「ど、どうしよう、これから、私たち...」 「どうするもこうするも、今日は...昨日と同じ通り、ライブをするんだろう。...それ以外は、ないはずだ」 「そ、そうだよね、...」
2021-03-30 17:42:36暫くした後、本番前でーす、と声が入る。 「"全員"集まりましたね」とスタッフさんが言っていたのに違和感を覚えた。 ...私達は、リナティも含めて”どりらば“なのに。
2021-03-30 17:43:17「う...、」 呆然と観客席を見つめると、昨日のステージのことを思い出してしまう。梓が思わずくらっとしているのを、隣でそっと詩音が支えていた。
2021-03-30 17:45:26黄色いペンライトは...やっぱり、なかった。黄緑色や茶色が黄色に見えることはあったけれど、やっぱり...あの黄色はもう観客席に残っていない。
2021-03-30 17:46:18それに、昨日仰いだ観客席と今見た観客席は___どこか酷似している。いつもは笑顔が見えるのに、今日は人影ひとつない。
2021-03-30 17:47:33「...っあ、お兄ちゃん、お姉ちゃん!!はじめましてなの!!」 ゆめが急いでマイクを取って、大きく手を振った。そうだ、最初の挨拶は...確か、リナティの担当だったから...
2021-03-30 17:48:18皆はっとして、昨日の通りに皆で補いながら自己紹介を進めていく。 アイドルとして、笑顔を届けなきゃいけない。その自覚だけは、こんな状況でも蔑ろにしてはいけないから...と、精一杯の笑顔を向けていた。
2021-03-30 17:49:14____『『『よろしくお願いしますっ!』』』 深く深くお辞儀をして、ステージは暗くなる。...次の曲は確か、私がセンターだ。
2021-03-30 17:50:04やっぱりステージに立ってみて分かった。 ...メンバーがいなくなってしまった損害が、大きすぎる。昨日のことが、頭から離れない。
2021-03-30 17:50:48「お疲れ様です、みん____」 ライブを終えて楽屋へと向かった時、くらっと意識が揺れた。 そうだ、昨日も...この時間、で...
2021-03-30 17:53:23まさか、こんなことになるだなんて...いつ、誰が想像しただろうか。 そろそろ死んじゃうのかななんてこと、実感も湧かずただ苦しくて___なんだか涙さえでないや。
2021-03-30 17:59:50まだ、願い事だって叶えてない。 まだ、好きな人に「好き」とも言えてない。 皆のこと守りたかったのに、なんでこうなるのかなぁ...、?
2021-03-30 18:01:28「昨日、あんなに大口叩いたくせに...自分が情けないです。本当だったら、もっともっと皆のことを守って、願いを叶えたかったのになぁ」
2021-03-30 18:03:11