アサミーズハイになったようです

浅海@ジャス鷹のジャス @l_asami

【鼓動】アンセムがスタジアムに鳴り響く。「藤代」真田が、不意に後ろから声をかける。なんか顔が強張ってるけど大丈夫？「…俺とお前で1点ずつな」どくん、と一つ鼓動が胸を叩いた。俺の知ってる真田じゃないみたい。なんか嬉しくなって、大きく笑う。「おー！あと鳴海と風祭と天城で1点ずつな！」

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【あえて言うなら、それは】試合終了を告げる長い笛。非情なスコアは0-0。勝ち点を奪えたと見るか、勝ちを逃したとみるか。「タツボン」「あ？」肩に置かれたシゲの手から悔しさが伝わってくるようだ。「…何やろうな、何も言われへん」「俺もだ」あえてこの感情に名前をつけるなら、「悔しい」だ。

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【戦い、終わって】芝生に腰を下ろしてスパイクを脱ぎ捨てる。ついでにソックスも。「…椎名、今日はずいぶん行儀悪いな」木田が驚いたように笑う。「そう？」「ああ、意外だ」そういう木田も同じような仕草。「今日は疲れたからね」「…向こうのあたりが強かったからな」戦い終わって、しばしの休息。

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【悲しいだけじゃない涙を初めて知った】長い笛にかき消される歓声に思わず膝を付く。自分が守ってきたゴールに飲み込まれそうな絶望感。GKは単純なポジションで、ボールは計算すれば全部止められると思っていた。「不破」目を真っ赤にした渋沢に、腕を掴んで起こされる。ああ、これが「悔しい」か。

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【次のステップへ】初めて持った金色のカップ。なんか伊賀が持つと変な感じ、と桜庭や上原にからかわれた(お前らだって一緒だろう)。首からかけた金メダルの重みにも感動する。でもこれは、一生続くわけじゃない。帰ればリーグ戦、来年はコンフェデ杯。今日は勝利の美酒に酔って、明日からまた次へ。

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【涙の意味は】桜上水が負けて、武蔵森が勝った。それ以上でも以下でもない事実に小島は泣いた。「小島」「なに」「悔しいの？それとも俺が勝って嬉しいの？」ああ、我ながら意地の悪い質問。「両方違う」「え」「あんないい試合に、自分が出られないことが改めて悔しいの」…そういうとこが好きだよ。

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【絆という、】真っ白なアンダーシャツがマジックで書かれた名前で染まっていく。招集はされたけど最終登録に入れなかったメンバーや、怪我でベンチ入りできなかった奴ら、そしてベンチとスタメン全員の。「…結人は本当にマメだよね」英士が苦笑いするけど気にしない。俺を動かすのは、「絆」だから。

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【桜舞い散る】「10番、てめーにやるよ」そう言って、三上さんは公式戦用のユニを差し出してきた。「何すかこれ」「お前が欲しがってたもんだろ、いらねーなら「いやいりますけど！」引ったくるように受け取ると、三上さんがくしゃりと笑う。「頼んだぞ」そう言って、彼は桜舞う校門をくぐった。

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【諦め切れない夢】最後の直線100mを駆け抜けて大きな息を吐いた。今季で戦力外通告を受けたとなればこんなに練習しても意味がないという奴もいるのだろう。でも俺は違う。サッカーを諦められない。優勝を、諦めきれない。「城光さん！」ベンチから声がかかる。「がんばってね！」おお、頑張るわ。

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【栄光への道】ここまで長かったなあ、と改めて道のりを考える。リーグ戦は最後に失速、代表でスタメンに入れない、結構ボロボロ。「圭介くん！」若手が、カップをこちらに差し出す。受け取って、そこに映る顔を見て笑って、そのまま頭上に掲げた。1年の始まり、国立競技場。今年はきっと、いい年だ。

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【落ち込んだときに、傍にいて】「何、ミカちゃん落ち込んでんの？」中西はデリカシーがない。負けて落ち込まないほど神経太くねえんだよ俺は。「お前、悔しくねえの？」「まあ悔しいけど。でも俺は俺の全力を出したから」そう言って、隣に座る。「今は慰めてやる。その代わり明日は、絶対に前を向け」

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@chichiyasu6 【君が笑うと俺も嬉しいから】「ほし、これあげる」はい、と手渡したのはイチゴ味の飴。「え、若菜優しい！ありがとー！」口に放り込んで、あまーい、と笑う。その顔が見たいから面白いことを言うし、飴もあげるし、宿題も見せてあげる。だから、俺だけの前で笑っててよ。

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@maki_fujisaki 【どこか遠くに二人で逃げたい】「小島」「何」「どっか遊び行こうよ、南米とか」「なんで南米…」「交通の便悪そうだから」「帰ってこれないじゃない」「いいよ」「よくありません」「そのまま、どっかに逃げよう？」「誰から」「うーん、世間のしがらみから」「ばか」

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@mina_stcat 【あいしてる】「みな」「はい？」ちょっと大きく、深呼吸。ちょっとやそっとじゃ緊張しない俺も、さすがにこの言葉を言うには気が引ける。「翼さんどうしたの」ああ、今はちょっと近寄らないでドキドキするから。たった5文字の言葉を言うのに、こんなに緊張したのは初めて。

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@maki_fujisaki 「逃げてどうするの」「うーん」「何も考えてなかったわね？」「まあ、場所はどこでもいいんだけどね。誰にも邪魔されずに、ずっと小島だけを見て生きて行けたらなあって思ってる」「あら、それならどこにいたって出来るでしょ。出来ないんなら彼氏失格」…はい、完敗。

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@ehara0117 【作戦会議】「藤村！」相手GKの治療で試合が止まり、三上に呼ばれる。「何やねん」「もうちょっと早めにパス出していいか、相手に読まれてきた」「何やミカ、弱気になっとんか～？」べしん、と頭を叩かれる。「あほか」「はは」ぴぴ、と笛が鳴る「勝つぞ」「当たり前やろ」

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【願いの先に】「願い」という言葉では済まされないほどに、それは強い願いだった。「英士」結人の手が肩に置かれる。片側には一馬の手。見据える先には白と赤のソウル選抜のユニフォーム。その相手に勝つというのは願いではなく「欲」。願いの先にある「必勝」。「勝ちに行こうか」「おー」「任せろ」

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【栄光への道】表彰台というのはどこにいたって数段高いのだ。そしてそこに行くには階段を上らないといけない。「若菜」、と上原に背中を叩かれる。一瞬立ち止まった足が、もう一度動き出す。とん、とんと一段ずつ登れば、そこにあるのは勝者にだけ許される景色。栄光への道を歩けるのは、俺らだけ。

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【この広い大地で】大地は、Fieldと言う。Fieldとは、サッカーをやれる場所。つまり俺にとっての大地はサッカー場なんだと思う、と言ったら、三上先輩に殴られた。「お前の論理は飛躍しすぎ」だって。何だよケチ。「でもお前にとってはそうかもな」と一つ笑った。ほらね、俺の言った通り。

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@m10mkm 「ねえ三上」「何」「暑いんですが」「へー」「あと私お手洗い行きたいんです」「どんまい」「ドンマイじゃなくてさ」後ろからぎゅうと抱きしめられる体勢は、いつもとても熱い。三上の熱がダイレクトに感じられて、いっそ恥ずかしい。「愛弓不足なんだよ、もう少しこのままにさせろ」

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@xxbacioxx 「弥生、眠れないの？」「…ばれた？」「何回も寝返りされればそりゃばれるよ」枕元のスタンドのスイッチを入れれば、少し薄暗い部屋。「こっちおいで」「え、嫌」「嫌でも。ほら」ごそごそと寄っていけば、すっぽりと腕の中に納まる。「これで眠れるでしょ」「…自意識過剰」

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@yuzuzaki 「私、目隠ししても柾輝のこと分かる自信あるの」「…俺そんな趣味ねえけど」「違うわよ！どこにいたって、柾輝の空気や匂いで見つけ出してみせるわよってこと」「すげえ自信」「でしょ」「じゃあ目隠ししてみるか？俺に」「は？」「そう思ってるのはユズだけじゃねえってこと」

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@_meritter 「めり」「はい」「スカート」「いいじゃん好きなんです」「だめ」「翼さんそういうところうるさいと思うんだよねえ」「…怒るよ」「かわいいからいいでしょ？」「…短過ぎんだよ、誘ってんの？」「そんなつもりは更々ない」「…やっぱりダメ。そんなの他の男に見せたくない」

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@Hibiki0510 「渋沢でも泣いたりするのね」は、と上げた顔はほんのり目が赤い。「…悪い」「いいわよ、泣いて」そう言って、隣の席に座る。何に泣いているのか知らないけど、こういう時間が彼には必要なはずだ。「天海ぐらいだ、俺の泣き顔を知ってるのは」「あら、素敵な共有の秘密ね？」

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@hikikomoritai 「…おい」「いいじゃん三上先輩だって好きでしょ」「好きか嫌いかを聞いてるんじゃねえんだよ」ちゅ、と音を立てて唇が首筋から離れる。「明日月曜ですよ朝練ですよ」「えー？そんなこと今さら言ったって止まらないけど」有無を言わせぬ、彼の笑顔。結局流されるまま。