キュビズム・ラブ&公僕の警部 小劇場

芝村裕吏さんのキュビズム・ラブ&公僕の警部のツイートまとめ
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芝村裕吏 @siva_yuri

キュビズム・ラブ小劇場:携帯と乙女と乙女がわからんの巻:作・しばむらゆうり 関連ツイートは頭に☆いれます。 ☆があるあいだは、何いうてんのこの人などと思わないように! 早朝ファンサービスなのよ!

2011-06-18 07:32:07
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ ある日の病室。篠田は颯爽と回診するつもりで脇にバインダーを挟んで、美人の看護士を入り口でまたせると、笑顔の練習をした後、黒い箱のある病室に入る。 最近彼の患者はふさぎ込みがちで、明るい気分になって欲しいと、思っていたのだった。 友人は、笑顔が一番だと思うぞと言っていたのだが。

2011-06-18 07:34:46
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ 壁においてある黒い箱の目、第一カメラが動いて、篠田の笑顔をおいかける。黒い箱は、思う。胸がないのに胸がいたい。なんでこんな状態になっても、こんな気持ちになるんだろう……。 篠田は彼女が恋の痛みを覚える度に、いい笑顔をしようと努力する。 彼女に元気になって欲しいから。

2011-06-18 07:36:58
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ 「調子は?」「だ、大丈夫、です……」「元気がないな」「先生こそ、顔が沈んでます」「心配してると言え」「……心配させてすみません」「ああいや。あー。そういえば、携帯、使ってるか」「え、はい」「どれ」「わー!、や、や、やめてくださいっ!」「……?」「携帯おいてください!」

2011-06-18 07:39:30
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「……? ああ。いや、あまり利用されてないようだが」 携帯の履歴をばっちり見ていた、篠田は携帯をクレードルに戻す。 黒い箱が、白い息を吹いている。 「見ないでくださいといったのに・・・」「利用してないじゃないか」「そ・・・そういう問題じゃないです」「大丈夫か? 気分は?」

2011-06-18 07:41:35
芝村裕吏 @siva_yuri

☆典子は、自分に足があったら、全力で逃げるところだと考えた。カメラを切り替える。篠田は心の底から綺麗な顔で不思議そうな表情をしている。典子はカメラを下に向ける 「先生は……」「ん?」「携帯履歴とか見られてイヤじゃないですか」「俺のはPHSだが、見るか?」「え・・・?」

2011-06-18 07:44:11
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「え、いや、いいです……」 篠田は画面を黒い箱に向けた後、不思議そう。しぶしぶ戻してポケットにいれる。 綺麗な顔で女はわからんと、世界一頭の悪いことを真面目に考えた。

2011-06-18 07:46:33
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ 一方典子は、カメラにオフ機能がないので、ばっちり見てしまった。通話履歴にヲタポンだけ並んでるのを見て、安心するやら、複雑な気分になるやら、というか、隠した方がいいと思います先生・・・と、思ったが、どうしよう、中学生にしてこういうのもいいかなと思ってしまったと考えた。 了

2011-06-18 07:48:08
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「そんな顔をしていると、”F”に魅入られるぞ」 色の薄い瞳で運転席を篠田を見て、ヲタポンは口にした。 「笑顔で聞けるか、そんな話」篠田はおもしろくなさそう。もっともヲタポンとて、とうてい楽しそうには見えなかった。

2011-06-21 10:17:58
芝村裕吏 @siva_yuri

☆しばらくの沈黙。ヲタポンは口を開く。 「まあ、お前なら大丈夫か」 だから何がと、苛立ちを隠さず言う篠田。ヲタポンは微笑むと、典子の話題を口にした。 ~公僕の警部 断片~

2011-06-21 10:19:01
芝村裕吏 @siva_yuri

☆揺れるカーテンに、つい、目がいった。 テルは、黒い箱を見るべきだと思ったが、正視するのははばかられた。ベッドに置かれた、重苦しい黒い箱だった。何故憚られるのか、自分でも理由は分からない。分からないのが、気になった。

2011-06-21 10:20:18
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「……あの、どなた、ですか」 典子は窓際の第一カメラでテルを追跡しながら、途方もなく場違いに聞こえることを言った。そのあまりの場違いな声で、テルは我に返った。

2011-06-21 10:20:57
芝村裕吏 @siva_yuri

☆テルは銀髪をかきあげて、黒い箱を見なおす。声はスピーカーから聞こえるのに、目は黒い箱に行く。声を出している奴は、どこにいく。それともこれはトリックか。どこかに人がいるのだろうか。

2011-06-21 10:21:16
芝村裕吏 @siva_yuri

☆テルは考える。トリックならもっともらしい事を言うだろう。公僕の警部も、”F”も、そうだ。だがテルは、カーテンを見る。周囲の気配をさぐる。だが警部は、ここにいるはずだ。 ここにいるはずだと何度か思うテル。黒い箱は白い煙を出している。故障かもしれないと、テルは思った。

2011-06-21 10:23:30
芝村裕吏 @siva_yuri

☆テルは黒い箱を見た。 「お前が、警部か」 しばらく考える典子。あれ、どこかできいたな。 そうだ。 「え、は、はい! そうです!」 声優のような甘い声。というよりも、声優があてた音声をそのまま使う典子。 テルはそれを無視した。考える。

2011-06-21 10:24:53
芝村裕吏 @siva_yuri

☆To be Continued. NEXT tweet ”断片2”

2011-06-21 10:28:44
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ニューヨークは酷い有様だ。ここは”F”が支配している。 ショーゴは拳銃を両手に掴んで固定したまま、腕をまっすぐおろし、肩を張って走っている。 昔5m、今20m。拳銃の機構は変わっていないのに命中率が跳ね上がったのは、この持ち方のせいだった。

2011-06-22 19:38:43
芝村裕吏 @siva_yuri

☆拳銃が作られて100年以上、人は拳銃の命中率向上を真面目には研究してこなかった。 やっても拳銃そのものの改良にとどまっていた。人が、行動によって限界を突破するまでは。 公僕の警部 ”断片”2

2011-06-22 19:39:17
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ショーゴは銃弾を避けて瓦礫の影に飛び込んだ。 埃を被り、腕を伸ばして拳銃を左右に、銃を向ける”Fの使者”を倒し、ショーゴは厳しい顔をする。 自分が射殺したのは、まだ年端もいかない少女だった。 感情を消し、ショーゴは顔をあげる。一人の女が、走ってくる。

2011-06-22 19:39:56
芝村裕吏 @siva_yuri

☆無駄と知りつつ、援護射撃をするか迷う。”使者”には狙撃手がいる。まあ、無理だろう。 ショーゴは少しだけ顔をだし、こっちだと手を振った。拳銃しかない今、手助けとしてはそれが限度だった。

2011-06-22 19:40:10
芝村裕吏 @siva_yuri

☆滑り込むように横に座り込む女。荒い息。 ショーゴは拳銃をいつでも向ける用意をしながら、顔を向ける。 「あんたは?」 「加藤ミチル。ジャーナリスト」 「ミチルさんは頭を下げたがいい。狙撃される」 「狙点、無いわよ」 「…」 「この位置には狙撃する場所がない」

2011-06-22 19:42:50
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ショーゴは周囲の建物を見た。少し恥ずかしくなって、うつむいた。 「……そうか」 「戦争には余り慣れてない見たいね」 「あんたは違うのか」 「貴方が生まれる前は、酷い時代だったのよ」 ミチルはショーゴの顔を見る。 「テルって名前、知ってる?」 「知らないな」

2011-06-22 19:43:08
芝村裕吏 @siva_yuri

☆ショーゴは、流れるように嘘をついた。 「顔が曇ってるわよ」 「嘘だ」 「そう。嘘。でも本当。貴方はテルのことを隠したい。違う?」 「あんたに言う必要はない」

2011-06-22 19:43:39
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「やっぱりね。顔が曇っているといってすぐに嘘と言うところがあやしいと思ったの。普通なら、なんだそれは?でしょ」 ミチルの微笑みを、ショーゴは無視した。

2011-06-22 19:44:04
芝村裕吏 @siva_yuri

☆「俺はおしゃべりは嫌いだ。おしゃべりなおばさんなら、なおのこと」 「私も悪ガキは大嫌い。本物の不良は例外だけどね。それより」 ミチルは自信ありげに微笑む。 「取引、しない?」 To Be Continued

2011-06-22 19:44:38