豪快文字スケブ

140文字以内に挑戦いろいろ。
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マヤ @Machandel_boom

「まべちゃん、どこで寝んの」ひとつきりしかないベッドを占拠したバスコが、面白くて仕方がないように尋ねる。マーベラスは、部屋の入り口でため息を吐き、一言残して立ち去った。「アカレッドんとこ」自動ドアが閉まる音がした。

2011-06-30 23:36:56
マヤ @Machandel_boom

名前を呼ばれて、マーベラスが足を止める。顔だけで振り返る。ドッゴイヤーが、泣きそうに笑っている。「どうした。朝までそこにいる気か」「……マーベラス」二度目の呼び声は、シャツの裾に引っかかって落ちた。

2011-06-30 23:39:52
マヤ @Machandel_boom

手の中のグラスで、氷が溶ける音がする。ジョーは、密度の高い琥珀色が、溶け出した無色と混じり合う様を見ている。「――起きてたのか」階段を上がってくるマーベラスの声は眠たげだ。赤いコートを投げ出し、通りすぎた刹那、強く酒気が香った。目眩がした。「寝付けなくてな」氷はもうなかった。

2011-07-01 10:08:43
マヤ @Machandel_boom

「……あんた、誰だよ」この星の夏は、煩い。強い日差しが物の輪郭を際立たせる。皮膚を焦がす。影が黒く伸びる。虫がそこらじゅうで鳴いている。目の前に立つ男のスニーカーが、ぎらぎらと銀色に反射する。「お前、うるさいね」バスコは低く呟いて、銃口を上げた。

2011-07-04 21:21:50
マヤ @Machandel_boom

その日の朝食を作ったのは鎧だった。ウインナーにグリルのトマトとアスパラ、卵はからっとした炒り卵で、パン籠にはバターロールとクロワッサン。いつもの朝食と変わり映えしないようで確かに違う。食卓を見渡し、マーベラスは満足げに笑う。ドッゴイヤーの皿の上で八本足のウインナーが転がっていた。

2011-07-04 23:05:56
マヤ @Machandel_boom

若干オーバーしたからちょっと削った。タコさんウインナーは贔屓です。

2011-07-04 23:06:34
マヤ @Machandel_boom

大きな瞳が、宝石のようにきらきらと光っていたので、それが彼の大事なものだと一目で分かった。だから、奪ってしまおうと思った。「まべちゃんの可愛いうさぎちゃん。何しに来たの?」「貴方を、手に入れに」目の前には銃口。きらめく瞳の奥で獣が牙を剥いた。

2011-07-07 00:28:17
マヤ @Machandel_boom

殺すつもりだった、勿論。男はマーベラスの敵で、古い傷口で、生々しい呪いだった。マーベラスの夢を奪おうとしていた。だから躊躇はなかった。だが、叶うとも思っていなかった。切っ先を突きつけた喉が笑う。陶然と目を細める。「殺せよ、番犬。まべちゃんのためなんだろう?」

2011-07-09 22:25:23