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日本有数の豪雪地域、長野県飯山市へ移住した写真家・星野さん。里から森と山を行き来する日々の暮らしを綴ります。第13回は、冬の厳しい森について。yamakei-online.com/yama-ya/detail…
2021-02-12 12:00:10森はやさしい。
雨や風の日に森を彷徨っていると、やんわりと木々に包まれて安心することがある。
悲壮感漂う風雨の稜線歩きとは違う、やさしさ、安心感。森に通うようになってから、僕は雨の日が嫌いではなくなった。
でも、僕は凶暴な森も知っている。
寒気厳しい、風雪の森。みるみる増える積雪と、生命を拒絶する白い嵐。
それもまた、この森の魅力である。
(中略)
途中、ナラの木に凍りついたヒラタケを見つけた。晩のおかず用にナタで叩き割って落とす。雪まじりの風に乗って、ほのかなキノコの香りが流れていった。
(中略)
なるべく森の奥まで入ってテントを張った。もうひと頑張りで峠に出る辺り。もし万が一にでも日の出が拝めるような天気になったなら、稜線まで出てみるつもりで。
就寝前、夜中に除雪に起きるのが嫌だったので、テントの周辺を広く掘り下げておく。でもしかし、この雪の降り方は、少し尋常じゃないかもしれない。
(中略)
学生時代、初めての冬合宿の後立山で、強い西高東低に掴まって停滞を重ねた。夜中に交代で除雪に出るたびに、シンシンと降り続ける雪を見て、山の怖さを初めて感じた。これはちゃんとやらなければ死ぬぞ、と思った。
(中略)
森を抜け出して広大な雪原に出たころに日没になった。アリ地獄のような雪を踏み固めることができず、強引にテントを張って寝た。
翌日、ほとんど撮影も出来ず、ただ疲労して、逃げるようにして里に下りた。
でもこんな「凶暴な森」に出会えたこと、それがこの時の最大の収穫だった。
生命を拒絶するかのような厳しい冬の森。しかしそこは、厳しい環境に生きるものたちの、逞しい生の力みなぎる場所に違いない。
森喜朗よりも若くて、しかも総理大臣経験者並みに顔が広くて、かつ今は何の役職にも就いていなくて、さらに日本国民に人気のある人物…あっ、居るやん、ドナルド・トランプ。
2021-02-12 21:44:52