INSIDE-OUTED-off(IDOFF/ID:INVADED)
いいぞいいぞ!いけいけ!お前にも権利がある!お前にこそ権利がある!チャンスがあるのはお前だけなんだ!いけいけいけ! ガン! でもこいつもまた泣き出す。 おいおいおい!
2020-08-31 17:35:15お前はニヤニヤと笑いながら血塗れでその兄弟と、弟の友達たちを眺めている。 もう少しでお前の望みが叶うのに、それが引き伸ばされている。その絶望的な間をもお前は楽しんでいるんだろう。 でも俺はもう嫌なのだ。
2020-08-31 17:35:26頭蓋骨陥没、脳も一部露出し紛失したが、お前は助かる。 いや、助かったのだろうか? お前の肉体は生存を続けるが、お前は消える。
2020-08-31 17:35:48そして俺がお前の肉体の中で、お前となる。 俺のままで、お前になる。 手も足も不自由で、脳が足りなくて、痺れと麻痺の出たお前に、俺はなる。
2020-08-31 17:36:06水曜日分(2/3)
小説版『龍の歯医者』準備中。
#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第8話 #第9話 #ATX #月曜夜18時から #水曜朝10時から #金曜深夜26時から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #INSIDEOUTEDoff #水曜は次の三分の一 #非公式 2
2020-09-02 07:15:30お前じゃなかったときのお前をただ見つめていたときの俺が誰だったのかはわからない。俺には名前はなく、体や手足があったような気もしない。俺はいわば視点みたいなものだったのだ。
2020-09-02 07:15:54でも俺には俺の考えと感情と知識や認識があった。俺は実際には観た憶えのない『未知との遭遇』や『ハンナとその姉妹』の物語を知っているし読んだことのない『プレーンソング』って小説の内容を……はっきりとは憶えてないけれども猫が出てきたのを憶えている。
2020-09-02 07:16:08多分俺はすごく曖昧な、集合意識としか言いようのない存在だったんじゃないかと思う。人の形をしていないけれども、人の形を理解して、まるで人のように思考する、脳のない何か。複雑な計算や先読みなどはできなかったんじゃないだろうか?
2020-09-02 07:16:27わからない。試そうと思ったこともないところが、その証拠なんじゃないかと思う。 まあでも確かなことはどれだけ考えても今更答えが判明したりはしないだろう。 ともかく俺はお前になってしまったのだ。
2020-09-02 07:16:40まず左半身と右足に麻痺があった。残りの右腕にも痺れがあって、そもそも右手は潰れていたのでまともに使えなかった。右目のない顔面はその日その日によって場所を変えるけれどもビクビクと引きつりが出たし、
2020-09-02 07:16:54頭痛はあの兄弟が持っていた石が頭蓋骨の中にまだ残っていて、それが勝手にゴリゴリ動き回ったりしてるみたいだった。首から下はほとんど何も感じられないのに頭だけ死にたいほど痛かった。
2020-09-02 07:17:07肉体を持たなかった俺がいきなりお前の苦痛を全て引き受けたと言うか押し付けられて、本当に死のうと思った。 でも窓は高く、遠かった。
2020-09-02 07:17:21「死なせてくれ」 と実際看護師さんや医者にお願いもしようとしたんだけれど、初めて使う唇と舌が怪我もあってもつれまくって 「れりににゃむぬふれ」 みたいになった。 まあどうせ無駄だっただろう。この空間には俺を助けようとする人間ばかりだったから。
2020-09-02 07:17:53と言うわけで俺は医者に言われた通りに手術の痕が癒えるのを待ち、リハビリに通った。 奇妙な気分だった。 どんなに文句を言おうとも今俺の感じる痛みも苦しみも俺のものとしか言いようがない。
2020-09-02 07:18:28それを誰か別の奴にそっくり渡すってわけにはいかないし、実際その痛みはこの体にあるべきものなのだ。だからそれはもういい。せいぜい痛み止めをたくさんもらうくらいしかできないし、薬で軽減されているうちには痛みには耐えられる。
2020-09-02 07:18:40それを誰か別の奴にそっくり渡すってわけにはいかないし、実際その痛みはこの体にあるべきものなのだ。だからそれはもういい。せいぜい痛み止めをたくさんもらうくらいしかできないし、薬で軽減されているうちには痛みには耐えられる。
2020-09-02 07:18:50体の快復の先には明るい未来しかないんだ、みたいな笑顔を向けてくる。開いてる窓までたどり着いたら即座に上半身を外に倒そう、後は重力が俺の足を持ち上げてくれるだろう、と思うだけの俺に対して。警官や学校の先生も来る。
2020-09-02 07:19:04こいつらは最初、俺と言うかお前向けの説教を垂れていたが、もちろん俺もその言い分にそっくりそのまま同意だったので何も言わなかったしとっととこの余計な魔法を終わらせるためにもリハビリにいそしんでいたけれどその姿を見ていて何か勘違いしたみたいで
2020-09-02 07:19:17「目に光が戻った」 「以前の姿からは想像もつかないひたむきさだ」 「皆に励まされるって、いいものだろう?」 「頑張るって最高だろう?」 みたいなことを必死に言う。
2020-09-02 07:19:30いやいや、俺俺。俺は俺なの。あいつじゃないの。妙に期待を煽ってるみたいで悪いけれども、俺は死ぬために頑張ってるの。それはこの肉体の持ち主のそもそもの希望なの。 な? お前、死にたかったよな?
2020-09-02 07:19:50