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花柱様と蟲柱様

花柱様のもとに、蟲柱を名乗る少女が現れた話。 (ifの話)
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うみねこ。 @sea_cat_777

10000000000000年前から言っているんですけれど、花柱様と蟲柱様が共闘している姿が見たいです 生存軸でもいいですし、蟲柱様が花柱様生存軸(過去)に飛ばされた結果そうなったでもいいからみたいですというか一緒にいてお願いします

2021-01-16 22:18:44
うみねこ。 @sea_cat_777

生存軸ならほわほわの花柱様と蟲柱様の様子が見られるんだろうし、蟲柱様が過去に飛ばされていたなら、一定の距離は確保しつつ、遠くから花柱様の様子を見て「姉さん……」とちょっと寂しそうに笑っている蟲柱様が見られるんだろうなぁ

2021-01-16 22:22:43

不思議な出会い

うみねこ。 @sea_cat_777

とある日、蝶の羽織を背負った小柄な少女が、蝶屋敷に現れた。私とよく似た紫色の蝶飾りで一つにまとめ、ぼんやりとした様子で庭を眺めている。 「あの、怪我でもされましたか?」 その背中に声をかけると弾かれたように振り向いた。 やっぱり、鬼殺隊士だったみたい。 彼女の顔に浮かんだのは、驚愕。

2021-01-16 22:31:44
うみねこ。 @sea_cat_777

やっぱり、後ろから話しかけたのがいけなかったのかもしれない。ごめんなさいね、と口にしかけ、止まる。 制服の釦が藤色ではなく、金色。 柱? でも、今のところ柱合会議の招集予定はないはず。 どうしたものか、と逡巡していると、少女は笑った。 とても、綺麗な笑みで。

2021-01-16 22:34:01
うみねこ。 @sea_cat_777

「いいえ? 怪我はしていません。……すみません、知り合いの屋敷と間違い、迷い込んでしまったようです。すぐに出ていきますね」 そう言って、門のほうに歩きだそうとする彼女の手を、取った。 行かせてはいけない。そんな気がしたから。 「なんでしょうか?」 こてんと首を傾げ笑う彼女。

2021-01-16 22:36:32
うみねこ。 @sea_cat_777

「よかったら、休んでいきませんか?」 「いえ、私は」 「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから、私の話し相手になってくれない? おいしいお茶もあるし、不死川くん、知り合いの隊士が持ってきたおはぎもあるから、ね?」 にこっと笑いかけると、彼女は困った顔をした。

2021-01-16 22:39:57
うみねこ。 @sea_cat_777

それから、ゆるゆると長い息を吐くと、微笑みを浮かべた。 「わかりました。でも、少しだけですよ」 「ありがとう! すぐに用意するから、そこの縁側で待っていて!」 私は嬉しくなって彼女の手を引いて、縁側に案内した。 ちょこんと遠慮がちに座ったのを確認してから、お茶の準備に走った。

2021-01-17 09:57:57
うみねこ。 @sea_cat_777

不死川くんに頼まれていたおはぎがこんなところで役に立つだなんて。戸棚からおはぎの箱を取り出しながら、るんるん気分で一つずつお皿に乗せる。 ある意味ではもらったようなもの、嘘はついていない。 二つないって気づいたら怒るかなぁ。まぁ、味見しちゃったって言っておけば大丈夫よね、きっと。

2021-01-17 10:02:34
うみねこ。 @sea_cat_777

お茶はお客様用の少しお高いものを出すことにした。名店のおはぎには敬意を払うべきだとおはぎの専門家が言うのだから間違いない。それと、出す機会があまりなくって、私が飲みたかったというのもある。 ここのお茶、本当においしいのよね。 喜んでもらえたらいいなぁと思いながら、淹れた。

2021-01-17 10:05:10
うみねこ。 @sea_cat_777

二人分のおはぎとお茶をお盆に乗せて、縁側へ急ぐ。 もしかしたら、あの子はもう帰ってしまったかもしれない。ここに、あまりいたくない様子だったから。理由はわからない。でも、私が引き留めた時、そんな空気があった。 笑顔は浮かべていたけれど、明確に私の干渉を拒絶をしていたから。

2021-01-17 10:10:28
うみねこ。 @sea_cat_777

でも、一人にしたらいけない気がしたんだもの。 放っておいたら、そのままどこかに消えていってしまいそうな、儚い空気があったから。 一瞬、もうこの世にはいない誰かなのかなって思った。でも、この手で確かに触れられたから、あの子は生きている。 それなら、きっと、お友達になれると思ったの。

2021-01-17 10:17:05
うみねこ。 @sea_cat_777

ちょっぴり悲しい笑顔の裏に、何があるのかはわからない。あの子が抱えているものを軽くしてあげられないかもしれないけれど。 お友達になって、お話を聞くことは出来る。 そうしているうちに、可愛い笑顔が見れるかもしれないでしょう? きっと、あの子の笑顔は素敵だって、私の直感が言っている。

2021-01-17 10:22:14
うみねこ。 @sea_cat_777

できれば、その笑顔が見たいなぁって思うの。今すぐは、無理かもしれないけれど。 いつの間にか、当たり前にあの子が私の隣にいる未来を思い描いているのに気づいて、ふふっと笑みがこぼれる。 まるで、一目惚れしたみたい。 このこと、蜜璃ちゃんに話したら、「きゃぁぁぁ」ってはしゃいじゃうかも。

2021-01-17 11:46:36
うみねこ。 @sea_cat_777

まずは、お茶を一緒に楽しんで、お友達になろう。話はそれからね。 縁側には、まだあの子が座って待っていてくれた。 指に蝶を止まらせ、優しく微笑んでいる。儚げな空気に思わず息を忘れていると、蝶に向けていた視線がついっと上がり、私に留まった。

2021-01-17 11:50:56
うみねこ。 @sea_cat_777

蝶がふわりとあの子の指から飛び立っていく。 「どうか、されました?」 「とても綺麗だったから、思わず見惚れちゃった」 素直に言葉にすると、あの子の頬が色づいた。 虚を突かれたように表情が固まり、それから、へにゃりと口の端が崩れ、かけたけれど、微笑みの形に納まった。 ああ、惜しいなぁ。

2021-01-17 11:55:29
うみねこ。 @sea_cat_777

「まぁ、それはそれは。あなたのように美しいお姉さんの視線を奪えるなんて、光栄です」 くすくす。羽織の袖で口元を隠しながら、そんな風に言われた。 冗談の一つだと片付けられたらしい。 ちょっと不満に思いつつ、あの子の隣に座り、お茶を手渡した。

2021-01-17 12:04:30
うみねこ。 @sea_cat_777

「熱いから、気を付けてね」 「お気遣いありがとうございます」 丁寧なお礼を言ってお茶を受けとったあの子は、しかし、口をつけようとしない。湯気立つ湯呑を見つめているだけ。 警戒されているのかなと寂しく思っていると、あの子は「ここだけの話ですよ」と内緒話をするように顔を近づけてきた。

2021-01-17 12:07:36
うみねこ。 @sea_cat_777

突然だったから驚いた。 ふわりと鼻先に届く優しい藤の香り。私を覗き込む紫色の瞳が悪戯っぽく輝いている。 ひそひそと耳打ちされる。 「実は私、猫舌なんですよ。せっかくお姉さんが心を込めて淹れて下さったのに申し訳ないのですが、少し冷まさないと飲めなくって」 「そうだったのねぇ」

2021-01-17 12:10:51
うみねこ。 @sea_cat_777

ほわほわとした調子で答えながらも、胸の内はどきどきしていた。あの子は予想以上に人との距離を詰めてくるみたい。 「それじゃあ、お茶が冷めるまでおはぎでもどうかしら? ここのおはぎすっごくおいしいのよ」 「ええ、ぜひ」 にこ、と笑って離れていくのにほっとしつつ、でも、少し寂しく思った。

2021-01-17 12:13:33
うみねこ。 @sea_cat_777

おはぎを上品に口元に持って行くのを横目に、ちびりとお茶を口に含んだ。少し熱めのお茶は突然の事態に騒ぐ心を落ち着かせてくれた。 ふぅ、と息を吐いて、居住まいを正す。 「まずは自己紹介をしておこうかしら。私は、胡蝶カナエ。これでも、花柱をしているのよ」 「そうでしたか」

2021-01-17 12:19:40
うみねこ。 @sea_cat_777

声の調子はとても静かだった。 驚きもなければ、萎縮もしていない。普通の隊士なら、柱と聞いただけで、背筋を軽く伸ばす。 上の階級と話すのに、慣れている? それとも。 あの子の金色に輝く釦に軽く視線を向ける。 『柱』だから、そこまで緊張しないでいられるのかしら。

2021-01-17 12:26:05
うみねこ。 @sea_cat_777

表情を隠すのに長けている様子だから、それも憶測の域を出ない。 私が花柱だと、事前に知っていた可能性も考えられる。柱だとわかっているなら、この反応も納得がいく。 どこかで会ったことがある?  いや、一度会ったら忘れられるはずがない。 一瞬で心を奪われるような、儚くて美しい子だもの。

2021-01-17 12:30:34
うみねこ。 @sea_cat_777

思考の海に潜りかけた時、こと、とお皿を置く音がした。 「名乗るほどの者でもない、と言っておきたいのですが、それでは納得されませんよね、花柱様」 にこにことしながらも、その裏にあるのは、警戒。 気配を読むのも上手なのね。 ふ、と肩の力を抜く。 「じゃあ、名無しの権平さんね」 「え?」

2021-01-17 12:37:35
うみねこ。 @sea_cat_777

ふふ、鳩が豆鉄砲だと思って受け止めたら、お豆腐だった、みたいな顔をしてる。 くすくすと笑うと、あの子は困ったように視線を彷徨わせる。そして、じっと私の目を見つめてきた。真意を探ろうとしているみたいだったから、私もじぃっと綺麗な紫色を覗き込んだ。 あ、逸らした! あなたの負けね?

2021-01-17 12:40:33