後ろから、黄昏時の金色の光が差しています。 アレはついてこれない。そう確信した私は、友達に不審がられるまま、帰路を辿っていきました。 その時、その時までは良かったのです。

2020-08-10 01:13:15
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 8 その日の夜。私は風呂場へと向かいました。胸がざわついています。 ふと玄関を見ると、アレがそこに佇んでいました。 私は恐怖に駆られました。何故、何故居るんだと。 猛然と廊下を走り出します。後ろから声が聞こえてきます。 ア……ア……と怨嗟の声が

2020-08-10 01:16:34
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 9 廊下を走り、リビングにつき情けなくも母に抱きつきます。母は厳しい声でアレを責め立て、アレを何処へと、追いやっていきました。 私は、故にアレを嫌悪します。アレがちょっかいをかけてきた瞬間、怒鳴り、追い払うようになりました。

2020-08-10 01:19:21
(。・ω・。)もふぅ @Fu_tamanegi

#夏だし実話の怪談を夜に呟く 10 ただ残念なことに、あの一件から私はアレが見えるようになってしまいました── 気を付けてください。貴方が思う空耳は、もしやナニカの呼び声かもしれませんよ 完

2020-08-10 01:21:02